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23 神様を信じている
しおりを挟む前世のリアラはリーナの罪のすべてを、証拠とともに提出した人物だ。
今回、あからさまな嘘のいじめを訴えてきたリアラは、一体何が変わったのかと考えてしまう。
(何故、自らの立場を壊すようなことを企み、動いたのかしら)
リアラは馬鹿ではない、というか頭が良い。
それは前世からの関係においてしっかりと記憶づけしている。
ルゼ様に気づいてもらうためにひたすら努力して動いたリーナの学力を、リアラは前世ではかんたんに追い越していた。
(なら…本当に何故?)
『お姉様が私と仲良くなる前にほかのひとにとられてしまうのがいやなの!!!!』
これは妹の立場を利用した言い訳にしか感じなかった。
『彼女を信じてはならない』
そう断罪されたリーナが教えてくれている気がするのだ。
(私は、彼女に愛されるほどのことをしていないわ)
───私に愛などいらない
すべて神様のせいにしていいのか、分からない。
でも、こんな状況の私を生かしている神様にも責任はあると思う。
こんな考えがよぎる時点でもう…
(私は神様を信じているのかしら)
神様という存在がいなければ起こらなかったはずの理解不能な巻戻りをされた今でもそう思ってしまう。
誰からの愛も受け取らず、誰にも愛を受け取ってもらえなかった過去の私が見せた幻覚なのではないか?
そう考えてしまうリーナがいた。
(とりあえず今の私がするべき事は守ること)
ただそれだけだ。
この際自分なんてどうでもいい、過去に捨てたものだ。
婚約者候補に愛され苦しませられたルゼ様
16にして主人と居場所を無くすオル
仲の良かった人に苦しめられてしまうミレイ
私の罪を自ら被ってしまったメア
たくさんの傷つけたられた人達
彼らを守るためにはリーナが動くしかない。
(私はうまく動くことができるのかしら)
正直一人でこの重荷を背負うのは不安でしかない。
でも、今は前よりはいい方向に向かっていることも確かなのだ。
『貴方は分かっているはずよ____
『ルゼ様を…愛していた…か、ら
急に浮かんでくるあのときの映像。
人を愛することほど怖いことはない……
そう考えさせてくれる過去の自分の行動。
馬鹿な私でも分かる自分の醜さ。
これを少しでも減らせている今なら、きっと変われる。守ることができる。
リーナはなんやかんや皆を愛しているのだ、
だからこそ自分を嫌う。
(私は、ルゼ様のことが____
あのとき思い出した、心の奥深くにある愛を無理やり壊していく。
「もう、これ以上、好きにさせないで欲しいわ」
無理な願いなのはわかっている。
でも、リーナには守るべきものがたくさんあるのだ。
(未来を知っている私しか頼れる人はいない)
今日も、心で自分と会話をして、前へ進む
文化祭まで一か月ない。
今回の人生で一番変化した部分はここだ。
(”音楽コンサート”…)
前世のルゼ様とミレイの出会いの場が大きく変わっている。
(…どうか、良い方向に変わってください)
信じているのかいないのかわからない神様にリーナは祈りを捧げた
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