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35 祈りきれないこの痛みに
しおりを挟むオル視点です
 ̄ ̄  ̄
『いってくるわね』
そう微笑んだリーナ様は、なんだか消えてしまいそうで、とても美しくて、それでいて苦しかった。
『っ、』
いってらっしゃいませ
その言葉を届ける勇気が私にはなかった。
リーナ様はこの世界で一番私が守るべき、大切なお方だ。
『もういっそ_______』
うまく聞き取れなかったその言葉
絶対的にいい言葉ではないことはおおよそ理解できた。
その言葉を聞き取ることができていたら、何か変わる未来があるのではないか。そう思ってやまなかった。
「わた…しは…なんでこんなに…」
(無力なのだろう…)
ああ、涙が止まらない。
私の涙のぶんも、リーナ様が泣いてくれたらどんなに良かったのだろうか。
涙が枯れてしまったリーナ様を、そんな彼女を私は守りたい。
結局私は年下という理由でリーナ様に守られてばかりだ。
…それは、絶対に許されるべきことではない。
彼女は愛を受け取るのが苦手だ。
だからこそ、その分、守り、愛し、支えなければならない。
彼女が父親に暴力を振るわれてから、私は気が気でなかった。
簡単に消えてしまいそうなリーナ様を、
どう守るのが正解なのだろう_____と
「ああ、神よ」
何度目の祈りだろうか
「彼女を、どうか…
守ってください」
どうして彼女は、彼女の周りはリーナ様を大切にしない、、
どうして、大切を拒むんだ
痛みを精一杯受け止めてしまう彼女をどうしたら救えるんだ。
『貴方はやっぱり笑顔がとても素敵よ』
過去に言ってくれたリーナ様の言葉を思い出す
精一杯笑いたい
でも、、、、
「うっ、ううう、う」
自分の弱さに頭が痛くなった。
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