上 下
93 / 336
第四章 スライムヴァンピール編

第12話 宿より借家だよね?

しおりを挟む
 掲示板の隣に簡易の周辺マップが置いてあったので、私とアニエラは1枚ずつ手にしてから協会から出て町の外を目指した。

 アニエラは手にしたマップを見ながら〚医心〛で話しかけてきた。

『なんかザックリしたマップなんだね(汗)』
『うん、この草原みたいな所へ行ってみる?』
『そこで問題ない筈だよ。ゴブリンが現れると思うから適当に狩ろう。』
『『了解~』』

 私達は町を出る時に、門兵さんにハンター証を見せて狩りに向かう事を告げてから門を出て草原を目指した。飛んで移動すれば直ぐなんだけど、それでは人ではないと知られるので我慢して歩いた。
 30分ほど歩くと草原に到着して周囲を確認する。草の丈は1m程あってかなり視界が悪く、視界に頼ってると強襲される危険があるね。

 私は草原に入る前に〚以心伝心〛で指示を出す。

並列思考セレブロは〚気配感知センスサーチ〛で周辺を警戒してね。アニーが前私が後ろで草原を進むね』
『『了解』』

 指示を出してからゆっくりと草原を進んで行くと、並列思考セレブロから報告が入る。

『10時の方向、50m辺りにゴブリンらしき気配が4体あるよ。』
『了解、アニーは先頭のままで進んでね』
『は~い』

 私達は小走りで気配がする場所へ進んで行くと、4体のゴブリンが移動してる姿が見えたの。アニエラが後ろの私の方を向いたので、私は『コクン』と頷いて合図を送ると同時に、2人は〚血剣ブラッドソード〛を発動させてゴブリンの背後から強襲した。

『グサッ』
「グェ……」

 両手に握られた〚血剣ブラッドソード〛が同時に4体のゴブリンを貫き血液を吸収して倒した。干乾びたゴブリンは私が全て〚無限収納〛へと収めて魔石を回収したの。

「お疲れ様♪今日はこれで町へ帰ろう。協会で依頼達成の報酬を貰って、泊まる場所も探さないとねいけないから忙しいよ」
「美味しいご飯も食べたいね♪」

 狩りは早々に切り上げて町へ戻る事にしたの。帰りも当然ながら歩くので門に着くまで1時間近く掛かった。町へ入る前に門兵さんへハンター証を見せてから話し掛けたの。

「草原での狩りから戻ってきました」
「おう、ご苦労さま。女の子2人で危険は無かったかい?」
「はい、近場だったので大丈夫でした」

 簡単な会話をしてから町へ入って協会の建物を目指して歩いて行くと、アニエラが話し掛けてきた。

「ねぇ、当分はここで暮らすんだよね?」
「そうなるね。どうかしたの?」
「それなら、宿に泊まるより借家を借りた方が安かったりしない?」

 アニエラの話しを聞いて足が止まる。私はそんな事を全く考えて無かったわ……(汗)アニエラは案外しっかりしてると感心した。

「自炊する必要はあるけど、間違いなく借家が安いよね。アニーはしっかり者だね♪」

 そう言ってアニエラを褒めると、何故か〚以心伝心〛で返事をしてきた。

『借家だとさ、隣の部屋の事を気にしないで、思い切りハルカと楽しめるでしょ♪』

 その言葉を聞いて私の顔は真っ赤になった……アニエラはそんな私を見て悪戯っぽい顔しながら笑っていた。

 私は嫌と言うよりどちらかと言えば好きなので、宿より借家を借りる事にしたの(笑)
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う

月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...