囚われの踊り手は闇に舞う

徒然

文字の大きさ
上 下
41 / 58

40 初めての4

しおりを挟む
「ケン、貴方に手枷を付けていい?」
 神崎を押し倒したレイが、深くまでペニスを差し込みながら問う。神崎はふっと笑い、迷いなく両手を差し出した。
「いいぜ。首輪でも何でも、好きにしていい」
 完全に吹っ切れた神崎は、レイの全てを受け入れる気でいた。その潔い愛し方にレイが切なくなりつつ欲情する。
「そんなこと言うと……貴方のこの奥まで、私の精液で染めたくなるな」
 レイが怖いと言っていた場所。ペニスの先に感じる隔たりを、突き破りたくなる気持ちが分かった。
「ねぇ。ここ、飛ぶほどイイらしいよ。手枷付けて逃げられなくして……ここの奥の味、私よりも先に知ってみる?」
 荒く息を吐きながら、神崎の腹筋を撫でる。この奥に印を刻みたい、とレイが目をギラつかせた。
「いいぜ。ただ、お前のここも、後で俺の精液まみれにさせろよ」
 甘く蕩けた顔。神崎が差し出した両手を、急かすように揺らす。
「ふふ。いいよ、後で好きなだけ犯して」
 神崎の言葉に、空っぽのレイの後孔が疼く。その奥をこじ開けられるのを想像して、甘く息を吐く。
「入れられたくなったか?俺に犯される時の顔になってる」
 くす、と笑いながら、神崎が腰を揺らす。埋められたペニスに前立腺を抉らせて、は、と甘く息を漏らす。
「ああ、欲しいよ。でも今は」
 レイが手枷を神崎の手首に這わせ、金具を留める。
「ケンの奥を、犯すのが先だ」
 ベッドフレームに付けられている鉄輪に、神崎の手が繋がれる。レイは逞しい太腿を開かせ、ぐいと押さえて、浮いた腰をクッションで支えた。
 上体を起こし、神崎を見下ろす。
「普段雄々しく私を抱く貴方が、こんな姿を晒すなんて……」
 まるで普段のレイのように、レイに犯されることを赦す。
 神崎は微笑み、足先でレイの身体に触れる。
「お前だからだ。お前が望むなら、俺はなんでも叶えてやると言っただろう」
 その時レイは悟った。レイがいくら神崎を抱こうと、神崎は揺らがない。これはきっと、レイを抱くためのスパイスになるのだろう。
「そんなことを言わないで。……叶わない願いを、口にしそうだ」
 それでもレイは、ただの男娼に過ぎない。
 ――もう貴方しか要らない、と。ここから出て、貴方と居たいだなんて。
 言えない、と口を噛むレイに、神崎は腰を揺らして意識を自分に向けさせる。
「言ってみろよ。叶えてやるから」
 傲岸に言い放つ神崎に、レイは顔を歪める。
「言わないよ」
 頑なに口を噤むレイに、神崎はそういえば、と思い当たる。
 ――肝心の本人に、伝えてなかったな。
「レイ。キスしてくれ」
 拘束された両手では、弱るレイを抱きしめられない。代わりに両脚でレイの腰を引き寄せ、触れ合うことをねだると、レイがはっと目を見開いて、笑った。
「貴方からねだられるとは。……嬉しいものだね」
 レイが顔を寄せる。開かれた口に舌を差し込み、唾液を流し込むと、神崎が目を細めてそれを飲む。唇を重ね、歯列をなぞり、舌を絡ませる。
 苦しくなるほど口付け、顔を離したレイに、神崎が微笑みながら呼びかけた。
「レイ。俺はお前を、ここから出すよ」
 固まるレイに、神崎がくす、と笑う。
「ヤヒロと話は付けてある。どうやら許しも出たようだし」
 いつの間に、と驚くレイに、神崎が甘く息を吐く。
「だから、もうお前は俺のものだ。そして」
 神崎が脚に力を込め、レイのペニスを奥へとねだる。
「俺は、お前のものだよ。だから……言って。レイ」
 優しく甘く乞われ、レイの目に涙が浮かぶ。神崎はぽたぽたと落ちてくるそれを顔で受けながら、温かい、と思った。
「そ、れは……、叶わないから、って、諦めて、私は……、私は……っ」
 言葉にならない感情のまま、神崎に促されるまま腰を振る。ペニスに伝わるのは、愛してやまない人の中。
「ケン、ケン……、愛してる。貴方とずっと、居たい。貴方は、……貴方は、私の全てだ」
 しゃくり上げながら、レイが神崎を見る。神崎の後孔を犯し、抱いている今でさえ、神崎に抱かれている。精神の深いところまで、レイは神崎に囚われてしまったのだと自覚した。
 ――まるでこれは……赦しだ。
 神崎を抱きながら、縋り甘えるレイを赦される。それは甘美な毒のようにレイに染み込む。
「ケン。奥に、入らせて。貴方が欲しい」
 涙に濡れたレイの目が、ぎらりと光る。普段にないその強さに、神崎の背がぞくりと震える。
 ――こんな時でさえ、お前は綺麗なんだな。
 快楽に乱れる顔なら見た。けれど、こんな……欲に歪む男の顔は、初めてだった。
 神崎にペニスを刺したまま、レイは再び媚薬を呷る。唇を伝う水を手の甲で荒っぽく拭い、長い髪を鬱陶しげに束ねる。
「これで、届くかな」
 薬が回るまで神崎を口付けで蕩かし、神崎のペニスに射精を封じるリングを付けた。
「貴方の精液は全部、私のものだから」
 神崎はその独占欲に微笑み、腰を押し付けて応えた。
「ああ。全部お前に出してやるよ」
 レイに抱かれていても、甘く蕩けた瞳でレイを見つめていても、神崎は雄のままだ。神崎のその態度に、雌として躾られたレイの身体が震える。
「ん。嬉しい。じゃあ……」
 レイが神崎の脚を掴み、押し倒す。真上を向いた神崎の後孔に微笑み、ペニスをゆっくり引き抜く。
「突き破るよ」
 ふ、と笑って頷いた神崎に、レイは一気に腰を打ち付けた。
 鬼頭が一瞬膜に阻まれる。レイは強引に押し開き、それを突き抜けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

MAN OF THE FULL BLOOM

亜衣藍
BL
芸能事務所の社長をしている『御堂聖』は、同業者で友人の男『城嶋晁生』の誘いに乗り『クイーン・ダイアモンド』という豪華客船に乗り込むのだが。そこでは何やらよからぬ雰囲気が…?

処理中です...