もう惚れたりしないから

夢川渡

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28 幼馴染

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「幼馴染…ね…」






家に帰ってひとりで考える、



…なんで教えてくれなかったのかしら?




……いや、そこに疑問を持っても仕方がないか…








あのときメアがあんな表情で尋ねてきてくれたこと、何でなのかがわからない。






(私には、わからないことが多いわ…)




やはり、頭が悪いとはこういうことを言うのか……思考がうまく回らない。





…。

「わざわざ聞くのもだめよね…」





心にある言葉にできないもやもやとした感情をうまくすり潰して、明日になる備えをする。






もしかしたら、今日のお出かけをよく思っていない人もいるかもしれない…いや、絶対にいる。






『──リーナお姉様をとられたくないの!!』







あんな言い回しをしたリアラだって、きっと嫌なことだろう。










巻き戻しをさせて、前と違う流れにした私の神様。

こんなに意地悪な神様なら明日を不幸な日にだってかんたんにできてしまうだろう。








「どうか…がんばるから……」




他の人を傷つけるようなことは起きないでほしい……

そう願いながら眠りについた。





───────────




「おはようございますリーナ様」

「おはよう、オル」





朝になった。いつもより少し早めの起床…
不安が大きいせいかあまり休めなかった。






「今日も、早めに学校に行くわ」

「かしこまりました、リーナ様」





やっぱりリアラと同じ時間の食事、登校はせいしんてきに辛い。すぐに察してオルは動いてくれる。







「もういっそのこと、オルと二人で旅にでも出ようかしら…」




「なにかいいましたか?リーナ様」


「あっ、なんでもないわ、ごめんなさい」







いやいやいや

こんなに優しくて純粋なオルを私事に巻き込んではならない。






…旅にでるなら一人出てないと……








…って、そうじゃないか……







朝から非現実的な変なことばかり考えてしまうわ…



さっさと準備を終わらせて、でないと……










昨日のうちに用意しておいた教材や筆入れを鞄にいれて、扉を開けた







馬車に乗っている時間はあっという間だ、緊張していてはいけない、考えないと。


「リーナお嬢様、どうぞ」

「ありがとう」











(うまくいった一日になりますように)
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