3 / 21
3.unrivaled
しおりを挟む
黒と不気味な色で発光する点。それらが群れとなり圧し潰すように白髪の彼へと殺到する。
無秩序で破滅的な暴力に対し、彼は静かに剣を振るい一体一体を着実に仕留めていく。
既に階層は四を数え、現在は天井が低く小さな部屋が並ぶ通路上での戦いだった。
狭所での戦いは数を恃む黒の人型にとっては不利なようにも見えるが、大きく動き回る事ができなくなってしまった彼にとっても殊更苦しい展開となっている。
既に表情からは涼しさが消えており、無表情なのは相変わらずだが大粒の汗を流している。
回避が難しくなっており、人型の攻撃を剣で弾いて打ち合う場面も増えた。
それでも依然、彼に傷一つ付けられていない。彼の一刀は無造作に振るわれているように見えるが全てが必殺の一撃。正確に人体の急所と思わしき箇所を斬り裂き、貫いており彼の剣が通った人型は一体たりとも再び起き上がる事はない。
彼へ二十体程が群がっている中、奥で攻勢に参加していない数体がいる。
それらは互いに額を合わせると、一体の元へと発光する石が集まっていき人型の形状が変化していく。
次々に襲い掛かる群れを排除し、息を切らせながらも潜り抜けた彼。
残骸の踏み越え奥へと進むと、そこには異様な人型が待ち構えていた。
腕が六本となりそれぞれが長さの違う剣を手に持っている。
膨れ上がった筋肉で体が巨大化しており、三メートル近い大男の姿を象っていた。
通常の個体は額に発光する石が一つだが、この人型は八個有しておりそれぞれが違う彩りの光を放っている。
彼は小さく溜息のようなものを吐くと、六本の剣を振りかぶり突進してくる異形の人型を迎え討つ。
一つ、二つ。振るわれる剣を回避し、右脚を軸に独楽のように体を回転させながら次に来る二振りを弾く。
左足を止めての急制動。防ぐために振るった剣を即座に返し、二本の腕を斬り飛ばす。
速度の次元が違う。
どれだけ手数を増やそうとも、倍以上の速度で動く彼にとっては無意味なものだ。そもそも四方八方から攻撃を受けていたのにも拘わらずここまで無傷で来ているのだ。今更腕が増えようが何をしようが変わらない。
弾かれ斬られ、のけ反った元六本腕はそのまま縦に両断され崩れ落ちていく。
彼は一度剣を鞘に戻し、床に座り込む。体力がかなり削られたのか息が荒い。
既にここまでで五階層突破した事になるものの、塔の高さを考えるとほんのごく一部だ。
無秩序で破滅的な暴力に対し、彼は静かに剣を振るい一体一体を着実に仕留めていく。
既に階層は四を数え、現在は天井が低く小さな部屋が並ぶ通路上での戦いだった。
狭所での戦いは数を恃む黒の人型にとっては不利なようにも見えるが、大きく動き回る事ができなくなってしまった彼にとっても殊更苦しい展開となっている。
既に表情からは涼しさが消えており、無表情なのは相変わらずだが大粒の汗を流している。
回避が難しくなっており、人型の攻撃を剣で弾いて打ち合う場面も増えた。
それでも依然、彼に傷一つ付けられていない。彼の一刀は無造作に振るわれているように見えるが全てが必殺の一撃。正確に人体の急所と思わしき箇所を斬り裂き、貫いており彼の剣が通った人型は一体たりとも再び起き上がる事はない。
彼へ二十体程が群がっている中、奥で攻勢に参加していない数体がいる。
それらは互いに額を合わせると、一体の元へと発光する石が集まっていき人型の形状が変化していく。
次々に襲い掛かる群れを排除し、息を切らせながらも潜り抜けた彼。
残骸の踏み越え奥へと進むと、そこには異様な人型が待ち構えていた。
腕が六本となりそれぞれが長さの違う剣を手に持っている。
膨れ上がった筋肉で体が巨大化しており、三メートル近い大男の姿を象っていた。
通常の個体は額に発光する石が一つだが、この人型は八個有しておりそれぞれが違う彩りの光を放っている。
彼は小さく溜息のようなものを吐くと、六本の剣を振りかぶり突進してくる異形の人型を迎え討つ。
一つ、二つ。振るわれる剣を回避し、右脚を軸に独楽のように体を回転させながら次に来る二振りを弾く。
左足を止めての急制動。防ぐために振るった剣を即座に返し、二本の腕を斬り飛ばす。
速度の次元が違う。
どれだけ手数を増やそうとも、倍以上の速度で動く彼にとっては無意味なものだ。そもそも四方八方から攻撃を受けていたのにも拘わらずここまで無傷で来ているのだ。今更腕が増えようが何をしようが変わらない。
弾かれ斬られ、のけ反った元六本腕はそのまま縦に両断され崩れ落ちていく。
彼は一度剣を鞘に戻し、床に座り込む。体力がかなり削られたのか息が荒い。
既にここまでで五階層突破した事になるものの、塔の高さを考えるとほんのごく一部だ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる