26 / 45
第十二話 最後の教導 前編
しおりを挟む
「イクヤさん、もう少し延長してはいかがですか~?」
「馬鹿言え、やっと解放されると思うと清々するよ。……って、ありがとう」
ギルド会館の待合スペースで人を待っていると、アンナさんがお茶を置いてくれる。
「落ち着いたのか?」
「ええ、朝の業務は。新しい子も入りましたし押し付けてきちゃいました」
自分のカップも持ってきており、俺の隣に座る。
「悪い先輩だ」
「これも育成ですよ」
小さく「あちっ」と言いながらもお茶を啜るアンナさん。それに倣い俺もいただく。
「わざわざ一週間も待たないで、別で合同クエストでも組めば良かったんじゃないですか?」
「それじゃ意味が無いんだよ。対等な立場じゃ、な」
「ふうん、面倒くさい考え方してますよね~。とっくに名目上みたいな形になってたじゃないですか」
「それでもだ。俺にとっては形だけでも大切なんだよ」
コトリとカップを置き、長く息を吐く。
「これからどうするんですか?」
「これから?」
「教導が終わった後の話です。私としてはそのままニアパーティーに入るべきだと思うんですけど」
「……そういう話か」
「心情が随分と変わったんじゃないですか? 今のイクヤさん、眉間に皺が寄らなくなりましたし」
と、自分の眉の間をなぞるアンナ。
「そんなだったか?」
と聞くと「そんなでした」と思いっきり眉を顰める。
「……あいつらに愛着が無いって言ったら嘘になる。過ごした時間は短かったかもしれないけど、もう仲間だと思ってるよ」
「じゃあ」
「でもそれじゃダメだと思うんだ。あいつらにとっても、俺にとっても」
「まーたそういう……」
「聞けって。俺の中で決めてる事があるんだ。丁度良かった、アンナさんに頼みたい事がある。一筆書いてくれないか?」
「一筆?」
「そう、紹介状を」
「いいですけど……イクヤさん?」
「それとこれ、ちょっと預かっててくれ。クエストが終わったら取りに来る」
アンナの言葉を遮るように、ずっしりとした重みのある革袋を手渡す。
「この袋……」
「今日一日預かっていて欲しいんだ。紹介状の宛名なんだけど……おっと、悪い。客が来たみたいだ。また後で話す」
入り口に立って見回しているアンダに向かって手を振ると、気が付いたようでこちらに近づいてくる。
アンナは口を何度か開きかけていたが、カウンターに立っている冒険者に呼ばれて渋々戻っていった。
「イクヤ様、お持ちしましたぞ」
「わざわざありがとう。ガヌも」
「うッス」
アンダの後ろに、長布で巻かれた荷物を抱える青年が頭を下げる。アンダの付き人をしている”ガヌ”だ。
「思ってたよりも早く仕上がったな」
「ええ、とりあえず試作品です。ソフィー様の分はあともう一つがまだですが」
「充分だよ。出発までには渡せるんだろ?」
「ええ、それはもう」
アンダとは何度か会っており、歳の差はあるものの少し砕けた間柄になれた。ビジネスライクな時は商人の顔だが、個人的に合うと豪快な男だった。
ガヌは元鍛治職人だが計算ができたり、職人仕事に深く理解がある事を気に入られ、アンダに付き従っている。無口だが生真面目な青年だ。
「見せてくれるか」
「ガヌ」
「はい」
ガヌがテーブルに布を置き、解いていく。
そこには槍のような長柄の片刃刀と、奇妙な形をした金色のロッドが包まれていた。
「うん、いい出来だ。さすがだなアンダさん」
「私が作った訳ではないですがね。ロッドは実際に使い物になるかの方が心配ですが」
「魔法はさすがに俺も分からないからな。上手くいくようなら量産してみてくれ」
「ええ。やはり新型の開発というのは胸が躍りますな」
酒の席だったらきっと「こんなおもしれえ事やらないなんて大損だ!」とか言っている所だろうなと思い浮かび、小さく笑ってしまう。
「出発の日程は決まったのか?」
「ええ、十二日後を予定しています」
「そっか。じゃあ依頼の方も出しといてくれ」
「今日その手続きの予定ですな。ガヌ」
「はい」
と、懐から一枚の板を取り出して置く。
「さすが」
「段取りと根回しは商いの常なもので」
開いた布を元に戻しながら、板に書かれた文字を見る。確かに、今日から十二日後の日付だ。
「では、我々はこれで。ガヌ、ギルドの方は頼んだぞ」
「分かりました」
「わざわざ届けてくれてありがとう。もう一本の方もよろしく」
「お任せを」
挨拶もほどほどに二人は離れていく。忙しいのだろう。
アンダ達が去ってから少し待っていると、いつもの三人の姿が見えた。
「イクヤさん」
「おう、来たか。早速だけど出来上がったぞ」
ソフィーとエミリーにそれぞれ手渡すと、二人とも興味深そうに布を広げる。
「なんや、槍の穂先を剣にしたんか」
「薙刀って言ってな。俺の住んでた国に昔あった長柄武器。多分ソフィーなら使いこなせるんじゃないかと思って」
「片刃なんはちょっと使い辛そうやなあ……」
「そうか? ソフィーは動体視力もかなりいいし並列的に戦場を見れてるから、こういう色々な事が出来る武器の方が良いと思うんだ。ハルバ―トは合わなかったみたいだけど、こっちは軽いから」
「今日試してみるわ、あんがとなイクヤさん」
刃の具合を確かめるように叩くソフィーがにこやかに礼を言う。
「うっげえ。ちょっと、こんなの持って歩くの? 恥ずかしいんだけど」
と文句を垂れるのはエミリーだ。出てきた新型ロッドを見て引いた表情を浮かべている。
「まあまあ。構え方はこんな感じ」
とジェスチャ―をすると、ぶつくさ言いながらも渋々従って構えてくれた。
形状としては狩猟用の大型ライフルを小さくした形で、銃身を模した棒の先端下部に宝玉が埋め込まれている。
「狙いを付けると分かるけど、その突起の部分を照準にするんだ。魔法の軌道は俺には分からないから、いつもその照準器を見てどの位置に届くかを覚えるといい」
「ふうん……」
「あとまあ、念のため引き鉄を付けてもらった。装飾だけどな。銃を撃つ時はその引き鉄を引く動作をするんだ。自分が魔法を撃つタイミングに引くよう習慣づけるといいと思って。才能の効果が掛かるかもしれないし」
「あんたも細かい事考えるのねー……使えるかはともかく、礼は言っとくわ」
「イクヤさん、わたしは?」
「ニアにはこの前新しい剣が来ただろ。別のがあるから今日のクエストを済ませたら渡すよ」
「分かりましたっ!」
「んじゃ、行くか」
昨日の内に取っておいたクエストがある。それが教導として最後の同行だ。
三人は堅い面持ちでギルド会館を出る。
「馬鹿言え、やっと解放されると思うと清々するよ。……って、ありがとう」
ギルド会館の待合スペースで人を待っていると、アンナさんがお茶を置いてくれる。
「落ち着いたのか?」
「ええ、朝の業務は。新しい子も入りましたし押し付けてきちゃいました」
自分のカップも持ってきており、俺の隣に座る。
「悪い先輩だ」
「これも育成ですよ」
小さく「あちっ」と言いながらもお茶を啜るアンナさん。それに倣い俺もいただく。
「わざわざ一週間も待たないで、別で合同クエストでも組めば良かったんじゃないですか?」
「それじゃ意味が無いんだよ。対等な立場じゃ、な」
「ふうん、面倒くさい考え方してますよね~。とっくに名目上みたいな形になってたじゃないですか」
「それでもだ。俺にとっては形だけでも大切なんだよ」
コトリとカップを置き、長く息を吐く。
「これからどうするんですか?」
「これから?」
「教導が終わった後の話です。私としてはそのままニアパーティーに入るべきだと思うんですけど」
「……そういう話か」
「心情が随分と変わったんじゃないですか? 今のイクヤさん、眉間に皺が寄らなくなりましたし」
と、自分の眉の間をなぞるアンナ。
「そんなだったか?」
と聞くと「そんなでした」と思いっきり眉を顰める。
「……あいつらに愛着が無いって言ったら嘘になる。過ごした時間は短かったかもしれないけど、もう仲間だと思ってるよ」
「じゃあ」
「でもそれじゃダメだと思うんだ。あいつらにとっても、俺にとっても」
「まーたそういう……」
「聞けって。俺の中で決めてる事があるんだ。丁度良かった、アンナさんに頼みたい事がある。一筆書いてくれないか?」
「一筆?」
「そう、紹介状を」
「いいですけど……イクヤさん?」
「それとこれ、ちょっと預かっててくれ。クエストが終わったら取りに来る」
アンナの言葉を遮るように、ずっしりとした重みのある革袋を手渡す。
「この袋……」
「今日一日預かっていて欲しいんだ。紹介状の宛名なんだけど……おっと、悪い。客が来たみたいだ。また後で話す」
入り口に立って見回しているアンダに向かって手を振ると、気が付いたようでこちらに近づいてくる。
アンナは口を何度か開きかけていたが、カウンターに立っている冒険者に呼ばれて渋々戻っていった。
「イクヤ様、お持ちしましたぞ」
「わざわざありがとう。ガヌも」
「うッス」
アンダの後ろに、長布で巻かれた荷物を抱える青年が頭を下げる。アンダの付き人をしている”ガヌ”だ。
「思ってたよりも早く仕上がったな」
「ええ、とりあえず試作品です。ソフィー様の分はあともう一つがまだですが」
「充分だよ。出発までには渡せるんだろ?」
「ええ、それはもう」
アンダとは何度か会っており、歳の差はあるものの少し砕けた間柄になれた。ビジネスライクな時は商人の顔だが、個人的に合うと豪快な男だった。
ガヌは元鍛治職人だが計算ができたり、職人仕事に深く理解がある事を気に入られ、アンダに付き従っている。無口だが生真面目な青年だ。
「見せてくれるか」
「ガヌ」
「はい」
ガヌがテーブルに布を置き、解いていく。
そこには槍のような長柄の片刃刀と、奇妙な形をした金色のロッドが包まれていた。
「うん、いい出来だ。さすがだなアンダさん」
「私が作った訳ではないですがね。ロッドは実際に使い物になるかの方が心配ですが」
「魔法はさすがに俺も分からないからな。上手くいくようなら量産してみてくれ」
「ええ。やはり新型の開発というのは胸が躍りますな」
酒の席だったらきっと「こんなおもしれえ事やらないなんて大損だ!」とか言っている所だろうなと思い浮かび、小さく笑ってしまう。
「出発の日程は決まったのか?」
「ええ、十二日後を予定しています」
「そっか。じゃあ依頼の方も出しといてくれ」
「今日その手続きの予定ですな。ガヌ」
「はい」
と、懐から一枚の板を取り出して置く。
「さすが」
「段取りと根回しは商いの常なもので」
開いた布を元に戻しながら、板に書かれた文字を見る。確かに、今日から十二日後の日付だ。
「では、我々はこれで。ガヌ、ギルドの方は頼んだぞ」
「分かりました」
「わざわざ届けてくれてありがとう。もう一本の方もよろしく」
「お任せを」
挨拶もほどほどに二人は離れていく。忙しいのだろう。
アンダ達が去ってから少し待っていると、いつもの三人の姿が見えた。
「イクヤさん」
「おう、来たか。早速だけど出来上がったぞ」
ソフィーとエミリーにそれぞれ手渡すと、二人とも興味深そうに布を広げる。
「なんや、槍の穂先を剣にしたんか」
「薙刀って言ってな。俺の住んでた国に昔あった長柄武器。多分ソフィーなら使いこなせるんじゃないかと思って」
「片刃なんはちょっと使い辛そうやなあ……」
「そうか? ソフィーは動体視力もかなりいいし並列的に戦場を見れてるから、こういう色々な事が出来る武器の方が良いと思うんだ。ハルバ―トは合わなかったみたいだけど、こっちは軽いから」
「今日試してみるわ、あんがとなイクヤさん」
刃の具合を確かめるように叩くソフィーがにこやかに礼を言う。
「うっげえ。ちょっと、こんなの持って歩くの? 恥ずかしいんだけど」
と文句を垂れるのはエミリーだ。出てきた新型ロッドを見て引いた表情を浮かべている。
「まあまあ。構え方はこんな感じ」
とジェスチャ―をすると、ぶつくさ言いながらも渋々従って構えてくれた。
形状としては狩猟用の大型ライフルを小さくした形で、銃身を模した棒の先端下部に宝玉が埋め込まれている。
「狙いを付けると分かるけど、その突起の部分を照準にするんだ。魔法の軌道は俺には分からないから、いつもその照準器を見てどの位置に届くかを覚えるといい」
「ふうん……」
「あとまあ、念のため引き鉄を付けてもらった。装飾だけどな。銃を撃つ時はその引き鉄を引く動作をするんだ。自分が魔法を撃つタイミングに引くよう習慣づけるといいと思って。才能の効果が掛かるかもしれないし」
「あんたも細かい事考えるのねー……使えるかはともかく、礼は言っとくわ」
「イクヤさん、わたしは?」
「ニアにはこの前新しい剣が来ただろ。別のがあるから今日のクエストを済ませたら渡すよ」
「分かりましたっ!」
「んじゃ、行くか」
昨日の内に取っておいたクエストがある。それが教導として最後の同行だ。
三人は堅い面持ちでギルド会館を出る。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ある横柄な上官を持った直属下士官の上官並びにその妻観察日記
karon
ファンタジー
色男で女性関係にだらしのない政略結婚なら最悪パターンといわれる上官が電撃結婚。それも十六歳の少女と。下士官ジャックはふとしたことからその少女と知り合い、思いもかけない顔を見る。そして徐々にトラブルの深みにはまっていくが気がついた時には遅かった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者、追放される ~仲間がクズばかりだったので、魔王とお茶してのんびり過ごす。戻ってこいと言われても断固拒否。~
秋鷺 照
ファンタジー
強すぎて勇者になってしまったレッグは、パーティーを追放され、一人で魔王城へ行く。美味しいと噂の、魔族領の茶を飲むために!(ちゃんと人類も守る)
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~
竹間単
ファンタジー
【勇者PTを追放されたチートなユニークスキル持ちの俺は、美少女と旅をする】
役立たずとして勇者パーティーを追放されて途方に暮れていた俺は、美少女に拾われた。
そして俺は、美少女と旅に出る。
強力すぎるユニークスキルを消す呪いのアイテムを探して――――
魔法使いの国で無能だった少年は、魔物使いとして世界を救う旅に出る
ムーン
ファンタジー
完結しました!
魔法使いの国に生まれた少年には、魔法を扱う才能がなかった。
無能と蔑まれ、両親にも愛されず、優秀な兄を頼りに何年も引きこもっていた。
そんなある日、国が魔物の襲撃を受け、少年の魔物を操る能力も目覚める。
能力に呼応し現れた狼は少年だけを助けた。狼は少年を息子のように愛し、少年も狼を母のように慕った。
滅びた故郷を去り、一人と一匹は様々な国を渡り歩く。
悪魔の家畜として扱われる人間、退廃的な生活を送る天使、人との共存を望む悪魔、地の底に封印された堕天使──残酷な呪いを知り、凄惨な日常を知り、少年は自らの能力を平和のために使うと決意する。
悪魔との契約や邪神との接触により少年は人間から離れていく。対価のように精神がすり減り、壊れかけた少年に狼は寄り添い続けた。次第に一人と一匹の絆は親子のようなものから夫婦のようなものに変化する。
狂いかけた少年の精神は狼によって繋ぎ止められる。
やがて少年は数多の天使を取り込んで上位存在へと変転し、出生も狼との出会いもこれまでの旅路も……全てを仕組んだ邪神と対決する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる