愛されたい男

かじはら くまこ

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「ううん、何でもないです。」

「そう。」

シャンプーをする手を休まずに変な時間が流れる。

「そういえば、ここはアルバイトはいないんですか?」

明人が尋ねた。

「アルバイト?ラストまで入ってくれる女の子が1人いるよ。あとは常勤の従業員が2人いるよ。それも若い女の子とちょっと年をとってるお姉さんと。」


「男って雇ってくれないんですか?」

「男だから女だからってわけじゃないよ。たまたま希望してこないだけで。」


「じゃあ男でもいいんですか?」

男でももちろんいい。

けど、男を雇うと色々な感情がめばえそうで心配だ。女の子の従業員もいるし。

職場で恋愛関係のイザコザなんて面倒だ。

たまたま働きたい希望があればまあそれもいいのかなあ。

「うん。いいよ。」

ニコニコ笑って言った。

すると明人が急に目の上にかけてあるタオルをとった。

「な、なに?」

ぎょっとして光男が一歩後退りした。

「僕ここで働きたいです。」

「君が?」

「はい。」

「いや、けっこうこの仕事って大変よ。」









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