実はスライムって最強なんだよ？初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

第一章 最弱スライム始動編

第7話 能力強奪

　私は身を隠しながら［草原猪グラスボア］の帰りを待つと辺りが徐々に暗くなってきた頃に、『ブフォッ』と鼻息を立てながら住処に戻ってきたの。
　［草原猪グラスボア］は寝床らしき場所で大きな体を倒して、『ゴシゴシ』と背中を擦りつけてる。どうやら寝床を整えて寝る準備をしてるんだと理解したの。
　私は心の中で『ヨシッ』と叫び、［草原猪グラスボア］が寝るのをひたすら待ったの。

　そして待つこと1時間弱、大きな体は寝床で横向きになり、『グウォ～、ブウォ～』と聞こえる。遂に［草原猪グラスボア］は寝息を立てて熟睡したのを確認したの。

　私はそこから細心の注意を払いながら［草原猪グラスボア］に近づいて、起こさない様に優しく体に触れると、一瞬だけど『ブルッ』と体から動いたが、起きる素振りは無いのでそのまま【能力強奪】を発動させてみると、［草原猪グラスボア］から奪える能力が見えたの

［草原猪グラスボア］【突撃ラッシュ】【噛付】

　そこから何の変化も起こらないので、取り敢えず【突撃ラッシュ】を選んでみると

『スキル【突撃ラッシュ】を強奪しました』と、【並列思考】が教えてくれた。奪える能力が複数ある場合は、欲しいと思う能力を選ばないと奪う事が出来ないと判ったの。
　やっと攻撃するスキルを得る事ができた。これでガンガン魔物を倒して、思いっきりレベルを上げれると思ったら…【並列思考】さんが語り掛けてきて

『否、マスターの体力では［草原猪グラスボア］は倒せません。ですので、倒せる魔物と遭遇するまでは、【能力強奪】で力を奪い少しでも勝率を上げる努力をするべきです』
『はい…頑張りますね（汗）』

　うん、【能力強奪】してもステータスは低いもんね…小さくて弱い魔物さん早く出てきて下さいね（拝む）

　そして夜が明けて、［草原猪グラスボア］が食事に出たのを確認してからその場を後にした。
　そして私は、倒せる魔物を求めて、力を奪える魔物を求めて移動をしたの。最弱スライムである私は名もなき大地を彷徨い歩いたの…（実際は跳ねてますが）

➖➖➖➖新たなスキル➖➖➖➖
【突撃ラッシュ】勢いをつけて体当たりする攻撃。威力は体力と体重に比例する