18 / 45
第九話 ソフィーと過ごす夜 前編
しおりを挟む
「おい、起きてソフィーさん」
「う、うう……」
轟々と流れる激流の傍ら、巨大な岩が山積する河原にて、仰向けになっているソフィーに呼びかけながら頬を叩いていると、呻き声を上げて意識がある事が確認できる。
「か、母ちゃん……?」
「悪いが男だし他人だよ。キツいだろうけどあそこまで歩ける?」
「うにゃ……むん」
まだ意識が朦朧としているのか言葉がハッキリしないが、岩肌が抉れて小さな洞穴になっている場所を指差すと頷いた。
さすがにソフィーを担いで歩く気力も体力も残っていなかったので、意識が覚醒してくれて良かった。それにしても寒い。泳いでいる時は全身が熱かったが、止まると一気に冷える。
よろよろと立ち上がり、ずぶ濡れになり重くなったザックを引き摺りながら移動する。川の側から離れたかったし、あちらまで行けば小さな木がいくつかある。
早く休める環境を確保しないと。
ひーひー言いながら何とか辿り着き、荷物を下ろす。ソフィーはそのままへたりこんでしまった。俺も同じようにしたい所だが、もうひと頑張りする必要がある。
まずはずぶ濡れになった鎧や衣服を脱いでいく。
「な、なんで脱いどる……ですか!?」
ようやく頭がハッキリしたのか、俺の行動を見て驚きつつ言葉を直している。
「今の気温で濡れたままじゃ凍え死ぬからだよ。俺らの世界で言う低体温症ってやつでな、何かそんな話だったの覚えてる。……お、良かった肌着は無事だったか。やっぱ革に油塗っといて正解だった」
全裸になってザックをごそごそと漁り、目当ての物を取り出す。くるまれた一枚革を開くと、麻のような生地の肌着が出てくる。ひとまず乾いた衣服があるだけでも上等だ。
「これから火を熾す準備するから、ソフィーさんも服脱いで。長い枝取って来るから干して乾かそう。替えの服はあるか?」
「み、見てみ……ますけど、どうだろ。私は別にこのままでも……ふあ、へっくちょん!」
「枝拾いしてるから着替えた方がいい。本当に死ぬぞ」
「うう……」
まだ躊躇している様子なので、離れれば着替えるかと思い手斧とナイフを手に洞穴を出る。一番高価な斧は崖上の戦闘で失ったが、投擲用の安い斧はあと二本残っていた。
川からほど近く、季節的に湿気もあるので生木にはしっとりとした水分が含まれている。叩き折って集めながら、火熾しに少し苦労しそうだなと溜め息を吐く。
太陽が落ちて気温も下がってきていた。今の薄着では少々しんどい。早く暖まりたいものだ。
両手いっぱいに大小様々な枝木を集めて洞穴に戻る。そこには鎧だけ外してガタガタと震えるソフィーの姿があった。
「着替え全滅だったか?」
「は……はい……」
「さっさと脱いだ方がいいって……なんか俺、変態親父みたいだな」
ソフィーは俺の軽口には答えず肩を抱いて震えている。脱ぐのに抵抗があるのか。とりあえず熱源の確保が先だ。
同じように一枚革に巻いてある包みを取り出して開くと、中心には黒に近い色の石と、解した細い繊維の塊が出てきた。
火熾し下手を何度もいじられていたので、自分でやる時は困らないようにと道具をいつも持っていた。
アレクもライアンも、特にファルコの奴が異様に上手くて、未だにあいつらのようにそこらにある物で火を点ける事ができなかった。
ナイフの背で石を擦ると火花が飛び、それを繊維に落とす。すると細い煙が上がり、両手で包みながら息を吹きかけると、一気に燃え上がった。
「さすがにずっと持ってると熱いな。アチチチ」
細めの枝で組んだ木の台の下に入れ込み、息を吹きかけていく。最初は白い煙がもくもくと上がるだけで中々着火しなかったが、根気よく続けてようやく燃え広がった。一度点いてしまえばこっちのもので、太い薪を囲むように配置する。湿った薪を乾かすためだ。
ソフィーがよろよろと近づき手を翳す。だが震えは止まらない。
長めの枝を持ってきて二本を打ち込み、その間に最も長い枝を渡す。もう一組ソフィーの側にも作ってやり、作業を終えると今着ている肌着の上を脱ぐ。
「そのままじゃ本当に体温奪われて死ぬから。脱いでこれ着て」
「で、でも……」
「向こう向いてるし、干した服を仕切りにするから。頼む」
暫し無言の間があり、カチカチと歯を鳴らし荒いソフィーの息遣いだけが聞こえる。だがようやく観念したか、俺の差し出した肌着を受け取った。
濡れた鎧や服を枝にかけて干していく。
焚火に背を向け自分のザックを漁る。何か食べ物があったか探すためだ。だが、朝の記憶を辿る限り携帯食は入れていなかったと思う。
自分の気の利かなさに落胆していると、衣擦れの音が聞こえてきた。
別に今までもデイジーやフィオーラのを見た事あるし。遠征旅で大雨に降られた時と同じシチュエーションだ。気にする程の事じゃないだろ。相手はソフィーなんだし。
だが、妙に音が大きく感じられて集中してしまう。
何でだ。てか落ち着け俺。ソフィーとは付き合いは浅いし、そもそも仲間というより新人と教導の関係だ。つまりただの同業者、仲間ですらない。
不意に水滴が大量に落ちる音が聞こえる。服か髪を絞ったのだろうか。そしてまた衣擦れの音。地面に重量のある物が落ちる音がする。
待て待て俺、手が止まってる。耳を立てるなキモいだろ。
ザック漁りを再開するも、別に目当ての物など無い。無意味に掻き回しているだけだ。
また髪を絞っているのか水が落ちる音が続き、動き回っているような音が聞こえる。
「ん、小さい……」
そんな声が聞こえてくる。え、小さいって何がだよ。
とりあえず他にやる事が無いので、斧を取り出して水を掃う。一晩あれば錆びてしまうので水分は大敵だ。
「あの、ありがとうございました。ちょっと小さいし下無いの恥ずかしいですけど」
「おう……俺の服そんなキツい?」
「はい、胸が……」
ああ、そういう事。でも男の俺の方が体格はいいはずだし、そんなにキツい事あるだろうか。
「今の方が暖かいだろ」
「はい。やっと焚火が暖かく感じます……イクヤ様もこちらに来られては?」
仕切りもあるし、そう言うのなら大丈夫なのだろう。さすがに俺も寒くなってきたので火に近づきたいのが本音だった。
俯きながら移動して火の元に。あったけえ。
手を翳しながら溜息を吐くと、火の向こうに互いの濡れた服で隔たれ、その先に肌色が見えて思わずドキリとする。
……確かに、なんかパツパツだな。ソフィーって背が高いから圧倒される感じがあるけど、結構肩幅もあるし胸も大きいのか?
普段は顔と首以外全く露出の無い革鎧の姿だったから気にしなかったけど。
なんか、肉感があるというか……太もものむちむちしてる感じとか……
と、そこまで思った所で慌てて目を逸らす。下の肌着はさすがに貸せなかったので、ソフィーは履いてない。干してある洗濯物の中に数枚肌着らしい物があるし、早めに乾かして着るつもりなのだろう。
「……探したけど飯持ってきてなかった。街に戻るまで我慢かな」
「あ、これ干し肉ですけど焼けば食べれると思います」
ソフィーが放り投げてきて受け取ると、手の平にあったのは湿った黒い干し肉だった。
「ありがと……いや、『おおきに』か?」
「んな!?」
貰った干し肉を炙りつつ茶化すと、ソフィーが軽く立ち上がってこちらを睨む。
「別に馬鹿にするつもりは無いよ。ただ、この世界でも関西弁とかあるんだなって」
「カンサイベン……? それはよく分からん……ですけど、頑張って訛り直したのに……」
座り込み声に覇気を失うソフィー。
「いや、俺好きだけどね方言とか訛りとか」
ずっと標準語圏で過ごしてきたからか、方言を話す人に憧れがあった。特に京都弁が好みだったり。
「うち、この王国の生まれやなくて、もっと南の陸続きの島生まれ……なんです。こっちにはほとんど売られた形で来たんです」
「売られた……」
「あ、別に奴隷とか娼婦とかやないですよ! 子だくさんの家やったんでその口減らしというか……まあ、メイドとか小間使いみたいな労働力として、です」
方言と敬語が入り混じっている。誤魔化しながらも、本来の自分の話をしてくれているのだろうか。
「今まで仕えさせてもらったご主人様達は皆いい人達だったので、多分、他の同業の人と比べたら幸せな方やったと思います。でも、うち……私ドジで仕事できなくて……」
子供を売る、口減らし、という現代日本ではまず聞かないワードに驚いたが、奴隷と言う身分が存在している世界だ。「よくある」事なのかもしれない。
「気になってたんだけど、ソフィーさんは何で冒険者稼業を? 多分だけどニアの家のメイドだったんだろ?」
「あ、はい……これ言っていいんかなあ。あんまりご主人様の事情言うの良くないかなあ……」
「個人的な話だけでいいよ。ニアの話はニアから聞けばいいし」
そう言うと悩んでいるのかしばらく唸っていたが、顔を上げる。
「せや……っと、それでしたら……」
「別に直してない言葉でいいから。聞き取りにくいし。あと『イクヤ様』もやめて欲しい。俺主人じゃないし年下だし」
「はあ……ならうちも『ソフィーさん』はやめてくれはります? なんだかニア様やエミリーと話してるのと、うちに対してじゃ距離作られてる気がして……」
俺は俺で、ソフィーはソフィーで気にしていたという事か。
「分かった。お互い砕けて話そう。夜は長いから」
「そ、それってどういう……!?」
「こんなトコで寝れないだろ。未開拓エリアだぞ。交代で見張るのもいいけど、一晩ぐらいだったら寝ない方がいい」
「ああ……そういう……」
それ以外の理由なんて無いだろ。まあ今まで日帰りのクエストしか経験してないから仕方ないかもしれないが。
「う、うう……」
轟々と流れる激流の傍ら、巨大な岩が山積する河原にて、仰向けになっているソフィーに呼びかけながら頬を叩いていると、呻き声を上げて意識がある事が確認できる。
「か、母ちゃん……?」
「悪いが男だし他人だよ。キツいだろうけどあそこまで歩ける?」
「うにゃ……むん」
まだ意識が朦朧としているのか言葉がハッキリしないが、岩肌が抉れて小さな洞穴になっている場所を指差すと頷いた。
さすがにソフィーを担いで歩く気力も体力も残っていなかったので、意識が覚醒してくれて良かった。それにしても寒い。泳いでいる時は全身が熱かったが、止まると一気に冷える。
よろよろと立ち上がり、ずぶ濡れになり重くなったザックを引き摺りながら移動する。川の側から離れたかったし、あちらまで行けば小さな木がいくつかある。
早く休める環境を確保しないと。
ひーひー言いながら何とか辿り着き、荷物を下ろす。ソフィーはそのままへたりこんでしまった。俺も同じようにしたい所だが、もうひと頑張りする必要がある。
まずはずぶ濡れになった鎧や衣服を脱いでいく。
「な、なんで脱いどる……ですか!?」
ようやく頭がハッキリしたのか、俺の行動を見て驚きつつ言葉を直している。
「今の気温で濡れたままじゃ凍え死ぬからだよ。俺らの世界で言う低体温症ってやつでな、何かそんな話だったの覚えてる。……お、良かった肌着は無事だったか。やっぱ革に油塗っといて正解だった」
全裸になってザックをごそごそと漁り、目当ての物を取り出す。くるまれた一枚革を開くと、麻のような生地の肌着が出てくる。ひとまず乾いた衣服があるだけでも上等だ。
「これから火を熾す準備するから、ソフィーさんも服脱いで。長い枝取って来るから干して乾かそう。替えの服はあるか?」
「み、見てみ……ますけど、どうだろ。私は別にこのままでも……ふあ、へっくちょん!」
「枝拾いしてるから着替えた方がいい。本当に死ぬぞ」
「うう……」
まだ躊躇している様子なので、離れれば着替えるかと思い手斧とナイフを手に洞穴を出る。一番高価な斧は崖上の戦闘で失ったが、投擲用の安い斧はあと二本残っていた。
川からほど近く、季節的に湿気もあるので生木にはしっとりとした水分が含まれている。叩き折って集めながら、火熾しに少し苦労しそうだなと溜め息を吐く。
太陽が落ちて気温も下がってきていた。今の薄着では少々しんどい。早く暖まりたいものだ。
両手いっぱいに大小様々な枝木を集めて洞穴に戻る。そこには鎧だけ外してガタガタと震えるソフィーの姿があった。
「着替え全滅だったか?」
「は……はい……」
「さっさと脱いだ方がいいって……なんか俺、変態親父みたいだな」
ソフィーは俺の軽口には答えず肩を抱いて震えている。脱ぐのに抵抗があるのか。とりあえず熱源の確保が先だ。
同じように一枚革に巻いてある包みを取り出して開くと、中心には黒に近い色の石と、解した細い繊維の塊が出てきた。
火熾し下手を何度もいじられていたので、自分でやる時は困らないようにと道具をいつも持っていた。
アレクもライアンも、特にファルコの奴が異様に上手くて、未だにあいつらのようにそこらにある物で火を点ける事ができなかった。
ナイフの背で石を擦ると火花が飛び、それを繊維に落とす。すると細い煙が上がり、両手で包みながら息を吹きかけると、一気に燃え上がった。
「さすがにずっと持ってると熱いな。アチチチ」
細めの枝で組んだ木の台の下に入れ込み、息を吹きかけていく。最初は白い煙がもくもくと上がるだけで中々着火しなかったが、根気よく続けてようやく燃え広がった。一度点いてしまえばこっちのもので、太い薪を囲むように配置する。湿った薪を乾かすためだ。
ソフィーがよろよろと近づき手を翳す。だが震えは止まらない。
長めの枝を持ってきて二本を打ち込み、その間に最も長い枝を渡す。もう一組ソフィーの側にも作ってやり、作業を終えると今着ている肌着の上を脱ぐ。
「そのままじゃ本当に体温奪われて死ぬから。脱いでこれ着て」
「で、でも……」
「向こう向いてるし、干した服を仕切りにするから。頼む」
暫し無言の間があり、カチカチと歯を鳴らし荒いソフィーの息遣いだけが聞こえる。だがようやく観念したか、俺の差し出した肌着を受け取った。
濡れた鎧や服を枝にかけて干していく。
焚火に背を向け自分のザックを漁る。何か食べ物があったか探すためだ。だが、朝の記憶を辿る限り携帯食は入れていなかったと思う。
自分の気の利かなさに落胆していると、衣擦れの音が聞こえてきた。
別に今までもデイジーやフィオーラのを見た事あるし。遠征旅で大雨に降られた時と同じシチュエーションだ。気にする程の事じゃないだろ。相手はソフィーなんだし。
だが、妙に音が大きく感じられて集中してしまう。
何でだ。てか落ち着け俺。ソフィーとは付き合いは浅いし、そもそも仲間というより新人と教導の関係だ。つまりただの同業者、仲間ですらない。
不意に水滴が大量に落ちる音が聞こえる。服か髪を絞ったのだろうか。そしてまた衣擦れの音。地面に重量のある物が落ちる音がする。
待て待て俺、手が止まってる。耳を立てるなキモいだろ。
ザック漁りを再開するも、別に目当ての物など無い。無意味に掻き回しているだけだ。
また髪を絞っているのか水が落ちる音が続き、動き回っているような音が聞こえる。
「ん、小さい……」
そんな声が聞こえてくる。え、小さいって何がだよ。
とりあえず他にやる事が無いので、斧を取り出して水を掃う。一晩あれば錆びてしまうので水分は大敵だ。
「あの、ありがとうございました。ちょっと小さいし下無いの恥ずかしいですけど」
「おう……俺の服そんなキツい?」
「はい、胸が……」
ああ、そういう事。でも男の俺の方が体格はいいはずだし、そんなにキツい事あるだろうか。
「今の方が暖かいだろ」
「はい。やっと焚火が暖かく感じます……イクヤ様もこちらに来られては?」
仕切りもあるし、そう言うのなら大丈夫なのだろう。さすがに俺も寒くなってきたので火に近づきたいのが本音だった。
俯きながら移動して火の元に。あったけえ。
手を翳しながら溜息を吐くと、火の向こうに互いの濡れた服で隔たれ、その先に肌色が見えて思わずドキリとする。
……確かに、なんかパツパツだな。ソフィーって背が高いから圧倒される感じがあるけど、結構肩幅もあるし胸も大きいのか?
普段は顔と首以外全く露出の無い革鎧の姿だったから気にしなかったけど。
なんか、肉感があるというか……太もものむちむちしてる感じとか……
と、そこまで思った所で慌てて目を逸らす。下の肌着はさすがに貸せなかったので、ソフィーは履いてない。干してある洗濯物の中に数枚肌着らしい物があるし、早めに乾かして着るつもりなのだろう。
「……探したけど飯持ってきてなかった。街に戻るまで我慢かな」
「あ、これ干し肉ですけど焼けば食べれると思います」
ソフィーが放り投げてきて受け取ると、手の平にあったのは湿った黒い干し肉だった。
「ありがと……いや、『おおきに』か?」
「んな!?」
貰った干し肉を炙りつつ茶化すと、ソフィーが軽く立ち上がってこちらを睨む。
「別に馬鹿にするつもりは無いよ。ただ、この世界でも関西弁とかあるんだなって」
「カンサイベン……? それはよく分からん……ですけど、頑張って訛り直したのに……」
座り込み声に覇気を失うソフィー。
「いや、俺好きだけどね方言とか訛りとか」
ずっと標準語圏で過ごしてきたからか、方言を話す人に憧れがあった。特に京都弁が好みだったり。
「うち、この王国の生まれやなくて、もっと南の陸続きの島生まれ……なんです。こっちにはほとんど売られた形で来たんです」
「売られた……」
「あ、別に奴隷とか娼婦とかやないですよ! 子だくさんの家やったんでその口減らしというか……まあ、メイドとか小間使いみたいな労働力として、です」
方言と敬語が入り混じっている。誤魔化しながらも、本来の自分の話をしてくれているのだろうか。
「今まで仕えさせてもらったご主人様達は皆いい人達だったので、多分、他の同業の人と比べたら幸せな方やったと思います。でも、うち……私ドジで仕事できなくて……」
子供を売る、口減らし、という現代日本ではまず聞かないワードに驚いたが、奴隷と言う身分が存在している世界だ。「よくある」事なのかもしれない。
「気になってたんだけど、ソフィーさんは何で冒険者稼業を? 多分だけどニアの家のメイドだったんだろ?」
「あ、はい……これ言っていいんかなあ。あんまりご主人様の事情言うの良くないかなあ……」
「個人的な話だけでいいよ。ニアの話はニアから聞けばいいし」
そう言うと悩んでいるのかしばらく唸っていたが、顔を上げる。
「せや……っと、それでしたら……」
「別に直してない言葉でいいから。聞き取りにくいし。あと『イクヤ様』もやめて欲しい。俺主人じゃないし年下だし」
「はあ……ならうちも『ソフィーさん』はやめてくれはります? なんだかニア様やエミリーと話してるのと、うちに対してじゃ距離作られてる気がして……」
俺は俺で、ソフィーはソフィーで気にしていたという事か。
「分かった。お互い砕けて話そう。夜は長いから」
「そ、それってどういう……!?」
「こんなトコで寝れないだろ。未開拓エリアだぞ。交代で見張るのもいいけど、一晩ぐらいだったら寝ない方がいい」
「ああ……そういう……」
それ以外の理由なんて無いだろ。まあ今まで日帰りのクエストしか経験してないから仕方ないかもしれないが。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界を服従して征く俺の物語!!
ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。
高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。
様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。
なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
追放先に悪役令嬢が。不法占拠を見逃す代わりに偽装結婚することにした。
椎名 富比路
ファンタジー
王国の四男坊ディートヘルム・ボニファティウス王子は、
「冒険者志望なら結婚したくないです」
と、婚約者の王女殿下から婚約破棄されてしまった。
(実際は、家族ともども自由を尊重される)
親族の顔を立てるため、一応「追放」という名目で、追い出してもらう。
僻地の開拓を命じられた体で、冒険者ディータとしての道を進む。
王族はディータに危害は加えないが、資金援助もしない。できない。
わずかな金と武具を持って、たったひとりでの開拓が始まると思っていた。
だが、そこには悪役令嬢が先客として、冒険をしていた。
リユという令嬢は、デカい魔剣を片手に並み居る魔物たちをバッタバッタとやっつけている。
「一人でさみしい」
そんな彼女の独り言を聞いてしまったディータは、命を助けてもらう代わりにリユに食事を振る舞う。
すぐに意気投合した二人は、交際しつつも冒険する。
思っていたより広大な土地を開拓しつつ、二人の領地拡大冒険が始まった。
作物の育たない近隣の土地を活性化し、隣接する王都の騎士団を立て直す。
魔物の攻撃を受け続ける中、ディータはリユがドラゴン族の末裔だと知った。
しかし、彼は恐れることなく、ただのリユとして接する。
お互いの人柄に惚れて、二人は本当の夫婦になっていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者、追放される ~仲間がクズばかりだったので、魔王とお茶してのんびり過ごす。戻ってこいと言われても断固拒否。~
秋鷺 照
ファンタジー
強すぎて勇者になってしまったレッグは、パーティーを追放され、一人で魔王城へ行く。美味しいと噂の、魔族領の茶を飲むために!(ちゃんと人類も守る)
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~
竹間単
ファンタジー
【勇者PTを追放されたチートなユニークスキル持ちの俺は、美少女と旅をする】
役立たずとして勇者パーティーを追放されて途方に暮れていた俺は、美少女に拾われた。
そして俺は、美少女と旅に出る。
強力すぎるユニークスキルを消す呪いのアイテムを探して――――
魔法使いの国で無能だった少年は、魔物使いとして世界を救う旅に出る
ムーン
ファンタジー
完結しました!
魔法使いの国に生まれた少年には、魔法を扱う才能がなかった。
無能と蔑まれ、両親にも愛されず、優秀な兄を頼りに何年も引きこもっていた。
そんなある日、国が魔物の襲撃を受け、少年の魔物を操る能力も目覚める。
能力に呼応し現れた狼は少年だけを助けた。狼は少年を息子のように愛し、少年も狼を母のように慕った。
滅びた故郷を去り、一人と一匹は様々な国を渡り歩く。
悪魔の家畜として扱われる人間、退廃的な生活を送る天使、人との共存を望む悪魔、地の底に封印された堕天使──残酷な呪いを知り、凄惨な日常を知り、少年は自らの能力を平和のために使うと決意する。
悪魔との契約や邪神との接触により少年は人間から離れていく。対価のように精神がすり減り、壊れかけた少年に狼は寄り添い続けた。次第に一人と一匹の絆は親子のようなものから夫婦のようなものに変化する。
狂いかけた少年の精神は狼によって繋ぎ止められる。
やがて少年は数多の天使を取り込んで上位存在へと変転し、出生も狼との出会いもこれまでの旅路も……全てを仕組んだ邪神と対決する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる