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第2部 同棲編
22 潜入 3
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心も恥ずかしいやら、気まずいやら、とりあえず笑ってごまかした。
「はあ。」
小さくため息をついた。
「みつきさん、どうしたんですか?」
とこそこそと田中がきいてきた。
「なんかいま目があっちゃって恥ずかしかっただけ。」
とこそこそ声で返す。
心は何事もなかったように講義を続けていた。
心の先生の姿は美月に強烈にやきついた。
外見とかじゃなく、これはかっこいい。
知識がどんだけ頭に入ってるんだろう。
なんで学生さんに声をかけられないのかが少しわかった。
きっと見えない壁があるんだ。
心という人間を知れば知るほど彼に近づき固くなる。
窓から差し込む光が彼の周りにまといつく。そこだけが違う空間のように見える。
私は彼をよく知らないうちに恋に落ちたからここまでは思いもつかなかった。
隣の田中と武田は聞こえてくる説明をせっせとノートにとっている。
美月は机の上に頬ずえをつきひたすら心を眺めていた。
それをじっと見つめる女がいた。
美月たちの右の斜め後ろに座っていた。
結だった。
結はじっと心をみていた。
もちろん、美月のこともみていた。
この人、ノコノコとよく講義聞きにこれたわね。。
先生の講義の時間まで奪おうとしてるのかしら?
先生はこんなにずっと見られていて嫌じゃないの?
あんだけカフェも手伝ってあげてるのに!
きっと嫌なはずだわ。
結は美月のことはもちろん知っていた。
スターフィールドカフェの記事を読んだのだ。
何気なく開いたグルメ情報誌に心がのっていたこのときの驚きは未だに忘れない。
ずっと尊敬していて、9月からわざわざ聴講生として講義を聞きにいくことにしていた慶明大学の藤田心が載っていたのだ。
しかもカフェの店員で。
しかも婚約者として。
これは結が知る藤田心ではなかった。
優しい笑顔で誰からも親しまれる雰囲気の美月と心。
違う。こんなのは藤田先生じゃない。
私の知る先生は、頭の中のいろんな知識を駆使して、アナログデータをデジタルデータに変換して新しい価値を創造できる神のような人よ。
ほら、今みたいに藤田先生は講義をしてくださるときが素晴らしい。
カフェの店員として働く藤田先生なんて本当の先生じゃない。
彼は私にとって神のような人。
だけど、それだけじゃなかった。
話してみてわかった。
優しく丁寧な物腰、そして、親切。
神ではなく人間で話してすぐに引き込まれた。彼の魅力。
男として好きになってしまった。
あの女の婚約者ではない。
藤田先生は私の運命の人よ。
絶対に私のものにするわ。。
「はあ。」
小さくため息をついた。
「みつきさん、どうしたんですか?」
とこそこそと田中がきいてきた。
「なんかいま目があっちゃって恥ずかしかっただけ。」
とこそこそ声で返す。
心は何事もなかったように講義を続けていた。
心の先生の姿は美月に強烈にやきついた。
外見とかじゃなく、これはかっこいい。
知識がどんだけ頭に入ってるんだろう。
なんで学生さんに声をかけられないのかが少しわかった。
きっと見えない壁があるんだ。
心という人間を知れば知るほど彼に近づき固くなる。
窓から差し込む光が彼の周りにまといつく。そこだけが違う空間のように見える。
私は彼をよく知らないうちに恋に落ちたからここまでは思いもつかなかった。
隣の田中と武田は聞こえてくる説明をせっせとノートにとっている。
美月は机の上に頬ずえをつきひたすら心を眺めていた。
それをじっと見つめる女がいた。
美月たちの右の斜め後ろに座っていた。
結だった。
結はじっと心をみていた。
もちろん、美月のこともみていた。
この人、ノコノコとよく講義聞きにこれたわね。。
先生の講義の時間まで奪おうとしてるのかしら?
先生はこんなにずっと見られていて嫌じゃないの?
あんだけカフェも手伝ってあげてるのに!
きっと嫌なはずだわ。
結は美月のことはもちろん知っていた。
スターフィールドカフェの記事を読んだのだ。
何気なく開いたグルメ情報誌に心がのっていたこのときの驚きは未だに忘れない。
ずっと尊敬していて、9月からわざわざ聴講生として講義を聞きにいくことにしていた慶明大学の藤田心が載っていたのだ。
しかもカフェの店員で。
しかも婚約者として。
これは結が知る藤田心ではなかった。
優しい笑顔で誰からも親しまれる雰囲気の美月と心。
違う。こんなのは藤田先生じゃない。
私の知る先生は、頭の中のいろんな知識を駆使して、アナログデータをデジタルデータに変換して新しい価値を創造できる神のような人よ。
ほら、今みたいに藤田先生は講義をしてくださるときが素晴らしい。
カフェの店員として働く藤田先生なんて本当の先生じゃない。
彼は私にとって神のような人。
だけど、それだけじゃなかった。
話してみてわかった。
優しく丁寧な物腰、そして、親切。
神ではなく人間で話してすぐに引き込まれた。彼の魅力。
男として好きになってしまった。
あの女の婚約者ではない。
藤田先生は私の運命の人よ。
絶対に私のものにするわ。。
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