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第2部 同棲編

59 嫌な予感4

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山上がコーヒーを一口飲んだ。

「うん。おいしい。」

素直においしいコーヒーに山上は驚いた。

すっきりするし、あとをひかない。

香りも、いい。

「ありがとうございます。」

「このコーヒーはとてもいいですね。早苗さんがいれたの?」

「はい。そうです。」

「お店出せるよ。コーヒー専門で。」

「ありがとうございます。」

「早苗さんも良かったら今度きてださい。」と言い名刺を渡した。

「はい。」

特になんの興味もないが、美月さんが行くときはついていかなきゃ。


「スターフィールドカフェの由来ってどんな由来なんですか?」

「単純です。星原って名前なので。星の原っぱで。」

「なるほど。ムーンナイトも単純なんです。夜の山の上には月があるかなあと思って。ただそれだけで。」

「そうなんですね。」

「美月さんがきてくれると一段といい夜になりそうです。」

ひとしきり話をして山上は帰っていった。。


ーーーその日の夕方。

「ただいま。」

心が帰って来た。

「おかえりなさい!」

武田が勢いよく迎える。

「武田くん、まだいたの?」

「はあ、今日はけっこう忙しかったんです。さっきまでお客さんもいて。それより先生。今日すごくやな感じのやつがきたんです。」
武田は早速、心に報告している。

「やな感じのやつ?」

「そうです!」

「美月さんとデパートでチーズの話をした男がわざわざ1人で、カフェにきたんですよ。」

「ふーん。」

「しかもなんか親しげに話をしてうちの店にもきてくださいとか言って、僕たちにも名刺を渡して帰っていきましたよ!」

と言いながら名刺を見せる。

ちらと、みるけどそこまで興味はない。

ただ、嫌な予感が当たったってことだな。

「武田くん、変な勘ぐりだよ。そんな風に思ってないと思うよ。」と美月が奥から早苗とでてきた。

「そうですよ。」と早苗。

女は大抵顔のいい紳士に弱い。


「あーあ、完全にだまされてる」と武田。

「まあまあ。その人が百歩譲ってやましい気持ちがあったとしても、私がいたら諦めるんじゃないのかなあ?」
と心が言う。

「心さんの言う通りだと思います。何もないのに騒いだら失礼だよ。」と早苗。

「いや、だって、、ほら先生に質問してくる女の人と似たような感じがして。」と武田。

「ああ、あの人ねえ。。武田くんの忠告は素直に聞いとくから。ねっ美月。」と心。

まああの女の人がしつこいのは武田くんが言わなくても私も気付いているけどね。


「もちろんよ!」と美月。

「美月もこう言ってることだし。大丈夫。」

と心がなだめる。

、、、にしてもまた美月もやっかいな人に好かれたね。

山上久か、、、。

何か意図があるのかもね。

思いをめぐらす心。

早苗と美月は美月の胸元に光るピンクトルマリンのネックレスの話で盛り上がっている。

はたと思い出す。
そういえば、美月に何もプレゼントを送ったことがない。

美月と付き合ってもうすぐ一年だけど、クリスマスも誕生日も何もプレゼントをあげたこともないしもらったこともない。婚約したと言ってもお互いの両親に紹介しただけで指輪もあげていなかった。

姉さんに先を越されちゃった。

女の子ってなんだかんだ言って宝石が好きなんだね。

こんなに喜んでる。

今まで付き合った人にもプレゼントをあげたことがなかった。

物なんかやっても心がなければなんにも意味ないと思ってたけど、美月があんなに喜ぶならあげるのもいいかもね。

「心先生、なににやついてるんですか!」

「にやついてた?」

「はい。僕がこんなに心配してるのに先生は余裕ですね。」

武田が心をなじるのだった。




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