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第2部 同棲編

26 陶磁器サロン

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心と美月はデパートの七階にある、陶器のサロンにきていた。

「すごいね。」

目の前にある空間に圧倒される。

ここはちょっとした美術館のようだ。

透明なケースの中に入っているお茶碗、花入れ、水差し、香枦など。

茶道で使う陶磁器が色々と陳列してある。


目にはいるものすべてが普段目にすることがないようなものだった。

その中で目についたものがあった。

九谷焼と書いてある。

色彩の鮮やかなきれいな絵がかいてある。

「これきれい」と美月。

「本当だわ。まるで本当に花が咲いているよう。鮮やかで存在感が半端ないね。 」

「うん。うん。でもすごい高いね。」

「そうねえ。カフェで使うにはもったいないというか、ほんといいお値段するわね。5枚で10000円越えちゃうね。」

「あ、これも素敵!どっしりしてて温かみがあるね。なんて読むのかな?のぶらくやき?」

「これはしがらきやきよ。信楽焼。」

「しがらき焼って言うんだ。九谷焼よりは買いやすいね。」

「そうね。滋賀県の焼き物で日本六焼に数えられてるんじゃないかしら。この焼き方が特徴なのかな。信楽の独特の土と登窯による炎がつくったわびさびを感じさせる趣のある作品が多いわね。これは羊羹もいい感じに映えそう。」

「映えよね。インスタとかでいい感じになりそうだよね。」

「うん。」

「あ、これもいいね。楽焼。」

「これは京都の焼き物よ。でもお菓子のお皿っていうより抹茶のお茶碗よね。楽家は千家十職の1つでお茶碗を代々作っているおうちなのよ。」

「へえ。そうなんだ。心さん、詳しいね。」

「うちの母がお茶やってるのよ。生徒さんもいるわよ。母に聞いたらものすごく語ってくるかも。」

美月は心の家に行った時の心の父と母の歓待ぶりを思い出す。行けば喜ばれそうだが、また孫、孫とせっつかれるような気もしないでもない。

「あ、それはそれで困るね。結婚を急がされそう。」

そうよね。私もはやく結婚したいけど、美月がそうなるのを待つってきめたしね。

「そうねえ。うーん。今度じゃあ京都に行った時に京都の陶磁器見てみる?」

「うん!」

「茶碗坂って言われるところもあるわよ。」

「すごい!楽しそう!」

「じゃあ京都では窯元巡り行ってみましょう。」

「うん。」

結局、なんでも仕事に結び付いてしまう美月と心だった。


「色々見ると楽しいけど、頭を使うね。」

と美月。

「疲れた?」

「うん。すこしね。」

「じゃあお茶でもしましょうか。」

「いく!」

またもや美味しいものには目がない美月。

頭の中では、ケーキやチョコでいっぱいになったのだった。




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