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「空の樽頂戴。持って帰るから」
「なら俺運ぶよ。子供居るんだろ?」
壬生さんの言っていた通りビールの樽を持ってきた美晴から品物を受け取り、伝票にサインをする。
ゆったりとしたオレンジ色のワンピースの上に、店名の入った藍色のエプロンを掛けている美晴を気遣うが「これ位何て事無いから」と空の樽をひったくり、ズカズカと外へ向かってしまう。
闊達で男勝りな印象は相変わらずだが、少しお腹が膨らんでいるのが見て分かり、やはり妊婦なのだと認識する。
このまま放っておくのもバツが悪い。
とりあえず後を追い、美晴が乗ってきたシルバーの軽ワゴンへ赴く。
開かれたバックドアから中を覗き見ると、そこにはこれから配達されるであろう様々な種類の酒が入ったケースが並んでおり、妊娠中であるにも拘わらず体を労わっていないのが見て取れる。
「この酒、これから配達すんの?」
「見れば分かるでしょ。まあこれでも少ない方よ」
空の樽を置くと軽ワゴンの荷台に腰掛け一息吐く美晴。ぶっきらぼうな口調も、やはり昔のままだ。
だが声は少し太くなっただろうか。記憶を辿るがイマイチ思い出せない。
「お腹、しんどいか?」
「まあねえ。でもつわりは治まったし、だいぶ楽にはなったよ。先週から店番と配達やってるんだ」
「あんま無茶すんなよな……親御さん心配する……と。ご結婚と妊娠、おめでとうございます」
「これはこれはどうも、ご丁寧に。結婚は三年前だけどね」
嫌味っぽく聞こえてしまったのか、美晴の口調も少し棘がある。
「康平からは少し聞いてたけどさ、いつ帰ってきたのよ」
「あー……今年の二月ぐらい」
「もう半年。顔ぐらい見せたっていいんじゃないの?」
「婆ちゃんの葬儀とか遺産や遺品の整理とかで忙しかったんだよ。悪い」
「まあいいけど。あんたの車、実は何度か見てたから。……白々しくてちょっと寂しかっただけ」
「……悪い」
何となく会うのには躊躇いがあった。それで結局、機会を逃してしまった。
日々の忙しさにかこつけて、見て見ぬフリを続けていたのだ。
加えて康平から「結婚している」と聞いて、余計に会う気は無くなっていた。
だって、どんな顔して何を言えばいいのか、さっぱり想像もつかなかったから。
こうして会うと昔に抱いていた気持ちが疼くような感覚がある。
格好つけて、興味のないフリをして、それでも気になってしまって。あの頃の身悶えするような想いが、古くなったカサブタの奥から顔を覗かせているように思えた。
「康平から聞いてるか? 俺のやってる事」
「うん。キャンプ場作ってるんだって?」
「おう。東京で出来た友達と、康平と壬生さんと……あと他にも手伝ってくれる人達が居て何とか進めてるよ」
「随分人望がお厚い事で。まあ、私に比べたらゾウリムシみたいなもんだけどね」
「はは、懐かしいなそれ」
よく、自分を誇大する時に美晴が言っていた言葉だ。理科で微生物の事を習ったその日から口癖のように言っていた。
それと共にもう一つ思い出した事がある。
「魚屋さん、サンマとアジとマグロください」
「魚屋じゃねーよ、酒屋だよ! ……って何やらせてんの!」
二人で顔を見合わせて笑い合う。小学生の頃の定番ネタだ。
美晴の苗字は魚屋(うおや)なのに、家業は酒屋を営んでいるので色んな人から言われていた。
「あーあ、涼は変わんないね。なんかヒョロくなったし禿げた気もするけど」
「はあ!? そう言う美晴は太……痛っ!」
「私は子供居るからだっての!」
即座に右脛に突き刺さる美晴のローキック。かなり痛い。
「ったく、デリカシーってのが欠落してんのよね」
「お前マジで……まあいいや」
昔より体重が乗っているせいか滅茶苦茶痛いのが入った。しかし余計な事を言えば更にもう一発飛んでくるだろう。
口は災いの元だとは、天狗ちゃんとのやり取りでしっかりと学んでいる。
……まあ、活かせていないわけだけど。
右脛を摩りつつ、何を話すか考える。
「そう言えば店移転したんだな。それに商工会の顔だとか?」
「正しくは商工会の青年部の方だけどね。そっちの役員やらされてるの。店を移すのは当たり前でしょ、こんな寂れた地区で商売するより東に行った方が需要があるわ」
「そりゃそうか。康平も青年部の方で一緒って事か?」
「そうそう。でもたまにしか顔合わせないけどね。康平は随分変わったよねえ、馬鹿っぽい所はそのままだけどさ」
「あの明るい所と社交的な所は見習いたいよ正直。まあ、馬鹿だけど」
歯を見せて笑う美晴に釣られて笑ってしまう。
「涼、あんた壬生さんの所で雇ってもらったの?」
「違う違う、こっちは手伝い。キャンプ場の方を手伝ってくれるからさ、お互いに体貸し合ってるんだよ」
「何それ、いかがわしい」
「すっかり仲良しなんだぜ俺ら」
「ツッコめっての……あんたと話してると頭が痛くなりそう」
「はは。……改めて妊娠おめでとう。産まれて落ち着いたらさ、連絡くれよな。お祝いしたいから」
そう言うと美晴は意外そうな表情を浮かべる。
俺としても、こんな言葉が出るとは自分でも思わなかった。
「そんな、気を遣わなくてもいいのに。……あ、でもあんたとは一回飲みたいかなあ。東京の話とか聞きたいし」
「別に大した話なんか無いよ。でも、そうだな。その時奢らせてくれ」
「うん。旦那も紹介するからさ、皆で飲も」
旦那、という言葉を聞いて小さくチクリと刺された気分になるが、それを顔に出す事は無い程度に俺も歳を重ねている。
「是非会ってみたいね。お前みたいな暴力女をもらってくれる人なんてさ」
「言ってろ。ウチの旦那は役場務めの公務員なんだから。今や課長になって、胃痛と戦い残り少ない毛髪を禿げ散らかしてる日々よ」
「……それ大丈夫なのか? なんか色々心配になってきたんだけど」
「大丈夫。優男だけどタフだから。私が選んだ人だもの」
自身満々に言い切る美晴を見て、ああ、いい人と出会えたんだな。と安心する気持ちと微かな疼きが胸に湧く。
「今は苗字も魚屋じゃなくて”竹田”なの」
「へえ、婿に貰ったんじゃないのか。竹田さんねえ……役場で会ったかな?」
「旦那は長男だから。多分あんたは会ってないんじゃない? 地域振興課っていう村興しの担当課だから」
「なるほど、そりゃ大変な所の課長さんだ……」
高速のインターが近くに出来たとは言え、この風切は過疎が進んでいる村だ。徐々に終わりに向かおうとしている所の村興しなど、相当に気苦労が絶えないだろう。
「随分サボっちゃった。そろそろ私行くね」
「おう。……あ、スマホ向こうに置いてきちまった。後で康平から連絡先聞いとくから」
「うん、来年辺りになるだろうけど皆で集まろうね。よく分かんないけど、キャンプ場作るの頑張りなよ」
「ありがと。美晴こそ大事を抱えてるんだからさ、無理すんなよ」
「大丈夫大丈夫。軟な女じゃありませんから!」
立ち上がり右手の平を俺に向け、歯を見せて笑う美晴。
何だろうかと思ったが一つ思い当たり、苦笑いしつつ俺も手の平を見せる。
そして互いに勢いよく突き出して打ち鳴らす。ハイタッチだ。
子供の頃、何か嬉しい事があった時によくやっていた。
それからは互いに軽く別れの挨拶をして、遠ざかっていく車の背を見送った。
「ちゃんと話せたかい?」
「壬生さん、性格悪いですよ。分かってて俺に頼んだか」
背後から聞こえた声に、顔も見ずに答える。
「ごめんね。でもこうでもしないと君達話す機会無さそうだったからさ」
「……はあ、妙な気を遣わなくても大丈夫ですよ。俺らも大人なんだし」
「ふふ、どうだか」
壬生さんのからかうような言葉に、少しばかりムッとなってしまう。
「ほら、もうすぐお昼になっちゃうよ。仕事仕事!」
「はいはい。……でもまあ、一応。ありがとうございました」
作業場に戻ろうと急かす壬生さんの背中に、小さく礼を言う。
「何か言った?」
「いえ、何でも」
……あの顔、しっかり聞こえてるんだろうな。ニヤケる頬が隠せてないっての。
少しばかり壬生さんを憎たらしく思いながらも、美晴と交わしたハイタッチを何となく思い出し、昔の影を重ねた。
