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第2部 同棲編

112 仲直り

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門前仲町の自宅に帰ってきた。

鍵をあけて中に入る。

二階に上がっていく。

「美月、お風呂どうする?」

「外に行ったしもう一回入ろうかな。」

「うん。私もそうしようと思って。先に入って。」

「ありがとう。」

美月と心はいろんなことを洗い流したかった。

お互いに疑いを向けたこと、疑いをむけられるようなことをしていたこと、また黙って行動したこと、姉のことも色々。

美月はシャワーを浴びてリビングの座卓の前に座って髪を乾かしていた。

心もシャワーをあびて座卓に座った。

心は正座している。

どうしたのかなと思って顔を心のほうへ向けた。

「なに?」

「美月、姉のこと色々してくれてありがとう。」

正座して手を太ももにのせて頭を下げる。

「あ、え、なに?聞いたの?」

「うん。姉に電話したら病院にきてって言われて話をしてきたの。」

「あ、そうだったんだね。」

「嫌気がさしたよ。美月は姉のことで色々やってくれていたのに、こそこそしてるって思ってた自分に。」

「いや、私も黙ってたから。」

「姉が黙っててって言ったんでしょ。美月は悪くないじゃん。」

「もう、いいって!正座とかやめて。」

「ごめんね。」

「うん。」

美月に許してもらえた心は美月の隣に座って手をつないだ。

またも「ごめんね。」という。

「ううん。」

美月も心にもたれかかる。

寄り添うような格好で手を握り会う。

心がぎゅっと力をこめて手を握ると、美月もそれに答えるように手を握り返す。

何度かそんなことを繰り返し、心が美月のほおに手をそえてキスする。

短い軽いキス。

また手をつなぐ。

聖人君子の心先生の心の中は複雑である。

今日は明日もあるし、ケンカしたばかりだし、仲直りしてすぐこういうことになるのはダメダメ。美月はカフェのあとに姉の入院に付き合って、おまけにケンカしてあのバーに行って疲れてるんだから!

しかし、心の中の悪魔がささやく。

ほんとに?
ケンカしたばかりだからこそ美月がほしいんじゃないの?

そこに聖人君子があらわれる。

いやダメダメ。

葛藤が繰り返される。


何度か手を握りキスするを続けている。

美月が心に言う。

「心さん、私、、あっちに行きたい。」

美月が寝室をさす。

恥ずかしいのか遠慮がちに指をさす。

う、、、。

美月も、そう思ってた、、。

「いいの?今日、忙しかったでしょ?」

「うん。でも私もちゃんと仲直りしたい。もっと甘えていいんだよね?」

はあーーー。ダメ。

我慢できません!

「うん。」

すくっと美月を抱き上げて寝室に向かって歩き出す。

寝室をあけてパタンとしめた。

ベッドに美月をおろした。

おろしながらキスの雨を降らす。

おでこに、瞳に唇に。

もうキスしないところはないくらい。

二人は久しぶりに甘い夜を過ごした。

できることならばお互いだけを見つめてずっと過ごしたい。

そして、溶け合うほどに一つになりたい。

ずっと。このまま。

愛する人の瞳にうつるのが自分だけならどんなにかいいだろう。

この思いをどうやったら愛する人にわかってもらえるだろう。

求めあうことでしか示せないのか、、?

その方法はわからない。

ただ手をのばす。

のびた手をとり、重なる身体。

夜の帳に、二人の息づかいだけが響く。

愛し合う二人の夜は熱く長いのだった。
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