95 / 237
第2部 同棲編
42 久しぶりのむげん
しおりを挟む
約束の時間が近付いたので、お代を受け取り、心の実家をあとにする。
一度渋谷の心のマンションに寄り車をおいて二人で歩く。
むげんまでは歩けば15分くらい。
夜は少し涼しくなってきているので羽織りをきていく。
心と歩くこの道は久しぶりだった。
むげんの戸を開くと、活気のある店内に大将の声が響く。
「いらっしゃい。カウンター四席でいい?」
「もちろん。」
「心と美月ちゃん、久しぶりだな。忙しいのか?」
「うん。実は同棲をはじめて、それで足がとおのいちゃって。」と心。
「そうなのか?あれ見たぞ。ウイークエンドの記事。美月ちゃんのお店流行ってるんだな!」
「おじちゃん、見てくれたの?ありがとう。お陰さまで。どうにかお客さんもきてくれてる。」
「うん。あれでまた増えたんじゃないの?お客さん。」
「うん。そうなの。心さんも土日手伝ってくれてて。」
「美月さんと心さん、婚約したんですか?」とアルバイトのかなえちゃんが聞いてきた。
「うわ、かなえちゃん、久しぶり。そうそうなんかねえ。流れで。」と美月が言う。
「流れじゃないわよ。ちゃんと計画通り、婚約しました。とりあえずビール二つ。姉さんと高瀬さんがまだだけど、飲んじゃおう。」と心。
「まだ30分くらいあるしね。おじちゃん、今日のおすすめなに?」と美月。
「今日はさんまがいいのがあるよ。」と大将が言う。
「はあ、いいねえ。食べる前から楽しみ。やっぱ、お刺身とそのまま塩焼きとどっちもいきたいなあ。」と美月。
「了解。準備しとくよ。はい。ビール。」
「ありがとう。さすが、大将。美月の食い気をわかってる。」心が言うと、美月が肩をすぼめる。
「何かと言うと心さんが冷やかしてくるからおいしいものがおいしくなくなるかも!」
「やだ。悪いって言ってないのに、むくれちゃってるわ。とりあえず、乾杯しましょ。はい。お疲れさま。」
心と美月は乾杯し、ビールを半分くらい飲んだ。
「おいしー。」と美月。
「ケンカするほどなんとかってやつだな。」
と大将が言う。
「私もはやく彼氏欲しいです。」とかなえが言う。
「かなえちゃんいないの?」と美月。
「いませんよお。この居酒屋は家庭がある人や恋人がいる人たちが多く集うんですよね。もちろんそれが目的で働いてるわけじゃないんですけど。」とため息をつく。
「かなえちゃんに辞められたら困るから、そこらへん考えると変な男は紹介できねえしなあ。」と大将が言う。
「だよねえ。」と美月。
「こんなに大勢お客さんがいても、大将とかなえちゃんだけで店が切り盛りできてるなんてすごいよね。」と心。
「うん。私もカフェはじめてからそれを痛感してる。やっぱりできる人がいるとすごく順調にまわるよね。」
「うん。早苗ちゃんはコーヒーもうまいしね。」
「早苗ちゃんっているんだ?」と大将。
「うん。めっちゃ気が利くしね、コーヒーも上手だしね。お陰さまで店がうまく回ってる。」と美月。
「いい子がきてくれて、良かったな。長く勤めてくれるといいね。」
「ほんとにねえ。」と心がうなずいた。
一度渋谷の心のマンションに寄り車をおいて二人で歩く。
むげんまでは歩けば15分くらい。
夜は少し涼しくなってきているので羽織りをきていく。
心と歩くこの道は久しぶりだった。
むげんの戸を開くと、活気のある店内に大将の声が響く。
「いらっしゃい。カウンター四席でいい?」
「もちろん。」
「心と美月ちゃん、久しぶりだな。忙しいのか?」
「うん。実は同棲をはじめて、それで足がとおのいちゃって。」と心。
「そうなのか?あれ見たぞ。ウイークエンドの記事。美月ちゃんのお店流行ってるんだな!」
「おじちゃん、見てくれたの?ありがとう。お陰さまで。どうにかお客さんもきてくれてる。」
「うん。あれでまた増えたんじゃないの?お客さん。」
「うん。そうなの。心さんも土日手伝ってくれてて。」
「美月さんと心さん、婚約したんですか?」とアルバイトのかなえちゃんが聞いてきた。
「うわ、かなえちゃん、久しぶり。そうそうなんかねえ。流れで。」と美月が言う。
「流れじゃないわよ。ちゃんと計画通り、婚約しました。とりあえずビール二つ。姉さんと高瀬さんがまだだけど、飲んじゃおう。」と心。
「まだ30分くらいあるしね。おじちゃん、今日のおすすめなに?」と美月。
「今日はさんまがいいのがあるよ。」と大将が言う。
「はあ、いいねえ。食べる前から楽しみ。やっぱ、お刺身とそのまま塩焼きとどっちもいきたいなあ。」と美月。
「了解。準備しとくよ。はい。ビール。」
「ありがとう。さすが、大将。美月の食い気をわかってる。」心が言うと、美月が肩をすぼめる。
「何かと言うと心さんが冷やかしてくるからおいしいものがおいしくなくなるかも!」
「やだ。悪いって言ってないのに、むくれちゃってるわ。とりあえず、乾杯しましょ。はい。お疲れさま。」
心と美月は乾杯し、ビールを半分くらい飲んだ。
「おいしー。」と美月。
「ケンカするほどなんとかってやつだな。」
と大将が言う。
「私もはやく彼氏欲しいです。」とかなえが言う。
「かなえちゃんいないの?」と美月。
「いませんよお。この居酒屋は家庭がある人や恋人がいる人たちが多く集うんですよね。もちろんそれが目的で働いてるわけじゃないんですけど。」とため息をつく。
「かなえちゃんに辞められたら困るから、そこらへん考えると変な男は紹介できねえしなあ。」と大将が言う。
「だよねえ。」と美月。
「こんなに大勢お客さんがいても、大将とかなえちゃんだけで店が切り盛りできてるなんてすごいよね。」と心。
「うん。私もカフェはじめてからそれを痛感してる。やっぱりできる人がいるとすごく順調にまわるよね。」
「うん。早苗ちゃんはコーヒーもうまいしね。」
「早苗ちゃんっているんだ?」と大将。
「うん。めっちゃ気が利くしね、コーヒーも上手だしね。お陰さまで店がうまく回ってる。」と美月。
「いい子がきてくれて、良かったな。長く勤めてくれるといいね。」
「ほんとにねえ。」と心がうなずいた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる