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第2部 同棲編

97 突然の出来事

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水曜日、藤田グループに行くことになった心。

「美月、今日は待ち合わせすることできないの。」悲しそうに心が言う。

「そうなんだ。全然大丈夫。」

心はいつもは着ないグレーのスーツにネクタイをしめている。

「全然大丈夫って。」心外といわんばかりのうらめしそうな心。

「あ、いや。ほら毎日一緒だし。」

と美月がいうと、大げさにため息をつく心。

「私のほうが大丈夫じゃないのね。。」

「まあまあ。帰ってきたらまた一緒に門仲に帰ろうね。」

「うん。」

残念そうに肩を落とす心をなだめる美月。

「あ、髪きったほうがいいんじゃない?」

「そう?」

「うん。やっぱりスーツは爽やかに着てほしい。」

「わかった。」

上着を脱ぎ、セルフカットするために洗面所へ向かう。
5分くらいしてさっぱりとした心がでてきた。
サラリと流れていた前髪をカットすると精悍な眉と瞳があらわれる。


「あ、やっぱり髪きるといいよー!」

「そう?」

美月にいいと言われて、心が機嫌よく出て行った。

美月は今日は10時半に恵と約束をしていた。
それまで何しようかな。
床に寝転びごろごろとしている。
こういうときが一番いいなあ。
何をするでもなく考えるでもなくボーッとできる日々に安堵する。
それは突然の電話で覆されるのだが、つかの間のゆっくりとした時間だった。

ブーッ ブーッブーッブーッ

スマホが鳴った。
早苗からの電話だった。

「もしもし。早苗ちゃん?」

ーー美月さん?

「うん。なんかあった?」

ーー私、明日からお店行けなくなりました。

「何?なんかあったの?風邪?」

ーー何も聞かないでください。

「どういうこと??」

ーーやめさせてください。

「早苗ちゃん? 」

電話がきれる。

「どうしたんだろう。」

昨日、何かあったのかも。

武田に電話した。

「もしもし武田くん?」

ーーはい。

「早苗ちゃんが急にやめるって言ってるんだけど、なんか聞いてない?」

ーーえっ??何も聞いてないですよ。川畑さんと飲みに行く話は聞きましたけど。


「川畑さんと?川畑さんなんか聞いてるかもしれないよね。電話してみる。」

川畑と早苗は飲みに行くような関係だったのか、、それは全くしらなかった。

川畑に電話する。

「もしもし、川畑さん?」

ーーはい。どうしました?

「昨日、早苗ちゃんと飲みに行きました?」

ーー行きましたよ。早苗ちゃんなんかあったんですか?

「今、電話きて。やめるって。」

ーーえ?昨日そんな話してなかったよ。昨日は会社の近くに飲みに行って。それから俺の行きたかった店に付き合ってもらつて。

「行きたかった店?」

ーーうん。あ、月曜日にカフェに行ったときのお客さんからバーをやってるって名刺渡されて。行ったことなかったから行ってみたいなって思って。早苗ちゃんを誘って行ったんです。

「もしかして、ムーンナイト?」

ーーそう、そこ。

「ありがとう。」

早苗ちゃん、何があったの?

ムーンナイトで?

山上さん、、どういうことなの?

私も行ってみよう。

ムーンナイトへ。

美月は着替えてムーンナイトへ行くことにしたのだった。

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