31 / 52
29 本心の痛み
しおりを挟む「リーナ嬢、ルゼ・ノワール様がお呼びです」
っ!?
登校してすぐ、レイン・ヘルさんに声をかけられた内容
正直予想はしていたが、何を話せばいいのだろう…?
前回のお出かけのときにしたお話の内容を振り返る
あ
『リーナ嬢は紅茶が好きなのですか?』
『ええ、好きですわ』
『おすすめの紅茶を今度聞きたい』
『承知致しましたわ』
きっとこれだわ、そうに違いない
──────────────
「失礼致します、ルゼ・ノワール様」
「あ、いらっしゃいリーナ嬢」
微笑みを浮かべるルゼ様は今日もお美しい。
私が好きになった人は、やはり好きになるべき素晴らしいお方だ、
…好きにならなければよかったなどという言葉を使うのははよくない。
…そう思った。
でも、今度は惚れたりできない、好きになってはいけない
辛くても、耐えなければいけない。
たくさんの思考がぐるぐる回る中で言葉を振り絞った。
「お紅茶のお話しでしょうか?」
「はい!おすすめの紅茶を知りたいのです。どうぞ、そちらに座って」
「ありがとうございます」
──────────────
「なるほど…ユアン町にこのような紅茶を揃えている店があるのですね、とても勉強になります。ありがとう、リーナ嬢」
「いえいえ…紅茶、とても好きなのでお話を人にできることを嬉しく思いますわ」
にこにことお互い笑う
過去の自分からしたらありえない時間、幸せな時間だったろう。
…ごめんね
私はもうルゼ様に興味を示してはいけないわ
「では、そろそろ戻りますわ」
「分かりました。ありがとう、リーナ嬢
…そして、ごめんなさい」
…え?
「どうかしました?」
「…先日、大勢の前で君が虐げられているところ、声をかけるのがとても遅かった。私も、あちら側の人間と思われたかもしれない。
…でも、私は君を______
「きにしないでください。私はそんなふうに思っていませんよ。
ありがとうございます。失礼致しました。」
その先の言葉は聞いてはいけない、
そう思った。
聞いたら自分に甘くなってしまう。
苦しいことが待っているかもしれないのに。
(…どうしよう、涙が出そうだわ)
─────────────
「やっぱり好きなのね、私」
小さく声に出した本心の言葉
痛みをこらえながら授業が始まった。
1
お気に入りに追加
776
あなたにおすすめの小説
あなたの一番になれないことは分かっていました
りこりー
恋愛
公爵令嬢であるヘレナは、幼馴染であり従兄妹の王太子ランベルトにずっと恋心を抱いていた。
しかし、彼女は内気であるため、自分の気持ちを伝えることはできない。
自分が妹のような存在にしか思われていないことも分かっていた。
それでも、ヘレナはランベルトの傍に居られるだけで幸せだった。この時までは――。
ある日突然、ランベルトの婚約が決まった。
それと同時に、ヘレナは第二王子であるブルーノとの婚約が決まってしまう。
ヘレナの親友であるカタリーナはずっとブルーノのことが好きだった。
※R15は一応保険です。
※一部暴力的表現があります。
もうすぐ、お別れの時間です
夕立悠理
恋愛
──期限つきの恋だった。そんなの、わかってた、はずだったのに。
親友の代わりに、王太子の婚約者となった、レオーネ。けれど、親友の病は治り、婚約は解消される。その翌日、なぜか目覚めると、王太子が親友を見初めるパーティーの日まで、時間が巻き戻っていた。けれど、そのパーティーで、親友ではなくレオーネが見初められ──。王太子のことを信じたいけれど、信じられない。そんな想いにゆれるレオーネにずっと幼なじみだと思っていたアルロが告白し──!?
【完結済】ラーレの初恋
こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた!
死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし!
けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──?
転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。
他サイトにも掲載しております。
悪役令嬢シルベチカの献身
salt
恋愛
この物語は、気が付かなかった王太子と、ただひたすらに献身を捧げた公爵令嬢の物語。
王太子、ユリウス・アラウンド・ランフォールドは1年前、下級貴族の子爵令嬢に非道な行いをしたとして、悪役令嬢シルベチカ・ミオソティス・マスティアートに婚約破棄を言い渡し、国外追放の刑を受けた彼女を見送った。
1年後、新たな婚約者となった子爵令嬢の不調をきっかけに、王太子は真実を知る。
何も気が付かなかった王太子が
誰が被害者で、
誰が加害者で、
誰が犠牲者だったのかを知る話。
悲恋でメリバで切なくてしんどいだけ。
“誰も悪くない”からこそ“誰も救われない”
たったひとつ、決められた希望を求めた結果、救いがない物語。
かなり人を選ぶ話なので、色々と許せる方向け。
*なろう、pixivに掲載していたものを再掲載しています。
既に完結済みの作品です。
*10の編成からなる群像劇です。
1日に1視点公開予定です。
とある令嬢の婚約破棄
あみにあ
恋愛
とある街で、王子と令嬢が出会いある約束を交わしました。
彼女と王子は仲睦まじく過ごしていましたが・・・
学園に通う事になると、王子は彼女をほって他の女にかかりきりになってしまいました。
その女はなんと彼女の妹でした。
これはそんな彼女が婚約破棄から幸せになるお話です。
【完結】ああ……婚約破棄なんて計画するんじゃなかった
岡崎 剛柔
恋愛
【あらすじ】
「シンシア・バートン。今日この場を借りてお前に告げる。お前との婚約は破棄だ。もちろん異論は認めない。お前はそれほどの重罪を犯したのだから」
シンシア・バートンは、父親が勝手に決めた伯爵令息のアール・ホリックに公衆の面前で婚約破棄される。
そしてシンシアが平然としていると、そこにシンシアの実妹であるソフィアが現れた。
アールはシンシアと婚約破棄した理由として、シンシアが婚約していながら別の男と逢瀬をしていたのが理由だと大広間に集まっていた貴族たちに説明した。
それだけではない。
アールはシンシアが不貞を働いていたことを証明する証人を呼んだり、そんなシンシアに嫌気が差してソフィアと新たに婚約することを宣言するなど好き勝手なことを始めた。
だが、一方の婚約破棄をされたシンシアは動じなかった。
そう、シンシアは驚きも悲しみもせずにまったく平然としていた。
なぜなら、この婚約破棄の騒動の裏には……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる