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第五話 初めての教導 後編
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「今日行く狩場は、アリエスギルドが管理する狩場の中でも結構低級な方だ。E相当の魔物多めのF相当が少々って感じだな」
「それじゃあ私達だけで戦うのは厳しくないですか?」
「その認識は正しい。だけどパーティーでの戦闘は一つ上のランクを超えるぐらいの戦闘力を出せる事もある。理由は分かる?」
「えーっと、パーティーでの連携ですか?」
「その通り。個人ランクが低くてもパーティーランクが高い所なんてゴロゴロある。連携して戦えば格上の魔物だって倒せる。だからまずはどれ位できるのか見させてもらおうと思う」
「はいぃ……」
東の森までの行きがてら話をしつつ歩く。
この周辺は冒険者たちの努力によって魔物は掃討済みなので安全地帯だ。俺が先導しながら三人を引き連れ歩いている。
魔物が出現するエリアではこうはいかない。陣形を組み、偵察を出しながらゆっくりと進んでいくのがセオリーだ。
「手頃な魔物見つけたら釣って誘導するから、自分達なりに戦ってみるんだ」
「はいぃ……」
「さっきからその返事気になるんだけど」
「自信がなくてですねー……」
「でも二体ぐらい倒したんだろ? なら問題ないさ」
「はいぃ……」
それからはしばらく無言となった。
ニア以外まともにコミュニケーションが取れないし、そのニアも表情が強張って口を引き結んでいる。
小生意気なエミリーは一切目を合せないどころか、俺を視界に入れようとすらしない。いつも横を向いているのでこいつの正面の顔を見た記憶が無い。
ソフィーはソフィーで俯き縮こまっていてやはり俺とは目を合せない。図体が大きいのに存在感が薄く、小動物みたいな小柄な二人の方が目立っているぐらいだ。
三人の仲は良さそうだが、総じて印象が悪いパーティーだった。
金の為とは言え、協力してやる気が少しずつ減退している。
「ここから先は魔物が出てくるエリアだから気を張っとけよ。突然後ろからザックリとかもあるから」
「あんま先輩風吹かせないでくんない? なんかウザい」
「はいはい我慢してくださいね。でもチビ、お前が死んだらこのパーティーも終わりだって事自覚しとけよな」
「言われなくても分かってるっての死ね」
どうだかな、とは口にしなかった。
やや歩調を落とし、俺を先頭にして進む。それぞれが警戒方向を受け持つ基本的な移動隊形だ。
森の入り口は比較的間伐されているので視界が開けている。ここらをうろつくのは、初心者の練習として持ってこいの場所だった。
「お、早速居たな。”シルヴィ”だ」
「シルビー……」
「EとFの中間ぐらいの強さで知られている魔物だから丁度いい」
見た目は茶色い毛玉のような四足歩行の魔物だ。あの毛玉の奥には無数の口が付いていて、噛みつく時に飛び出してくる少しグロテスクな奴で、サイズも中型犬ぐらいはある。
ただ短足なのでそこまで俊敏では無く、飛び出す口も精々毛玉から数十センチぐらいの範囲と攻撃の範囲が狭い。分かっていれば怖い要素はほぼ無いのも特徴である。
それなりにタフなので最弱の部類ではないが、突進と噛みつきの二パターンの攻撃手段しか持たないので分かりやすい、腕試しには丁度いいと思える相手だ。
「シルヴィについて知ってる事はあるか?」
「あんな魔物初めて見ました……うちの方だとペーズやカルタロスぐらいなので」
「シェラタン村の周辺だとそんなもんか。まあそこまで強さは変わらないから」
「あのモフモフしてるの、可愛いですね」
珍しく言葉を出したのはソフィーだった。
「試しに抱きしめてみろ。一瞬で血まみれになるぞ」
「ひっ……!?」」
「あんな見た目でも魔物だから気を抜くなよ。あいつは足が遅いがそれなりのジャンプ力がある。それに、あの毛むくじゃらの奥には幾つかの口がある。どの方向からも噛みつかれるから気を付けろ」
ソフィーはまたおずおずと後退りして二人の影に隠れる。デカいから隠れられてないけど。
「自分達のやり方でやってみるんだ。初めて見る魔物と戦うのなんて、これから先飽きる程あるシチュエーションだから。どの程度動けるのか見たい」
「はいぃ……でもですね……」
「ヤバそうな時は俺が助けるから。三人の戦い方を見せてくれ」
「うー……分かりましたあ……」
どうにも歯切れの悪い答えだが、観念したように剣を抜き二人に目配らせする。
エミリーの方は手にしたロッドを握り直し頷くが、ソフィーはぶんぶんと首を横に振る。
「あんた立場分かってる? ニアの為なら体張りなさいよ。ご主人様でしょ」
「はい……」
ソフィーも今の言葉で諦めたようで、ショートスピアを抱いてこくりと頷く。
「俺が回り込んで気を引くから、背後か横から奇襲を仕掛けろ。奇襲は成功すれば相手の防御力にデバフを掛けられるから」
「あの……ずっと聞きたかったんですけどバフとかデバフって……?」
「あ?」
ステータスについて詳しく聞いていない?
それとも理解できてないだけか。どの道講習で聞いている筈なんだけど。
「要は奇襲できれば大ダメージが期待できるって事だよ。それを狙って攻撃すればアドバンテージが取れる」
「アドバ……はあ」
どうにも理解できていない様子だ。考えてみれば冒険者の間では通じている用語だけど、元は俺達”召喚人”が持ち込んだ概念だ。登録してから一週間と言うし知らなくても仕方ない。
「とにかく、やってみるんだ。いいな?」
「はいっ……!」
抜いた剣を握り直しニアは頷く。後ろの二人も緊張した顔つきになっていた。
シルヴィはわりと嗅覚が良い。なので三人を風下に待機させ、俺は静かに迂回して風上へと回り込む。
隠密のスキルでもあれば、視認されない限り認知されずに移動できるのだが、俺には取得できなかった。少しヘマをして物音を立ててしまい、シルヴィがこちらに気付いてしまった。
「まあいいか。ほら、こっちだ!」
走り出してここまで進んできた経路を戻る。
それに釣られてシルヴィもこちらへと駆け出してきた。
基本的に魔物は格上格下関係なく襲ってくる。動いているものはすべて”捕食対象”なのだ。
だから警戒されない分、釣る動きは簡単だ。
適度に足を遅めつつ、付かず離れずの距離を保つ。ガウガウと複数の鳴き声で吠えながら走るシルヴィの意識は完全に俺に向いている。
その背後、三人が腰を低くしながら駆けてきているのが見えた。
「ええいっ!」
そしてニアが剣を振りかぶりながら気合を一言。
しかし、その声にシルヴィが気付く。
何で黙って近づけなかったのか。それに。
「やあっ!」
大振りな縦振り。難なく躱される。振り方が悪いし、目を閉じながら振ってるのだから当たり前だ。
「わっ……と」
後ろを走っていたソフィーがニアにぶつかりそうになり動きを止める。その隙をシルヴィは見逃さない。唸りながら跳躍し隠し牙を伸ばす。
驚いたソフィーがやぶれかぶれに槍を振ると、タイミングが合って牙を叩き、逸らせる事に成功。
距離を置いてエミリーが到着し、三対一で向かい合う。
奇襲の優位は消えたが、ここからは真っ当な戦いが見られるだろう。
ソフィーがじりじりと後退りをしている。槍を構えてはいるものの手が震えているし、穂先は斜め上だ。槍を使い慣れていないのだろうか。
ニアは呼吸が荒く剣を両手で持って構えている。それ程大きい剣ではないものの、ニアの筋力では片手で持てないのだろう。散々アレクセイを筆頭とした腕の立つ剣士を見てきた俺からすると、構えが甘いというかぎこちなさの方が目立って見える。
唸るシルヴィと対峙する三人だが、どちらかと言うと三人の方が気圧され気味だった。
静止はすぐに解けた。シルヴィの跳躍、飛びかかり。狙いはニア。
タイミングを合わせて剣を振るう。今度はしっかりと見据えている。だか少しばかり引きつけが甘い。もしくは踏み込みが足りない。ニアの縦斬りは当たったものの、延びた口先の一つを裂くだけに留まった。
悲鳴のような鳴き声を上げて途中で着地し飛び退るシルヴィ。
ニアは剣を当てた事に安心したのか、表情が明らかに緩んでいる。戦闘中にそんな隙や慢心を見せてはいけない。すぐにシルヴィが再びの跳躍。
ニアは驚き、反応が遅れる。そこにソフィーの横槍が差し込まれる。カバーとしては適切だ。だが、彼女の咄嗟の刺突は空を滑る。
そのままニアの左肩にシルヴィの牙が食い込み服と皮膚が千切られ、立ち位置が入れ違いになる。
「ひっ……!」
この声はソフィーのものだ。
ニアは痛みからかショックからか、腕をだらりと下げて放心している。
後方に居たエミリーが呪文を唱え杖が光る。簡易の治癒魔法であれば詠唱は速い。
ロッドの宝玉が微かに光り、上から下へ投げ下ろすように振るう。だが、治癒の光は何故かシルヴィの元に灯ってしまった。
「なんで!?」
エミリーの驚きの声。聞きたいのはこちらの方だ。
もう既にパーティーは総崩れの状態だった。ソフィーは槍を抱えて縮こまり、顔を青くして震えている。ニアは膝を折り、噛まれた左肩を押えてうなだれている。
シルヴィに狙いを定められたエミリーは果敢にもロッドを向けて睨み返しているが、無謀だ。
手にした斧を振りかぶり、狙いを定めて力を込め、投擲する。
回転しながら直線状に飛んでいく手斧は、エミリーに向かって飛びかかる毛むくじゃらの胴体に吸い込まれ弾き飛ばした。
「それじゃあ私達だけで戦うのは厳しくないですか?」
「その認識は正しい。だけどパーティーでの戦闘は一つ上のランクを超えるぐらいの戦闘力を出せる事もある。理由は分かる?」
「えーっと、パーティーでの連携ですか?」
「その通り。個人ランクが低くてもパーティーランクが高い所なんてゴロゴロある。連携して戦えば格上の魔物だって倒せる。だからまずはどれ位できるのか見させてもらおうと思う」
「はいぃ……」
東の森までの行きがてら話をしつつ歩く。
この周辺は冒険者たちの努力によって魔物は掃討済みなので安全地帯だ。俺が先導しながら三人を引き連れ歩いている。
魔物が出現するエリアではこうはいかない。陣形を組み、偵察を出しながらゆっくりと進んでいくのがセオリーだ。
「手頃な魔物見つけたら釣って誘導するから、自分達なりに戦ってみるんだ」
「はいぃ……」
「さっきからその返事気になるんだけど」
「自信がなくてですねー……」
「でも二体ぐらい倒したんだろ? なら問題ないさ」
「はいぃ……」
それからはしばらく無言となった。
ニア以外まともにコミュニケーションが取れないし、そのニアも表情が強張って口を引き結んでいる。
小生意気なエミリーは一切目を合せないどころか、俺を視界に入れようとすらしない。いつも横を向いているのでこいつの正面の顔を見た記憶が無い。
ソフィーはソフィーで俯き縮こまっていてやはり俺とは目を合せない。図体が大きいのに存在感が薄く、小動物みたいな小柄な二人の方が目立っているぐらいだ。
三人の仲は良さそうだが、総じて印象が悪いパーティーだった。
金の為とは言え、協力してやる気が少しずつ減退している。
「ここから先は魔物が出てくるエリアだから気を張っとけよ。突然後ろからザックリとかもあるから」
「あんま先輩風吹かせないでくんない? なんかウザい」
「はいはい我慢してくださいね。でもチビ、お前が死んだらこのパーティーも終わりだって事自覚しとけよな」
「言われなくても分かってるっての死ね」
どうだかな、とは口にしなかった。
やや歩調を落とし、俺を先頭にして進む。それぞれが警戒方向を受け持つ基本的な移動隊形だ。
森の入り口は比較的間伐されているので視界が開けている。ここらをうろつくのは、初心者の練習として持ってこいの場所だった。
「お、早速居たな。”シルヴィ”だ」
「シルビー……」
「EとFの中間ぐらいの強さで知られている魔物だから丁度いい」
見た目は茶色い毛玉のような四足歩行の魔物だ。あの毛玉の奥には無数の口が付いていて、噛みつく時に飛び出してくる少しグロテスクな奴で、サイズも中型犬ぐらいはある。
ただ短足なのでそこまで俊敏では無く、飛び出す口も精々毛玉から数十センチぐらいの範囲と攻撃の範囲が狭い。分かっていれば怖い要素はほぼ無いのも特徴である。
それなりにタフなので最弱の部類ではないが、突進と噛みつきの二パターンの攻撃手段しか持たないので分かりやすい、腕試しには丁度いいと思える相手だ。
「シルヴィについて知ってる事はあるか?」
「あんな魔物初めて見ました……うちの方だとペーズやカルタロスぐらいなので」
「シェラタン村の周辺だとそんなもんか。まあそこまで強さは変わらないから」
「あのモフモフしてるの、可愛いですね」
珍しく言葉を出したのはソフィーだった。
「試しに抱きしめてみろ。一瞬で血まみれになるぞ」
「ひっ……!?」」
「あんな見た目でも魔物だから気を抜くなよ。あいつは足が遅いがそれなりのジャンプ力がある。それに、あの毛むくじゃらの奥には幾つかの口がある。どの方向からも噛みつかれるから気を付けろ」
ソフィーはまたおずおずと後退りして二人の影に隠れる。デカいから隠れられてないけど。
「自分達のやり方でやってみるんだ。初めて見る魔物と戦うのなんて、これから先飽きる程あるシチュエーションだから。どの程度動けるのか見たい」
「はいぃ……でもですね……」
「ヤバそうな時は俺が助けるから。三人の戦い方を見せてくれ」
「うー……分かりましたあ……」
どうにも歯切れの悪い答えだが、観念したように剣を抜き二人に目配らせする。
エミリーの方は手にしたロッドを握り直し頷くが、ソフィーはぶんぶんと首を横に振る。
「あんた立場分かってる? ニアの為なら体張りなさいよ。ご主人様でしょ」
「はい……」
ソフィーも今の言葉で諦めたようで、ショートスピアを抱いてこくりと頷く。
「俺が回り込んで気を引くから、背後か横から奇襲を仕掛けろ。奇襲は成功すれば相手の防御力にデバフを掛けられるから」
「あの……ずっと聞きたかったんですけどバフとかデバフって……?」
「あ?」
ステータスについて詳しく聞いていない?
それとも理解できてないだけか。どの道講習で聞いている筈なんだけど。
「要は奇襲できれば大ダメージが期待できるって事だよ。それを狙って攻撃すればアドバンテージが取れる」
「アドバ……はあ」
どうにも理解できていない様子だ。考えてみれば冒険者の間では通じている用語だけど、元は俺達”召喚人”が持ち込んだ概念だ。登録してから一週間と言うし知らなくても仕方ない。
「とにかく、やってみるんだ。いいな?」
「はいっ……!」
抜いた剣を握り直しニアは頷く。後ろの二人も緊張した顔つきになっていた。
シルヴィはわりと嗅覚が良い。なので三人を風下に待機させ、俺は静かに迂回して風上へと回り込む。
隠密のスキルでもあれば、視認されない限り認知されずに移動できるのだが、俺には取得できなかった。少しヘマをして物音を立ててしまい、シルヴィがこちらに気付いてしまった。
「まあいいか。ほら、こっちだ!」
走り出してここまで進んできた経路を戻る。
それに釣られてシルヴィもこちらへと駆け出してきた。
基本的に魔物は格上格下関係なく襲ってくる。動いているものはすべて”捕食対象”なのだ。
だから警戒されない分、釣る動きは簡単だ。
適度に足を遅めつつ、付かず離れずの距離を保つ。ガウガウと複数の鳴き声で吠えながら走るシルヴィの意識は完全に俺に向いている。
その背後、三人が腰を低くしながら駆けてきているのが見えた。
「ええいっ!」
そしてニアが剣を振りかぶりながら気合を一言。
しかし、その声にシルヴィが気付く。
何で黙って近づけなかったのか。それに。
「やあっ!」
大振りな縦振り。難なく躱される。振り方が悪いし、目を閉じながら振ってるのだから当たり前だ。
「わっ……と」
後ろを走っていたソフィーがニアにぶつかりそうになり動きを止める。その隙をシルヴィは見逃さない。唸りながら跳躍し隠し牙を伸ばす。
驚いたソフィーがやぶれかぶれに槍を振ると、タイミングが合って牙を叩き、逸らせる事に成功。
距離を置いてエミリーが到着し、三対一で向かい合う。
奇襲の優位は消えたが、ここからは真っ当な戦いが見られるだろう。
ソフィーがじりじりと後退りをしている。槍を構えてはいるものの手が震えているし、穂先は斜め上だ。槍を使い慣れていないのだろうか。
ニアは呼吸が荒く剣を両手で持って構えている。それ程大きい剣ではないものの、ニアの筋力では片手で持てないのだろう。散々アレクセイを筆頭とした腕の立つ剣士を見てきた俺からすると、構えが甘いというかぎこちなさの方が目立って見える。
唸るシルヴィと対峙する三人だが、どちらかと言うと三人の方が気圧され気味だった。
静止はすぐに解けた。シルヴィの跳躍、飛びかかり。狙いはニア。
タイミングを合わせて剣を振るう。今度はしっかりと見据えている。だか少しばかり引きつけが甘い。もしくは踏み込みが足りない。ニアの縦斬りは当たったものの、延びた口先の一つを裂くだけに留まった。
悲鳴のような鳴き声を上げて途中で着地し飛び退るシルヴィ。
ニアは剣を当てた事に安心したのか、表情が明らかに緩んでいる。戦闘中にそんな隙や慢心を見せてはいけない。すぐにシルヴィが再びの跳躍。
ニアは驚き、反応が遅れる。そこにソフィーの横槍が差し込まれる。カバーとしては適切だ。だが、彼女の咄嗟の刺突は空を滑る。
そのままニアの左肩にシルヴィの牙が食い込み服と皮膚が千切られ、立ち位置が入れ違いになる。
「ひっ……!」
この声はソフィーのものだ。
ニアは痛みからかショックからか、腕をだらりと下げて放心している。
後方に居たエミリーが呪文を唱え杖が光る。簡易の治癒魔法であれば詠唱は速い。
ロッドの宝玉が微かに光り、上から下へ投げ下ろすように振るう。だが、治癒の光は何故かシルヴィの元に灯ってしまった。
「なんで!?」
エミリーの驚きの声。聞きたいのはこちらの方だ。
もう既にパーティーは総崩れの状態だった。ソフィーは槍を抱えて縮こまり、顔を青くして震えている。ニアは膝を折り、噛まれた左肩を押えてうなだれている。
シルヴィに狙いを定められたエミリーは果敢にもロッドを向けて睨み返しているが、無謀だ。
手にした斧を振りかぶり、狙いを定めて力を込め、投擲する。
回転しながら直線状に飛んでいく手斧は、エミリーに向かって飛びかかる毛むくじゃらの胴体に吸い込まれ弾き飛ばした。
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