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第1部 オカマと思っていたらその男はバイだった。

福岡の緑茶カフェ

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「いらっしゃいませ。鳥山さんから連絡いただいてます。」

「こんにちは。今日はよろしくお願いします。」

美月は心と福岡の八女茶のお店「田中製茶」にきていた。

「今日は和菓子に合うお茶を探しにいらっしゃったとおうかがいしております。」

店主の田中さんは父世代の柔和な人だった。

「実はうちも緑茶カフェをしているんですよ。ま、一店舗あるだけなんですが、そっちは息子が経営していて、この店の隣でやってます。行ってみませんか?」

「はい!行きます!」

田中に案内されて隣のカフェに行ってみる。

れっきとしたお茶屋さんだが、和と洋の折衷した雰囲気で小さなテーブルがいくつも並び一人でも利用しやすそうだ。
メニューは普通の煎茶ホットティー、煎茶アイスティー、煎茶フラペチーノ、ほうじ茶ホットティー、ほうじ茶アイスティー、ほうじ茶フラペチーノ、玉露ホット、紅茶ホットなど、お店で販売されているものがならんでいた。そしてソフトクリームもある。もちろんお茶のソフトクリームだ。値段も250円から500円の間で買いやすい金額だ。
美月は煎茶ホットを注文しレジで会計をすませ、お茶がでてくるのをカウンターで待ち、出来上がったのを受け取りテーブルに座った。煎茶ホットはホット用の紙コップに入ったお茶だ。
心は玉露を注文していた。
同じようにレジで支払いし、カウンターで受け取りテーブルにつく。玉露はお盆に専用の茶器とお湯と湯飲みがのっており自分でお湯を入れてお茶を入れる方式だ。
小さな紙にお茶の入れ方が書いてあるのがお盆に乗っている。

「なんか新鮮ね。お茶屋さんだけど、スタバみたいだわ。」

「うん。音楽もおしゃれな洋楽がかかってるし。」

煎茶ホットを飲んでみる。

「うわあ、おいしい。」

心もお湯を入れて湯飲みにお茶をそそぎ、玉露を飲む。

「うん。おいしい。」

お茶をゆっくり味わっていると田中の息子がやってきた。

「こんにちは。今日はわざわざ福岡までようこそ。お茶はどうですか?」

「すごくおいしいです。香りも
いいしコクもある。」

「羊羹には間違いなくあうと思いますよ。」

「この紙コップも手軽でいいですね。持ち運べるからこのままもって帰れるし。」

「玉露は玉露で特別感がありますね。」

「そうでしょう。お茶はほんといろいろあるからわからないって人も多いんですよ。でももっと気軽にお茶にふれてほしいって我々お茶屋は思ってます。」

「あっ、あの。うちの和菓子カフェで煎茶ホットと玉露をおなじようにして取り扱ってもいいですか?もちろん田中製茶さんの商品と紹介した上でです。」

「ええ、もちろん。うちとしても東京進出できるのはありがたいです。」

トントン拍子に田中製茶さんと契約にこぎつけることができた。

「このテーブルとか椅子も可愛いですね。」

「これ鳥山さんのところでお願いしました。僕もインテリアはあまり興味ないんですが、おかげで女性客に人気で。」

店内を見渡すと女の子同士のお客さんが目立つ。

「なるほど。さすが鳥山さんですね。」

「あいつもそういうのこだわりがあるからな。幼稚園のときからだけど、図工とか何かを作るときのこだわりがすごかった。気に入るまで徹底的にやってた。」

「そうですよね。福岡まで何度も足を運んでくれましたよ。おかげで福岡でも話題のカフェとして取り上げてもらったりしてます。この紙製コップも鳥山さんのアイデアで。」

「手軽に飲めるのがあたったんですね。」心がいう。

「ええ。お茶が美味しいのはもちろん自信がありました。でもここまで人気がでたのは鳥山さんのおかげです。」

~~~~~~~~~~~

「心さん、どっか行く?」
田中製茶をあとにした美月は心が借りたレンタカーに乗り込んだ。
朝早くの飛行機にのってきたからまだまだお昼までも、時間がある。

「そうね、せっかく福岡きたし、ソフトバンクの応援を夜はするとして、下関まで行ってみる?」

「山口の?遠くない?」

「いや、こっからだと車で高速使って一時間半でいけるみたい。」

「山口行ったことない。行ってみたいなあ」

「じゃあ決定。ふぐ料理でもたべましょ!」

「やったー!」

福岡インターから高速にのった。
途中、関門海峡を越える。

「これが関門海峡かあ、ほんと上から見るとわかるけど、いろんな船がいるね。やっぱりここは九州と本州をつないでる橋なんだねえ。」

「壇之浦の戦いがあった場所と思うとなんか感慨深いわね。もしかしたら平家の怨念がまだ漂ってるかも、、」

「ちょっと、心さんそういうのやめて!私怪談とかまじで嫌。寝れなくなるじゃん!」

と腕を叩くと、「あ、ちょっと運転中よ。ごめん。ちょっとからかっただけよ。」

「もう~~~!」

心といると居心地よくて自分の何もかもが不思議と浄化されていくような心地がする。

「ね、心さんさ、兄弟いるの?」

「いるわよ。姉が1人。」

「お姉さんって何歳?」

「確か5歳上だから41歳かな。」

「結婚してるの?」

「それがねえ、してないのよね。」

「そうなんだ。恋人はいるんじゃないの?」

「それがねえ、どうも女の子が好きみたいなのよね。」

「え、心さんみたいに両方じゃなくて?」

「うん。もうね、私がいうのもなんだけど、あれはね、男よ。男。」

「仕事もバリバリだし、頭もきれるし、あの人こそ、生まれる性別間違ったんだと思うのよね。宝塚の男役みたいな人よ。」

「へえ、また強烈だね。」

「そう。だからこんな私でも親にとっちゃ普通にみえるんだと思うわ。ほら私、見かけ普通でしょ。男も好きですなんて、言わなきゃわかんないしさ。」

ええ、全く普通じゃないですよ。
キレイだしかっこいいし頭もいいし何でもできるじゃないですか!?

「うーん。ま、普通かな。」
うそつき。。

「でしょ。姉なんてスカートはいたことないし、いつもパンツスーツで髪もショートカットでしかも化粧しないのにキレイな顔でさ~。女の子だったらかなりもてるって思うのよ。あ、女の子にはもてるんだけどね。」

「そうなんだ。キレイな人なんだろうな~。」

「会ってみる?」

「え、いいの?」

「もちろん。オープンしてから今度スターフィールドカフェに呼んでみるわね。私なんて姉のおかげで仕事も自由にさせてもらってるし、もし姉がいなかったら強制的に親の会社に入らされてたわ。ほんと頭があがらないの。」

「そうなんだ。じゃあお姉さんに
嫌われないようにしなきゃね。」

「美月はそのままで大丈夫よ。あ、そろそろ下関におりるわね。さっき調べたけど唐戸市場ってところがあって生鮮食品とかお寿司とか売ってるみたいなんだけど、市場に行ってみない?」

「行ってみたい!!」

「じゃそこに行くわね。」

心は唐戸市場に向かった。

唐戸市場はふぐの唐揚げやふぐ指しはもちろん、さまざまな海鮮物、お寿司、食堂にいたるまで大変な賑わいを見せる市場だった。

知らない場所で、知ってる人もいなくて、頼りになるのは心だけ。はぐれないようにしっかり手を繋いだ。

「珍しいわね?」

「はぐれないように!準備!」

「やっぱたまにはこういうのもいいわね。」

「え?」

「非日常っていいなーと思って。」

「そうかも。」

いつも頼りにしてるんだよ。ほんとは私。心さんに依存しないように気をつけているんだよ!

「また旅行行こうね!」

お互い相手を大切に思う心がずっと続きますように願う2人だった。




























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