「なら俺運ぶよ。子供居るんだろ?」
壬生さんの言っていた通りビールの樽を持ってきた美晴から品物を受け取り、伝票にサインをする。
ゆったりとしたオレンジ色のワンピースの上に、店名の入った藍色のエプロンを掛けている美晴を気遣うが「これ位何て事無いから」と空の樽をひったくり、ズカズカと外へ向かってしまう。
闊達で男勝りな印象は相変わらずだが、少しお腹が膨らんでいるのが見て分かり、やはり妊婦なのだと認識する。
このまま放っておくのもバツが悪い。
とりあえず後を追い、美晴が乗ってきたシルバーの軽ワゴンへ赴く。
開かれたバックドアから中を覗き見ると、そこにはこれから配達されるであろう様々な種類の酒が入ったケースが並んでおり、妊娠中であるにも拘わらず体を労わっていないのが見て取れる。
「この酒、これから配達すんの?」
「見れば分かるでしょ。まあこれでも少ない方よ」
空の樽を置くと軽ワゴンの荷台に腰掛け一息吐く美晴。ぶっきらぼうな口調も、やはり昔のままだ。
だが声は少し太くなっただろうか。記憶を辿るがイマイチ思い出せない。
「お腹、しんどいか?」
「まあねえ。でもつわりは治まったし、だいぶ楽にはなったよ。先週から店番と配達やってるんだ」
「あんま無茶すんなよな……親御さん心配する……と。ご結婚と妊娠、おめでとうございます」
「これはこれはどうも、ご丁寧に。結婚は三年前だけどね」
嫌味っぽく聞こえてしまったのか、美晴の口調も少し棘がある。
「康平からは少し聞いてたけどさ、いつ帰ってきたのよ」
「あー……今年の二月ぐらい」
「もう半年。顔ぐらい見せたっていいんじゃないの?」
「婆ちゃんの葬儀とか遺産や遺品の整理とかで忙しかったんだよ。悪い」
「まあいいけど。あんたの車、実は何度か見てたから。……白々しくてちょっと寂しかっただけ」
「……悪い」
何となく会うのには躊躇いがあった。それで結局、機会を逃してしまった。
日々の忙しさにかこつけて、見て見ぬフリを続けていたのだ。
加えて康平から「結婚している」と聞いて、余計に会う気は無くなっていた。
だって、どんな顔して何を言えばいいのか、さっぱり想像もつかなかったから。
こうして会うと昔に抱いていた気持ちが疼くような感覚がある。
格好つけて、興味のないフリをして、それでも気になってしまって。あの頃の身悶えするような想いが、古くなったカサブタの奥から顔を覗かせているように思えた。
「康平から聞いてるか? 俺のやってる事」
「うん。キャンプ場作ってるんだって?」
「おう。東京で出来た友達と、康平と壬生さんと……あと他にも手伝ってくれる人達が居て何とか進めてるよ」
「随分人望がお厚い事で。まあ、私に比べたらゾウリムシみたいなもんだけどね」
「はは、懐かしいなそれ」
よく、自分を誇大する時に美晴が言っていた言葉だ。理科で微生物の事を習ったその日から口癖のように言っていた。
それと共にもう一つ思い出した事がある。
「魚屋さん、サンマとアジとマグロください」
「魚屋じゃねーよ、酒屋だよ! ……って何やらせてんの!」
二人で顔を見合わせて笑い合う。小学生の頃の定番ネタだ。
美晴の苗字は魚屋(うおや)なのに、家業は酒屋を営んでいるので色んな人から言われていた。
「あーあ、涼は変わんないね。なんかヒョロくなったし禿げた気もするけど」
「はあ!? そう言う美晴は太……痛っ!」
「私は子供居るからだっての!」
即座に右脛に突き刺さる美晴のローキック。かなり痛い。
「ったく、デリカシーってのが欠落してんのよね」
「お前マジで……まあいいや」
昔より体重が乗っているせいか滅茶苦茶痛いのが入った。しかし余計な事を言えば更にもう一発飛んでくるだろう。
口は災いの元だとは、天狗ちゃんとのやり取りでしっかりと学んでいる。
……まあ、活かせていないわけだけど。
右脛を摩りつつ、何を話すか考える。
「そう言えば店移転したんだな。それに商工会の顔だとか?」
「正しくは商工会の青年部の方だけどね。そっちの役員やらされてるの。店を移すのは当たり前でしょ、こんな寂れた地区で商売するより東に行った方が需要があるわ」
「そりゃそうか。康平も青年部の方で一緒って事か?」
「そうそう。でもたまにしか顔合わせないけどね。康平は随分変わったよねえ、馬鹿っぽい所はそのままだけどさ」
「あの明るい所と社交的な所は見習いたいよ正直。まあ、馬鹿だけど」
歯を見せて笑う美晴に釣られて笑ってしまう。
「涼、あんた壬生さんの所で雇ってもらったの?」
「違う違う、こっちは手伝い。キャンプ場の方を手伝ってくれるからさ、お互いに体貸し合ってるんだよ」
「何それ、いかがわしい」
「すっかり仲良しなんだぜ俺ら」
「ツッコめっての……あんたと話してると頭が痛くなりそう」
「はは。……改めて妊娠おめでとう。産まれて落ち着いたらさ、連絡くれよな。お祝いしたいから」
そう言うと美晴は意外そうな表情を浮かべる。
俺としても、こんな言葉が出るとは自分でも思わなかった。
「そんな、気を遣わなくてもいいのに。……あ、でもあんたとは一回飲みたいかなあ。東京の話とか聞きたいし」
「別に大した話なんか無いよ。でも、そうだな。その時奢らせてくれ」
「うん。旦那も紹介するからさ、皆で飲も」
旦那、という言葉を聞いて小さくチクリと刺された気分になるが、それを顔に出す事は無い程度に俺も歳を重ねている。
「是非会ってみたいね。お前みたいな暴力女をもらってくれる人なんてさ」
「言ってろ。ウチの旦那は役場務めの公務員なんだから。今や課長になって、胃痛と戦い残り少ない毛髪を禿げ散らかしてる日々よ」
「……それ大丈夫なのか? なんか色々心配になってきたんだけど」
「大丈夫。優男だけどタフだから。私が選んだ人だもの」
自身満々に言い切る美晴を見て、ああ、いい人と出会えたんだな。と安心する気持ちと微かな疼きが胸に湧く。
「今は苗字も魚屋じゃなくて”竹田”なの」
「へえ、婿に貰ったんじゃないのか。竹田さんねえ……役場で会ったかな?」
「旦那は長男だから。多分あんたは会ってないんじゃない? 地域振興課っていう村興しの担当課だから」
「なるほど、そりゃ大変な所の課長さんだ……」
高速のインターが近くに出来たとは言え、この風切は過疎が進んでいる村だ。徐々に終わりに向かおうとしている所の村興しなど、相当に気苦労が絶えないだろう。
「随分サボっちゃった。そろそろ私行くね」
「おう。……あ、スマホ向こうに置いてきちまった。後で康平から連絡先聞いとくから」
「うん、来年辺りになるだろうけど皆で集まろうね。よく分かんないけど、キャンプ場作るの頑張りなよ」
「ありがと。美晴こそ大事を抱えてるんだからさ、無理すんなよ」
「大丈夫大丈夫。軟な女じゃありませんから!」
立ち上がり右手の平を俺に向け、歯を見せて笑う美晴。
何だろうかと思ったが一つ思い当たり、苦笑いしつつ俺も手の平を見せる。
そして互いに勢いよく突き出して打ち鳴らす。ハイタッチだ。
子供の頃、何か嬉しい事があった時によくやっていた。
それからは互いに軽く別れの挨拶をして、遠ざかっていく車の背を見送った。
「ちゃんと話せたかい?」
「壬生さん、性格悪いですよ。分かってて俺に頼んだか」
背後から聞こえた声に、顔も見ずに答える。
「ごめんね。でもこうでもしないと君達話す機会無さそうだったからさ」
「……はあ、妙な気を遣わなくても大丈夫ですよ。俺らも大人なんだし」
「ふふ、どうだか」
壬生さんのからかうような言葉に、少しばかりムッとなってしまう。
「ほら、もうすぐお昼になっちゃうよ。仕事仕事!」
「はいはい。……でもまあ、一応。ありがとうございました」
作業場に戻ろうと急かす壬生さんの背中に、小さく礼を言う。
「何か言った?」
「いえ、何でも」
……あの顔、しっかり聞こえてるんだろうな。ニヤケる頬が隠せてないっての。
少しばかり壬生さんを憎たらしく思いながらも、美晴と交わしたハイタッチを何となく思い出し、昔の影を重ねた。
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