真実の愛に目覚めたら男になりました！

第２部 同棲編

56 嫌な予感1

休みの時間は、あっという間に終わる。

楽しいからその分また休みが楽しみになり仕事も頑張れるのだが、、、。

ただ、朝おきて目をあけると心が隣にいる。

その時間が美月にとっても心にとっても至福の時間だった。

「いってきます。」

ここ最近はもう店に降りる前に二階でハグしてキスをする。

隼人が朝早くから工場にでてくることが増えたのだ。

軽くほっぺにチュッとする。

美月は照れてれになり「いってらっしゃい」と言う。

それがとてもかわいくてもっともっとキスしたくなるのだが、それは押さえる。

これを続けてると自分で抑制がきかなくなるからね。

なんだか嫌な予感がして一言いう。

「美月、簡単に人に色々教えちゃだめよ。」

「何？」

「何でもない。」

とたんに仏頂面になり心は階下に降りていった。

「何、なにー？？」

追いかけるように美月が階段を降りる。

ちょうど隼人が工場からでてくる。

「おはよう。今から仕事か？」

「はい。」

「心さんいつもだけど、モデルみたいだな」

今日は白シャツの上にグレーのニット、黒のテーパードパンツをはき、上から薄手のコートを羽織っている。

「そうですか？けっこう自分は最近ズボラになってるんですけどね。」

「それでズボラだったら俺はどうなるんだ？」と娘に尋ねる隼人。

「お父さん、そんなの気を使ったことないじゃん。」

「だよな。でも今回はかなり気を使った！」

「何？」

「新商品の開発だ！」

「へえ。最近なんかはやくから工場にいると思ってました。」と心。

「そうなんだ。やっぱり客に飽きられないためには常に商品を追求しないとな。」

「お父さん、すごい！」

「近々、御披露目できると思うから、期待しててくれ。」

と隼人がへへへと目尻が下がりながら言う。


この親子、照れかたがそっくりね。

ふふとおかしくなって笑う心。

「楽しみにしてます。いってきます。」

カラカラ～
心が戸をあけて出ていった。

その姿を見送る美月。

「私の旦那さん、かっこいい。」

ボソッと言う。

「まだ結婚してねーじゃねーか。」
と隼人が突っ込む。

「そうだね。ほんと旦那さんって気持ちなんだけどね。」

「美月次第なんだろ？永すぎた春になんないようにしろよ。」

父親からそういわれるとおもはゆくなる。

「うん。」

「一度の失敗、、失敗にもなんねえな。相手がゲイじゃな。とにかくそんなことばかり考えてたって前に進めないぞ。」

全く、隼人もお見通しだ。

娘の臆病になっている理由は。

でも心さんはバイなんだよ。

それを知ってもお父さんはそう言えるのかな？

また裏切られたら？

恐い。