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57 それから 5(最終話)
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薬に浮かされるまま、神崎がレイを見据える。
――やっと、俺だけのものに……。
一目惚れしたあの日から、この日を待ち焦がれた。
「好きだ」
レイの姿しか知らなかった頃から、玲として生きている今まで。ヤヒロが神崎を試すように目の前でレイに客を取らせた夜は、嫉妬で狂いそうだった。その後レイを抱いた日は、それをぶつけて無理をさせた。
――今はもう、俺だけに。
ずぶりと突き刺したペニスで奥を拓けば、レイが高く叫び喘ぐ。耳朶を食み、乳首を摘んで啼かせ、口付けで薬を与える。
「愛している。ずっと、お前だけを」
レイは快楽でぼやける頭でそれを聞く。頭で理解するより早く、レイの後孔が歓喜を神崎に伝えた。
「私、も。愛してる……っ、あん……っ」
喘ぎに混じる言葉にペニスを太くし、奥へ奥へと腰を進める。
低く呻き、レイをきつく抱きしめた神崎が、レイの結腸を精液で染め上げた。
神崎がレイの最奥を犯して射精をすれば、今度はレイが神崎を組み敷く。
「好きだ」
囁きあい、口付けを交わす。神崎の後孔に指を這わせながらレイが神崎を窺うと、神崎は笑ってレイを引き寄せる。
「お前を、くれ」
耳元で低く囁けば、レイが花開くように笑う。神崎がレイの後孔にプラグを挿し、自ら脚を抱えて身体をレイに明け渡す。
「愛しているよ」
その言葉が神崎の耳に届いた瞬間、レイは躊躇なく神崎の最奥を突き破る。
「っく、は……っあぁ……」
甘く零れる神崎の嬌声に、レイの熱が高まる。そのまま薬包紙を開いて口に流し込み、甘さを分け合うように舌を絡ませる。
「貴方は、私のものだ」
ぎらりとレイの目が光る。神崎の手首を掴み、脚から離させてベッドに縫いつける。快楽に歪む精悍な顔が、余裕を無くした声がレイを煽る。
「ああ、本当に……孕めばいいのに」
ずぶりと奥を犯したまま、神崎の硬い腹を撫でる。
「私だけ見て、感じて……貴方の世界に私だけあればいいのに」
神崎はレイの見る世界で唯一、彩を持った存在だ。
――ケンにとっての自分もそうであればいいのに。
無理だと考えることをやめたはずの、傲慢で欲深い思いを神崎の最奥に吐き出しながら、レイの頬を涙が伝った。
薬が抜けるたびに開かれる薬包紙がベッドに散らばる頃、二人はようやく動きを止めた。乱れる息を整えながら、互いの精液でドロドロになった身体を擦り合わせる。
胸元に甘えるレイの髪を撫で梳きながら、神崎は額に口付けを落とした。
「レイ」
優しく甘く、掠れた声でレイを呼べば、レイがはにかんだまま神崎を見上げて首を傾げる。出会った頃には考えもしなかったレイの素の姿を愛おしく思いながら、神崎がレイを見つめて口を開く。
「俺はこれまで、何をしても、さほど努力もなくそこそこの結果を出してきた」
優しく撫でる手が、触れればすり寄せられる頬が、レイを甘やかしているようで。
言葉の真意を測り損ねたレイが問うように見返せば、掌に口付けが落とされた。
「つまらない世界だと思って生きてきた。それを唯一、変えてくれた」
神崎の少し硬い指先が、レイの頬を、唇を撫でる。そのままつぷりと差し込まれた親指を舐めると、神崎が褒めるように目を細めた。
「レイ。お前はとっくに、俺の唯一になっていたんだよ。お前の居ない世界に意味などないと思うほどにな」
照れも何も無く、神崎は真っ直ぐにレイを見る。思いを交わしたあの日の、レイの身勝手な願いを聞き入れてくれた時と同じ。
「もしお前が死ぬ時は……俺も、連れて行ってくれ」
つ、と、神崎の目から涙が流れる。
――あの時、ケンはこんな気持ちだったのか。
唯一と決めた相手から告げられるには、あまりにも苦しい言葉。レイはあの日の言葉を酷く後悔し、それでも応えてくれた神崎に愛しさが募った。
「……うん、分かった。でも、ケンもだよ?」
わざと明るく微笑み、神崎の涙を指で拭う。
「貴方が死ぬ時は、貴方が嫌がろうともついていくからね」
互いに見つめ合い、ふ、と笑う。
「ああ。けど、できれば……それがずっと先である事を祈るよ」
共に歩き、年老いて。
「そうだね。私も……貴方とは、生きていたい」
「あの時はごめん。まさか、こんなに苦しいとは思わなかった」
レイは後孔に神崎を受け入れながら、浴槽の水を掬って落とした。神崎は腹に回した腕に軽く力を込め、首筋に口付ける。
「悪い。そういうつもりじゃ、なかったんだけど」
バツが悪そうに呟く神崎に擦り寄りながら、レイはふふっと笑う。
「私を見つけてくれてありがとう。愛してるよ。きっと、死んだあともずっと」
幸せそうに笑うレイに、神崎の頬が緩む。
「ああ。俺も愛している」
ぎゅ、と抱き締めれば、鼓動が伝わる。レイ、と呼べば、振り返って笑う愛しい人。
「もし来世があるなら……そこでもお前を見つけるよ」
笑って、泣いて。時々すれ違って、喧嘩して。それでも、共にありたいと思えた、大切な存在だから。
「これからも、よろしく」
重なる言葉が嬉しくて、それがあまりに照れくさかった神崎は、誤魔化すように腰を揺らす。
「差し当たり……気を失うほど、愛し合おうか」
――やっと、俺だけのものに……。
一目惚れしたあの日から、この日を待ち焦がれた。
「好きだ」
レイの姿しか知らなかった頃から、玲として生きている今まで。ヤヒロが神崎を試すように目の前でレイに客を取らせた夜は、嫉妬で狂いそうだった。その後レイを抱いた日は、それをぶつけて無理をさせた。
――今はもう、俺だけに。
ずぶりと突き刺したペニスで奥を拓けば、レイが高く叫び喘ぐ。耳朶を食み、乳首を摘んで啼かせ、口付けで薬を与える。
「愛している。ずっと、お前だけを」
レイは快楽でぼやける頭でそれを聞く。頭で理解するより早く、レイの後孔が歓喜を神崎に伝えた。
「私、も。愛してる……っ、あん……っ」
喘ぎに混じる言葉にペニスを太くし、奥へ奥へと腰を進める。
低く呻き、レイをきつく抱きしめた神崎が、レイの結腸を精液で染め上げた。
神崎がレイの最奥を犯して射精をすれば、今度はレイが神崎を組み敷く。
「好きだ」
囁きあい、口付けを交わす。神崎の後孔に指を這わせながらレイが神崎を窺うと、神崎は笑ってレイを引き寄せる。
「お前を、くれ」
耳元で低く囁けば、レイが花開くように笑う。神崎がレイの後孔にプラグを挿し、自ら脚を抱えて身体をレイに明け渡す。
「愛しているよ」
その言葉が神崎の耳に届いた瞬間、レイは躊躇なく神崎の最奥を突き破る。
「っく、は……っあぁ……」
甘く零れる神崎の嬌声に、レイの熱が高まる。そのまま薬包紙を開いて口に流し込み、甘さを分け合うように舌を絡ませる。
「貴方は、私のものだ」
ぎらりとレイの目が光る。神崎の手首を掴み、脚から離させてベッドに縫いつける。快楽に歪む精悍な顔が、余裕を無くした声がレイを煽る。
「ああ、本当に……孕めばいいのに」
ずぶりと奥を犯したまま、神崎の硬い腹を撫でる。
「私だけ見て、感じて……貴方の世界に私だけあればいいのに」
神崎はレイの見る世界で唯一、彩を持った存在だ。
――ケンにとっての自分もそうであればいいのに。
無理だと考えることをやめたはずの、傲慢で欲深い思いを神崎の最奥に吐き出しながら、レイの頬を涙が伝った。
薬が抜けるたびに開かれる薬包紙がベッドに散らばる頃、二人はようやく動きを止めた。乱れる息を整えながら、互いの精液でドロドロになった身体を擦り合わせる。
胸元に甘えるレイの髪を撫で梳きながら、神崎は額に口付けを落とした。
「レイ」
優しく甘く、掠れた声でレイを呼べば、レイがはにかんだまま神崎を見上げて首を傾げる。出会った頃には考えもしなかったレイの素の姿を愛おしく思いながら、神崎がレイを見つめて口を開く。
「俺はこれまで、何をしても、さほど努力もなくそこそこの結果を出してきた」
優しく撫でる手が、触れればすり寄せられる頬が、レイを甘やかしているようで。
言葉の真意を測り損ねたレイが問うように見返せば、掌に口付けが落とされた。
「つまらない世界だと思って生きてきた。それを唯一、変えてくれた」
神崎の少し硬い指先が、レイの頬を、唇を撫でる。そのままつぷりと差し込まれた親指を舐めると、神崎が褒めるように目を細めた。
「レイ。お前はとっくに、俺の唯一になっていたんだよ。お前の居ない世界に意味などないと思うほどにな」
照れも何も無く、神崎は真っ直ぐにレイを見る。思いを交わしたあの日の、レイの身勝手な願いを聞き入れてくれた時と同じ。
「もしお前が死ぬ時は……俺も、連れて行ってくれ」
つ、と、神崎の目から涙が流れる。
――あの時、ケンはこんな気持ちだったのか。
唯一と決めた相手から告げられるには、あまりにも苦しい言葉。レイはあの日の言葉を酷く後悔し、それでも応えてくれた神崎に愛しさが募った。
「……うん、分かった。でも、ケンもだよ?」
わざと明るく微笑み、神崎の涙を指で拭う。
「貴方が死ぬ時は、貴方が嫌がろうともついていくからね」
互いに見つめ合い、ふ、と笑う。
「ああ。けど、できれば……それがずっと先である事を祈るよ」
共に歩き、年老いて。
「そうだね。私も……貴方とは、生きていたい」
「あの時はごめん。まさか、こんなに苦しいとは思わなかった」
レイは後孔に神崎を受け入れながら、浴槽の水を掬って落とした。神崎は腹に回した腕に軽く力を込め、首筋に口付ける。
「悪い。そういうつもりじゃ、なかったんだけど」
バツが悪そうに呟く神崎に擦り寄りながら、レイはふふっと笑う。
「私を見つけてくれてありがとう。愛してるよ。きっと、死んだあともずっと」
幸せそうに笑うレイに、神崎の頬が緩む。
「ああ。俺も愛している」
ぎゅ、と抱き締めれば、鼓動が伝わる。レイ、と呼べば、振り返って笑う愛しい人。
「もし来世があるなら……そこでもお前を見つけるよ」
笑って、泣いて。時々すれ違って、喧嘩して。それでも、共にありたいと思えた、大切な存在だから。
「これからも、よろしく」
重なる言葉が嬉しくて、それがあまりに照れくさかった神崎は、誤魔化すように腰を揺らす。
「差し当たり……気を失うほど、愛し合おうか」
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