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第2部 同棲編
65 京都旅行 5
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タクシーで祇園まで向かう。
心の手をとりタクシーからおりる美月。
皆が振り替える。
こそこそと耳打ちする。
「みんな美月のこと本物の舞妓さんだって思ってるんじゃない?」
「ほんとに?」
周りの観光客の人たちが、美月と心を見ている。
「舞妓さんじゃないの?」
小学生くらいの女の子が話しかけてきた。
心が「違うよ。」と言う。
「ほんとに?すごくきれい。お兄さんもお姉さんも。」
「ありがとう」と美月。
「あら、この子はすいません。急に。」と
女の子の両親が話しかけてくる。
「いえいえ。きれいだって言ってもらって嬉しいです。」と美月。
「本物じゃないんですか?」と父親に尋ねられる。
「いえ、違います。宿で舞妓さんになれるプランがあったんです。」と心。
「本物かと思いました。」と母親。
「今日東京からきたばかりです。」
「そうなんですね。私たちは昨日岩手からきたんです。さすが東京のカップルは素敵なんですね。」と言われて満更でもない2人。
「ありがとうございます。」
「あの、記念に写真をとってもいいですか?」と母親が尋ねる。
「本物じゃないですけど。」と美月。
「いいんです!本物じゃなくても本物みたいですから!」と父親に言われて写真におさまった。
見つめあってふふと笑う心と美月。
「ありがとうございます。いい旅を。」
両親が会釈をした。
「バイバイ」女の子も手をふって、心と美月も手をふった。
祇園のお茶屋さんが並ぶ界隈を歩く。
美月は本当に京都の舞妓さんになった気分だった。
心も祇園のまちにとけ込んでいた。
美月も心もいつもの喧騒を忘れた。
東京から離れて京都にきて、いつもと違う格好をして、そこは何者にもとらわれない二人の世界だった。
二人いるだけでも幸せなのに、この非日常の中でこんな格好をして時間を過ごすことができるなんて、とても幸せだわ。
ほんとに、このプランを申し込んで良かった。
美月の姿を後ろから眺める心。
いつもと違う姿だけれど、笑顔は美月だった。
美月の笑顔は私がこの世界に生きていることを強く実感させてくれる。
笑顔がまぶしい。
世界がたとえ光のない世界にあっても彼女のそばにいるだけで私はきっと生きることをやめない。
というより、やめられないだろう。
その姿を求めてきっと生き続ける。
そう思う心だった。
祇園を30分くらい歩くともう疲れたのだろう。
「歩けない。」と美月が言い出した。
「うん。じゃあ帰ろうか。」
短い時間だったが、二人は祇園の雰囲気を堪能した。
「心さん、最後に。」
「なに?」
こそこそと耳打ちする。
「え、ここで?」
「うん。心さんの後ろ誰もいないよ。」
ちょうど橋のたもとにいる。
向こうからは誰もこない。
心はかがんで美月のおでこにキスをした。
ちゅと軽く。
「ありがとう。いい思い出になった。」
「ううん。私の方こそ。」
とても素敵な祇園デートを過ごしたのだった。
心の手をとりタクシーからおりる美月。
皆が振り替える。
こそこそと耳打ちする。
「みんな美月のこと本物の舞妓さんだって思ってるんじゃない?」
「ほんとに?」
周りの観光客の人たちが、美月と心を見ている。
「舞妓さんじゃないの?」
小学生くらいの女の子が話しかけてきた。
心が「違うよ。」と言う。
「ほんとに?すごくきれい。お兄さんもお姉さんも。」
「ありがとう」と美月。
「あら、この子はすいません。急に。」と
女の子の両親が話しかけてくる。
「いえいえ。きれいだって言ってもらって嬉しいです。」と美月。
「本物じゃないんですか?」と父親に尋ねられる。
「いえ、違います。宿で舞妓さんになれるプランがあったんです。」と心。
「本物かと思いました。」と母親。
「今日東京からきたばかりです。」
「そうなんですね。私たちは昨日岩手からきたんです。さすが東京のカップルは素敵なんですね。」と言われて満更でもない2人。
「ありがとうございます。」
「あの、記念に写真をとってもいいですか?」と母親が尋ねる。
「本物じゃないですけど。」と美月。
「いいんです!本物じゃなくても本物みたいですから!」と父親に言われて写真におさまった。
見つめあってふふと笑う心と美月。
「ありがとうございます。いい旅を。」
両親が会釈をした。
「バイバイ」女の子も手をふって、心と美月も手をふった。
祇園のお茶屋さんが並ぶ界隈を歩く。
美月は本当に京都の舞妓さんになった気分だった。
心も祇園のまちにとけ込んでいた。
美月も心もいつもの喧騒を忘れた。
東京から離れて京都にきて、いつもと違う格好をして、そこは何者にもとらわれない二人の世界だった。
二人いるだけでも幸せなのに、この非日常の中でこんな格好をして時間を過ごすことができるなんて、とても幸せだわ。
ほんとに、このプランを申し込んで良かった。
美月の姿を後ろから眺める心。
いつもと違う姿だけれど、笑顔は美月だった。
美月の笑顔は私がこの世界に生きていることを強く実感させてくれる。
笑顔がまぶしい。
世界がたとえ光のない世界にあっても彼女のそばにいるだけで私はきっと生きることをやめない。
というより、やめられないだろう。
その姿を求めてきっと生き続ける。
そう思う心だった。
祇園を30分くらい歩くともう疲れたのだろう。
「歩けない。」と美月が言い出した。
「うん。じゃあ帰ろうか。」
短い時間だったが、二人は祇園の雰囲気を堪能した。
「心さん、最後に。」
「なに?」
こそこそと耳打ちする。
「え、ここで?」
「うん。心さんの後ろ誰もいないよ。」
ちょうど橋のたもとにいる。
向こうからは誰もこない。
心はかがんで美月のおでこにキスをした。
ちゅと軽く。
「ありがとう。いい思い出になった。」
「ううん。私の方こそ。」
とても素敵な祇園デートを過ごしたのだった。
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