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第2部 同棲編
117 高瀬の秘め事
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土曜日は一番忙しい。
だからいろんな人に手伝ってもらってなんとかカフェをやりくりできている。
しかし、こうもいろんな人がきたのではほんとにカフェを成り立たせることがむずかしいのじゃないだろうか。
あまりにも他力本願な状態に頭が痛くなる。
朝礼をしながら美月も憂鬱だった。
「今日は基本、ホールは武田くんと真田くん、心さん。で途中3時間くらい心さんと川畑さんが交代します。で、工場のほうはお父さんと高瀬さんとお母さん、私です。お昼の休憩もとるように途中で声かけるのでしっかり休憩はとってください。じゃあよろしくお願いします。」
みんなが持ち場にいく。
真田は看板をだすのを武田に教わっていた。
心はキッチンのコーヒーのチェックに向かう。
工場に行きながら、高瀬が美月に尋ねた。
「恵さん、調子どうかな?」
「実は入院してて。それで今日心さんが途中で抜けるのもお姉さんを迎えにいくためなんです。」と美月。
「え、恵さん、入院してるんですか?」
「はい。高瀬さん知ってるかと思ってた。」とキッチンの心が、言う。
「最近、連絡してなかったから。」
「あ、今日からお姉さん落ち着くまでうちに泊まるからあとで高瀬さん会って帰ったら?」と心。
「いいのかな?恵さんきついのに。」
「いいよね。美月。」と心。
「うん。話し相手がいたらお姉さんもいいんじゃないかな?なんならうちでごはん食べていってもいいですよ。」と美月。
「いや、そこまでは、、恵さんに無理させられないし。」と高瀬。
「うん。まあ、姉さんの調子次第でいいんじゃない?昼くらいに連れて帰ってくるから。」と心が言った。
「うん。」
高瀬は工場に行きながらひそかにため息をついた。
小さく。息を吹くように。
高瀬は恵から連絡がこない間に恵が入院していたという事実に少なからずショックを受けた。
そんな辛いときに、力に慣れない自分は、恵に、とってどんな存在なんだろう。
少なくとも友達では、あると思っていた。でも、何の連絡もないなんて。
俺は恵さんにとって友達以下なんだろうか。
虚しさが込み上げる。
やはりこの思いは一方的なもので胸に秘めとかないといけないものなのかもなあ。
ただ、ひたすらに皿洗いをしていた。
ここのカフェの皿洗いでの時間が少し自分を無にさせてくれた。
「高瀬さん先に休んでくれ。」
隼人が声をかけた。どれくらい時間がたったのか。
「あ、もう13時なんですね。了解です。」
高瀬が1人思いをめぐらせている間に時計は1時をまわっている。
心はもう迎えに行っただろう。
せめて一目でも会えれば自分の気持ちもおさまるだろうか。
だからいろんな人に手伝ってもらってなんとかカフェをやりくりできている。
しかし、こうもいろんな人がきたのではほんとにカフェを成り立たせることがむずかしいのじゃないだろうか。
あまりにも他力本願な状態に頭が痛くなる。
朝礼をしながら美月も憂鬱だった。
「今日は基本、ホールは武田くんと真田くん、心さん。で途中3時間くらい心さんと川畑さんが交代します。で、工場のほうはお父さんと高瀬さんとお母さん、私です。お昼の休憩もとるように途中で声かけるのでしっかり休憩はとってください。じゃあよろしくお願いします。」
みんなが持ち場にいく。
真田は看板をだすのを武田に教わっていた。
心はキッチンのコーヒーのチェックに向かう。
工場に行きながら、高瀬が美月に尋ねた。
「恵さん、調子どうかな?」
「実は入院してて。それで今日心さんが途中で抜けるのもお姉さんを迎えにいくためなんです。」と美月。
「え、恵さん、入院してるんですか?」
「はい。高瀬さん知ってるかと思ってた。」とキッチンの心が、言う。
「最近、連絡してなかったから。」
「あ、今日からお姉さん落ち着くまでうちに泊まるからあとで高瀬さん会って帰ったら?」と心。
「いいのかな?恵さんきついのに。」
「いいよね。美月。」と心。
「うん。話し相手がいたらお姉さんもいいんじゃないかな?なんならうちでごはん食べていってもいいですよ。」と美月。
「いや、そこまでは、、恵さんに無理させられないし。」と高瀬。
「うん。まあ、姉さんの調子次第でいいんじゃない?昼くらいに連れて帰ってくるから。」と心が言った。
「うん。」
高瀬は工場に行きながらひそかにため息をついた。
小さく。息を吹くように。
高瀬は恵から連絡がこない間に恵が入院していたという事実に少なからずショックを受けた。
そんな辛いときに、力に慣れない自分は、恵に、とってどんな存在なんだろう。
少なくとも友達では、あると思っていた。でも、何の連絡もないなんて。
俺は恵さんにとって友達以下なんだろうか。
虚しさが込み上げる。
やはりこの思いは一方的なもので胸に秘めとかないといけないものなのかもなあ。
ただ、ひたすらに皿洗いをしていた。
ここのカフェの皿洗いでの時間が少し自分を無にさせてくれた。
「高瀬さん先に休んでくれ。」
隼人が声をかけた。どれくらい時間がたったのか。
「あ、もう13時なんですね。了解です。」
高瀬が1人思いをめぐらせている間に時計は1時をまわっている。
心はもう迎えに行っただろう。
せめて一目でも会えれば自分の気持ちもおさまるだろうか。
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