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第2部 同棲編

63 京都旅行 3

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布のお店で教えてもらったお茶碗屋さんへ向かった。

「清水の里」と書いてある小さな看板がある。

布のお店で聞かなかったら素通りしただろう。

「これ、お茶碗屋さんってわからないよね。」
と美月。

「ほんとね。何事にも先達が必要だわね。」

と言いながらお店に入る。

「こんにちはー。」

「おこしやす。」

小柄な初老の男性がお店にいた。

「さっき和布 の清田さんから紹介されてきました。」と心が言う。

「はい。電話いただいとります。」

「さっきお店でたばかりだったのに連絡してくれたんだね!」と美月が心に言う。

「うん。」

「こちらにどうぞ。」

案内されて、畳の座敷にあがる。

テーブルの上にお皿やコーヒー椀が並べられている。

「お気に召すものがあればいいどすが。」

「はい。ちょっと見させてください。」

心と美月はじーっと目をこらしてそれを見ていた。

その中で、美月が目をひいたものがある。

白い清水焼きのコーヒー椀に赤や黄色のぼかしの水玉が描かれているお茶碗だ。

「これ、かわいい。」

「これは、女性の若手の作家さんが作ったものどすなあ。清水の古い伝統の中にあたらしい息吹きを感じるお茶碗どすな。」

店主が言うとおり、今までの清水焼きにはないものだ。

「うん。いいね。カフェでも使えるんじゃない?」と心が言う。

「これってお菓子を乗せるようのお皿もありますか?」と美月がたずねる。

「ええ。」と店主が奥に入っていった。

奥の部屋から持ってきたお皿。

四角や丸や葉っぱの形のお皿があった。大きさも色々ある。

「色々あるね。」

「面白いね。」

「こんなにあると迷うね。」

「じゃあとりあえず洗いやすいし、丸の皿を大小買ってみる?」

「そうだね。」

「大小の皿をそれぞれ10枚ずつ買いたいんですが、おいくらですか?」と心。

「14500円どす。」

「はい。送ってもらいたいので送料も含めてお願いできますか?」

「はい。」

ここでも送ってもらうように手配してお店をでた。

「もしまたお皿を購入したいときはこちらに電話したら送ってもらうことできますか?」
最後にまた美月がたずねる。

「ええ。気に入ってもらえたならオーダーでも作ってもらうこともでけるかもしれまへん。そのときはまた電話ください。」

「ありがとうございます。」

「おおきに。」

オススメの店でお気に入りのお皿を買うことができた美月は満足して店を出た。

「百聞は一見にしかずというけど、まさにそれだったわね。」と心。

「うん。やっぱり足を運んで正解だった。いい買い物ができた!心さんのお陰だよ。ありがとう!」

美月が心にお礼を言ってぎゅっと腕に抱きついたのだった。
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