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19.decisive battle-ⅱ
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「いい加減に……終われ!!」
少女は半ば叫ぶような声を発し、再び集中砲火を浴びせ始める。
彼は煙や熱を燻らせてゆらゆらと揺られていたが、剣を握り直し力強い視線を少女に向ける。
そして砲火が達する直前に足場を蹴り、宙へと飛翔する。
闇の光の雨に再び襲われるが、次々に足場を移り渡りつつ果敢にも向かっていく。
少女の背のもう一つの箱が開き光が膨張する。
そしてあの誘導弾が放たれた。
光速の光弾に加え、誘導弾が飢えた獣のように彼に向って殺到する。
しかし彼は止まらない。既にどれ程の弾を受けているのかも分からない。だが、彼は進む。
誘導弾が迫る。彼は斬らずに誘導弾を蹴って足場とし、次弾も同じように蹴りつける……が、直後に爆発。爆風に煽られたものの更に加速。
銃弾の雨と爆風が吹き荒ぶ中でも飛ぶ、駆ける。
少女は誘導弾をわざと撃って起爆し、彼の進路の全てを爆風の道とした。
そして十二門の砲塔の内八門の銃撃を止め、少女と砲身とを繋ぐ触手のようなものがゆっくりと伸び、少女の右手で組み合わさり構成を変えていく。
爆炎の煙に撃ち込まれる闇色の光。
切り裂く白い光。
最後の足場を蹴って現れた彼は蒼剣を手に、色彩を失い純白と化した姿となっていた。
そして尚も狙い撃たれながらも電光石火の如く落下していく。
少女は組み替えた巨大な砲塔を空へと向ける。
その砲身は少女の身の丈の五倍はある程の巨大なもの。
砲塔は花が開くように八枚板が展開し、その中にある砲身も六分割されて開き、宙に。
それらが回転を始めて紫電が発生し、エネルギーを溜めこむように中央から黒と紫の入り混じった光が発生する。
「あああああああああ!!!」
少女は狂乱したかのように叫び、高速回転する砲身の中央で収束した光が飽和し発射される。
凄まじい衝撃波で空間が歪む。
深い漆黒の一閃。
塔の半径程にも達する極太の闇は、天蓋を消し飛ばし彼を飲み込む。
だが、漆黒は途中で遮られたように分断され、その接触点には白い光が微かに垣間見える。
一滴の光と化した彼は闇に飲まれず、漆黒の中で剣を突き出し断ち進んでいた。
少女は更に叫び声を大きくし、咆哮する。
砲身の回転が更に速くなり吐き出す漆黒の光が一層強くなる。
闇を切り裂く小さな光が押し返される。漆黒の密度がより濃くなり、勢いが増す。
光が、消える……
いや、まだだ。
漆黒の中に小さな光がまだ残っている。
満天の夜空に輝く小さな星のように、小さく、それでも力強く。白光は確かにそこに在る。
光は次第に輝きを増し、青と白の螺旋の軌跡が現れる。
彼が撒き散らす銀の粒子と混ざり、闇を切り裂く流星のようにその尾を長く伸ばしていく。
少女の顔がひび割れる。叫び、目を見開き過ぎたのだろう。目尻や口元が裂け悍ましい貌となっている。
回転する砲塔は更に放出する闇を強める。
巨大な闇と小さな光。
相反する二つがぶつかり合い、衝突点を境に空間が、色彩が、音が、全てが歪む。
永遠とも思われるせめぎ合いだったが均衡は長く保たれなかった。
彼が纏う光が、一筋の流星が力強く輝く。
押し戻されかけていた勢いが戻り、彼を飲み込まんとする闇を断ち割っていく。
少女が咆哮、そして絶叫する。
だが突き進む彼は止まらない。
螺旋の光の尾を引く流星は、遂に闇を全て斬り裂き……少女の胸を貫いた。
少女は半ば叫ぶような声を発し、再び集中砲火を浴びせ始める。
彼は煙や熱を燻らせてゆらゆらと揺られていたが、剣を握り直し力強い視線を少女に向ける。
そして砲火が達する直前に足場を蹴り、宙へと飛翔する。
闇の光の雨に再び襲われるが、次々に足場を移り渡りつつ果敢にも向かっていく。
少女の背のもう一つの箱が開き光が膨張する。
そしてあの誘導弾が放たれた。
光速の光弾に加え、誘導弾が飢えた獣のように彼に向って殺到する。
しかし彼は止まらない。既にどれ程の弾を受けているのかも分からない。だが、彼は進む。
誘導弾が迫る。彼は斬らずに誘導弾を蹴って足場とし、次弾も同じように蹴りつける……が、直後に爆発。爆風に煽られたものの更に加速。
銃弾の雨と爆風が吹き荒ぶ中でも飛ぶ、駆ける。
少女は誘導弾をわざと撃って起爆し、彼の進路の全てを爆風の道とした。
そして十二門の砲塔の内八門の銃撃を止め、少女と砲身とを繋ぐ触手のようなものがゆっくりと伸び、少女の右手で組み合わさり構成を変えていく。
爆炎の煙に撃ち込まれる闇色の光。
切り裂く白い光。
最後の足場を蹴って現れた彼は蒼剣を手に、色彩を失い純白と化した姿となっていた。
そして尚も狙い撃たれながらも電光石火の如く落下していく。
少女は組み替えた巨大な砲塔を空へと向ける。
その砲身は少女の身の丈の五倍はある程の巨大なもの。
砲塔は花が開くように八枚板が展開し、その中にある砲身も六分割されて開き、宙に。
それらが回転を始めて紫電が発生し、エネルギーを溜めこむように中央から黒と紫の入り混じった光が発生する。
「あああああああああ!!!」
少女は狂乱したかのように叫び、高速回転する砲身の中央で収束した光が飽和し発射される。
凄まじい衝撃波で空間が歪む。
深い漆黒の一閃。
塔の半径程にも達する極太の闇は、天蓋を消し飛ばし彼を飲み込む。
だが、漆黒は途中で遮られたように分断され、その接触点には白い光が微かに垣間見える。
一滴の光と化した彼は闇に飲まれず、漆黒の中で剣を突き出し断ち進んでいた。
少女は更に叫び声を大きくし、咆哮する。
砲身の回転が更に速くなり吐き出す漆黒の光が一層強くなる。
闇を切り裂く小さな光が押し返される。漆黒の密度がより濃くなり、勢いが増す。
光が、消える……
いや、まだだ。
漆黒の中に小さな光がまだ残っている。
満天の夜空に輝く小さな星のように、小さく、それでも力強く。白光は確かにそこに在る。
光は次第に輝きを増し、青と白の螺旋の軌跡が現れる。
彼が撒き散らす銀の粒子と混ざり、闇を切り裂く流星のようにその尾を長く伸ばしていく。
少女の顔がひび割れる。叫び、目を見開き過ぎたのだろう。目尻や口元が裂け悍ましい貌となっている。
回転する砲塔は更に放出する闇を強める。
巨大な闇と小さな光。
相反する二つがぶつかり合い、衝突点を境に空間が、色彩が、音が、全てが歪む。
永遠とも思われるせめぎ合いだったが均衡は長く保たれなかった。
彼が纏う光が、一筋の流星が力強く輝く。
押し戻されかけていた勢いが戻り、彼を飲み込まんとする闇を断ち割っていく。
少女が咆哮、そして絶叫する。
だが突き進む彼は止まらない。
螺旋の光の尾を引く流星は、遂に闇を全て斬り裂き……少女の胸を貫いた。
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