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41 願い
しおりを挟む肝心な音楽コンサートはというと、言うまでもなく案外すんなりと終わった。
なにか悪いことがあったわけでもなく、かと言って嬉しいことがあったわけでもなく。
(よかった…)
前世のようにリアラたちが出るわけもないから、私が加害者にもならなかったし
しいていうなら、常に視線を感じていたくらい。まあ、普通か。
これで何かあるとすれば死ぬくらいのことだろうと、そう思うほど現実は過酷だった。
━━━━━━
ルゼ様と別れた帰り道、黒猫を見つけた。
「まさかね。」
ルタな気がしたが、まさか黒猫全員がルタなわけ…
「まーーーさかだよ!!」
「ひゃっ、?!?!」
まさかだった。
「契約者なんだからいつでもどこでも一緒だよ!!」
「け、けいやく?」
「あーー!もうどうでもいい!もう!リーナってばか!」
「はぁ?!」
一息ついてルタは口を開いた。
「今日は伝えたいことがあってきたんだよ。」
真剣そうなその瞳を除くと、どこか不安げで、私なんかよりも苦しそうなそんな言葉を発しようとしているように見えた。
「………。
……生きてね、リーナ」
どうしたのだろう
まるで、未来か何かを伝えるような。
黒猫…だからかな
何かを察した私は、この先のことを身構える必要があると感じたんだ。
「僕はリーナの前に現れるのはこれで最期。だから、ね」
「え?」
「リーナは幸せになるんだよ」
「……っ」
「もっと、自分の心に素直になって。これは、お願い」
そう私の手を握り話したルタはとても震えていて、
…そして、気がついたら消えていた。
自分は幸せになりたかった。
なりたいのにうまく動けなくて、本当に不器用で、
でも、私の周りには愛をくれる人がいて、
たとえそれが偽善でも、たとえそれが奪われようとしても
私は大切にしたい。
やっぱり、幸せになりたい。
(ありがとう、ルタ………
…ミレイ…)
「さて…」
「なにか、これから嫌なことがあるのかしらね」
‥ああ、
帰りたくないな
帰らないとな
そんなことを思って前へとゆっくり重たい足を動かした。
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