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39 コンサート
しおりを挟む音楽コンサートはルゼ様達も代表として演奏をするものだから、学校のイベント史上最も大きいものだ。
最も大きいイベントで、尚且つもっともルゼ様に近づきやすい場である。
それを前世の私は必死に利用しようとしていた。
だが、今の私は何もしていない。
(リアラも見に来るわよね。そして、当然お父様も)
お父様はリアラが音楽コンサートに出られないことをとても怒っていらっしゃった。私にあたるというわけではないが、ウエスト家の名を背負い真面目に行動を起こさないとならない。
きっと、リアラが演奏をするとしたら前世のように多少ミスってもすべて私の責任。本人に直接何か被害が行くわけでもないだろう。
(前世の私は必死だったな)
見てほしくて
知ってほしくて
愛してほしくて
「あはは」
今はぶっちゃけどうでもいい。
無事に終わればそれでいい。特に他の感情はない。
「なぁに、面白いことでもあった?リーナ!」
教室で準備をしていると、ミレイが声をかけてきた。
「いや、楽しみだと思ってね」
ミレイとも私自身は不安ではあるがそこそこの関係でいられていると思う。
前世を知っているのはきっとこの世界では私だけ。
「そういえば、弟のルタが今日来るのよ!」
「そうな………………んえ?」
ルタって…
幼い頃にあったことがあるくらいだから、今の姿なんて知らない。
でも、名前で思い出してみる。あの猫に化けていた少年の姿を。
「どうかした?あたしの弟、忘れてた?」
どことなく落ち着いていて、それでいて優しいミレイに似ていて似ていない存在。
全てに継ぎ接ぎで結ばれたかのような何かを感じた。
「ルタって……、」
「ルタよ、ルタ!へへへ、忘れてたんだー!まあ、そうだよねそんなに関わらせてないし」
ミレイにルタと会ったことがある、いや…会っているだなんて言えるはずがない。
「あの子ね、魔法学を学んでいるの!再来年はここに入学してくるのよ!」
「そうなのね。立派になったわね」
(ああ……)
薄く目を開くミレイを見て察した。
ミレイはしっている。
いや、ミレイが助けてくれているのかもしれない…
ミレイは____
____
「なぁに?」
「なんでもないわ、それより準備があるからいくわね」
「はーい!」
今世の私は何かしら助けられているような感じがする。
もう、失敗してはいけないような責任も感じる。
「頑張らなきゃね」
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