真実の愛に目覚めたら男になりました！

番外編

高瀬の恋人 26

高瀬商店が一丸となっていた頃、恵の実家の藤田家ではそろそろ恵嗣の一歳の誕生日ということで、何を誕生日に送るかじいじとばあばが話をしていた。

スターフィールドカフェのカウンターに座る岳と艶子が美月に尋ねる。

「もう考えすぎてどつぼにはまってきてるのよ。何がいいかしら？」

「そうですねえ。お父さんとお母さんは何を考えてるんですか？」

「わしは恵嗣のための三輪車を特注で作ったらどうかと思うんだ。」

「三輪車ですか。いいですね。」

「三輪車は向こうのお父さんたちが用意するって私は思ってるの。だから三輪車じゃなくて恵嗣のお洋服とかがいいんじゃないかしら？」

「なるほど！それも考えられますね。」

「ほら、美月ちゃんもそう思うでしょ？」

「ふむ。」

岳も艶子もさっきから同じ話をずっとしている。


「あのさ、さっきからずっと同じ話してるじゃない。」とコーヒーをいれている心が口を挟む。

「はは。そうですねえ。なかなか話が決まりませんね。」

かれこれ30分ほど話し込んでいる。

「このままここで話したってまとまらないと思うわ。私が姉さんに聞きに行ってくるよ。」

と心。

「でもお前も忙しいだろ。」と岳が言う。

「忙しいけど、ここで悩んでいられても会社としてもカフェのオーナーとしても迷惑なんですけど。」
と返す心だった。