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9 押してだめなら引いてみろ…みたいな
しおりを挟む「リーナ様、おはようございます」
「おはよう」
今日も教室に入り挨拶をする。
至って普通の生活…
ただ、今日から違うことが一つある…
「文化祭の組分けがされたので見に行きましょう?リーナ様」
文化祭月間になったのだ。
私の学校の文化祭は、クラスで1つの作品を作るのではなく、“全学年が混ざった組”で1つの作品を作る。
前回の人生ではルゼ様と同じ組だった、そして、ミレイとも……
息を飲み込みそっと組分け表を見る____
「…え?」
何故…?
ルゼ様とも、ミレイとも違う組だったのだ。
「やった……」
小さな声で喜びの声を上げる…
神様は助けてくださった…2回も…
私の名前の下にメアもいた…
なんて幸せなのだろう…こんなに心から嬉しいと感じたのはいつぶりだろうか…あまり黒板の前にいても良くないのでそっと組分けを記録し、席に戻る。
─────────────
「リーナちゃん!!!一緒だったね!!組!!」
「ええ!」
帰り道、メアとお話をした。
メアも嬉しそうにしてくれていた。よかった……。
(私のせいで壊してしまった過去の未来を…こんどこそ…)
────固く決意した。
このときの私は組分け表にいるある人物を見落としていた…
──────────────
「おはようございます。リーナ嬢」
「っ、おはようございます、レイン・ヘル…さん…」
レイン・ヘル、
ルゼ様の幼馴染であり親友……
断罪されたあのとき…静かに微笑んでいた彼の顔を思い出す……
「何か…御用でしょうか?」
「同じ、組になったので…親友の婚約者候補の方ですし、挨拶をしようかと……」
「あ、同じ組だったのですね!失礼致しました…」
「「・・・。」」
じーっと私の顔を見るレイン・ヘルさんは
突如口を開いた。
「あの…」
「はい」
「何故、動かないのでしょうか?」
「あ、ここの席使うのですか?すみませんどき…「いえ…」
…なんだ…?この人…
「…?」
「ルゼ様の一番有力な婚約者候補として名が上がっているのにもかかわらず、全くと行っていいほどルゼ様に好意をしてしていませんよね?…興味がないような………まわりの女性達は皆ルゼ様にはり付いているというのに…」
すらすらと思ったことを言うタイプの人だ…
急にたくさん言葉を投げられた私は焦ってしまった
「ええと…私は…わたし…は」
言葉が詰まる…
一度は恋をした相手だ…
簡単に “好きではない” と言うのは苦しい…
すると、隣で音がした
「リーナちゃんに何か用ですか?」
っ!
振り返ると少し怒ったような顔のメアがいた。
「あっ、メア……」
「メア・イオルさん……あ…っ…」
メアを見たレイン・ヘルさんは何か面白いものを見つけたかのような顔をしたあと、
「用事を思い出したので失礼いたします。」
去っていってしまった。
─────────────
「たすかった……ありがとう…メア…」
「いえいえ…何もされてない?大丈夫??」
「大丈夫よ…本当にありがとう……」
急にあんなことを聞いてきて、レイン・ヘルさんはどうしたのだろうか……
人生を巻き戻してからというものの、2日目のあの日以外レイン・ヘル様にも、ルゼ様にも関わっていないのに……
「あっ、」
一つ思い浮かんだ……
「あ~…」
入学前の私、めちゃルゼ様にアピールを……していた…
「急に話しかけなくなったから、困っている……?」
……いや、ルゼ様ほどのお方がそんなことで困りはしないか……
自己中心的な考えすぎた…
さっきのことはきっともうレイン・ヘルさんも頭にないのではないだろうか?
今は自分のこと最優先で頑張ろう。
もう、誰か中心の世界で生きているわけではないのだから____
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