上 下
28 / 237
第1部 オカマと思っていたらその男はバイだった。

先生のプライベート!

しおりを挟む
「じゃあ武田くんを送っていくからもう帰るね。ゆっくりしてね。」心が武田と店をでる。

「うん。ありがとう。武田くん明日も宜しく。主に平日お願いするね。」

「はい。宜しくお願いします。」

いつもならキスくらいするところだが、武田もいるし、そういうわけにもいかない。そのまま二人は帰って行った。

さあ、片付けも終わったし、ゆっくりしようかなあと背伸びした。
ぐううとお腹がなった。

そういえば今日は忙しくてみんなには交代でお昼を食べてもらったが自分は食べていなかったのを思い出す美月だった。


「スターフィールドカフェっていいお店ですね。」

助手席の武田がいう。 

「うん。色々こだわりが凝縮されてるからね。」

「先生って私生活全く見せてくれないから意外でした。まさかカフェを手伝ってるなんて。」

「私もいつの間にかこうなってて自分でも意外だよ。」

「今度休みの日、田中さんを誘ってきてもいいですか?」

「田中さん?」

ツールフリーの会社説明会で待ち合わせに5分遅れた女子学生だ。道に迷ってしまって遅れたと言っていたが、遅刻は遅刻だから仕方なかった。
受からなかったのには何かほかに理由があったと思いたいが。

「はい。田中さん、ツールフリーだめだったから落ち込んでるみたいで、田中さんもジャズ好きだって言ってたから」

「そう。いいと思うよ。今年は厳しかったね。武田君と前原君の2人だけだった。」

「はい。年々厳しくなっていきますね。大学でてなくてもすごい技術をもってる人たくさんいますし。」

「そうだね。田中さんはほんとに残念だった。」

「実は僕、田中さんのことをずっと好きで。同じ地方組だし。」

ええ、それ私に言っちゃっていいことなの?

「そうなんだ。」

「卒業までには言おうとは思うんです。」

「ふーん。それでスターフィールドカフェに誘ってもっと距離を詰めたいってこと?」

「そーゆーところです。先生の手伝ってるところなので誘っていいのかなと思ったんですが、たぶん気にいると思って。」

「ふーん。単に手伝ってるだけだから、働いてるわけじゃないし。知られたところでどうってこと無いと思うけど。私がいても気にすることは無いよ。ま、がんばって。」

私と美月には関係ないことだわ。武田君と田中さんがどうなろうとも。なぜそんなことを私に言ってくるのかはわからないけど。

「でも先生って美月さんと付き合ってるんじゃないですか?」
武田が申し訳なさそうに尋ねた。

「はあ?なんで?」

「美月さん、かわいいし、先生がすごく美月さんの世話を焼いてたように見えたんですけど。」

なかなかするどいわね。

「、、、。君と田中さんのことは私が知りたかったことでもないし、私のことを君が知ることもないと思うけど。」

「あ、そうですね。すいません。美月さんほっておけないタイプですもんね。」

こんなガキにまでそう思われる美月って、、、。やっぱり目の届くところにいてもらいたいわ。心の心中は内心穏やかではない。

「うん。まあ、そうだね。」

「そのうち行くと思います。」

心は自分に関係ある人であっても人の恋路に入っていくことは絶対無い。
それはそれ。これはこれ。
目の前にあることを信じる人間だった。

美月と心がつきあってると武田や田中に知れたところでそれが何かの弊害になることはない。

「どうぞ。ご自由に。あ、そこでいいかな?」

「はい。」

「じゃあ明日から宜しく。」

「はい。僕、もう授業火曜日と水曜日だけだったからちょうどよかったです。火曜日と水曜日がカフェの定休日って聞いたんで。」

車を大学の近くで停めた。

「ありがとうございました。先生が手伝ってるときに田中さんと来ちゃったらすみません!」

武田が頭をさげた。

「別に気にしないでいいよ。じゃあ。」

まさか武田を誘ったことで、思わぬことがおこるとは心も予想だにしていなかった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...