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38 初めての 2
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神崎ははっとした。
――何でも受け入れる気でいたくせに、今更怖気付いてどうする。レイを泣かせてどうする。
その瞬間、神崎は腹を括った。レイの手を握り返し、ぐるぐると鳴る腹に触れさせる。
「ここでいい。あまり気持ちの良いものではないぞ?」
排泄を見られることに、抵抗しかない。それでも、それがレイの望みなら、恥くらい捨てる。ただ、きっかけが欲しかった。
「拘束してくれ。お前に、抵抗したくない」
潔く身体を差し出す神崎に、レイは戸惑った。神崎がその場に再び座り、枷の残る脚を擦り付ける。
「俺を、抱いてくれるんだろう?」
ほら、と促されたレイは、ぎこちなく頷いた。
かちゃり。
レイが脚を吊るす間にも、神崎はいよいよ限界を感じた。
「レイ、もう……」
退路は自ら断った。普段とは役割が逆なだけで、レイであることには違いない。
「うん。出していいよ。……手伝ってあげる」
レイが細い道具にローションを垂らす。そして、ひくひくと震える神崎の後孔にひたりと当てた。
「っう、ああ……」
つぷりと差し込まれたそれが、中の媚薬をかき混ぜる。そのままゆっくり引き抜かれ、神崎の後孔は耐えられずに媚薬を垂れ流した。
――こんな、姿……情けない。
神崎がちらりとレイを見ると、レイは嬉しそうに微笑んでいる。
「ん。綺麗になってるね。……まさか、貴方がここまでしてくれるなんて」
レイが神崎の拘束を解く。足先に口付け、足の甲に口付けて額を当てた。
――好きだよ。
告げられない言葉を乗せて、再び口付けた。
「飲んで。一緒におかしくなって」
身体を清めたあと、レイが水を差し出した。舞台に上がった今日は、飲み物全てが媚薬。神崎はそれを承知で飲み干すと、レイもグラスを傾けた。
「いいぜ、来いよ。俺をやる」
レイが神崎を誘う時のように、神崎はベッドに寝転び脚を開く。臀部を指先で開いて後孔を晒せば、レイが生唾を飲み込んだ。そして神崎の脚から枷を外し、上からのしかかって抱きしめる。
「ああ。貴方が言ったのは、こういうことなんだね」
初めて神崎に抱かれた時のことを思い出し、レイが愛しげに微笑む。
――好きだ。貴方が、好きだよ。
するりと神崎の頬を撫でると、神崎も微笑んでそれに顔を擦り寄せる。
「好きだ。レイ、お前が好きだよ」
レイが告げられない分、神崎が甘く囁く。甘い毒が身体を満たし、男娼としては失格の想いが満ちる。
「私をあげる、から……私も、貴方を貰うよ」
何度も唇を重ねながら、レイは神崎の後孔に指を這わせる。ローションでぬめらせたそこに、ゆっくりと指を差し込んだ。
「痛くない?」
熱くうねる、神崎の後孔。大丈夫だと頷いた神崎に口付けて、身体をずらしていく。
首に、鎖骨に、胸元に、臍に。口付けながら下りた先、雫を垂らす神崎のペニスに口付ける。
――好きだ。ケン、貴方が好きなんだ
かぷ、と咥え、一気に喉まで差し込む。と同時に指を深く突き刺し、神崎の前立腺を探る。
――一夜限りなんて、最初から無理だった。
レイの目に涙が溜まる。それを瞬きで散らしながら注意深く指を動かすと、感触の違う所があった。
「見つけた」
こり、とそこを擽ると、神崎のペニスが口内で跳ねる。指を増やして軽く挟むと、神崎が甘い声で啼いた。
「レイっ、そこは、だめだ……っ」
ぴくぴく震えるペニスが可愛くて、いつも余裕のある神崎の声が上擦るのが嬉しくて。
「だめ、じゃないでしょ」
咥えたまま喋ると、神崎が髪に指を差し入れる。
「お前、の、ここも、こんな感じなのか……?」
レイが乱れるのが楽しくて触っていた場所。神崎はレイを撫でながら、中にあるレイの指の形を感じる。
「ああ。貴方に弄られると、狂いそうになるほど気持ちいい。わかる?」
レイは口を離し、指を増やして三本でそこを執拗に擦りあげる。そうしながら、喘ぐ神崎の顔を覗き込んだ。
――あぁ……なんて、いい顔だ。
いつもぐずぐずに蕩けさせられるレイが、なかなか見られない顔。
「わか、った、から……っあぁ……」
中を拡げながら前立腺を引っ掻く。精悍な顔が快楽に歪む。その顔をさせているのが自分だと思うと、レイのペニスがぐっと硬くなる。
「早く入れたい。ここに私の精液を塗りつけて……貴方を、私だけのものにしたい……」
レイが腰を神崎の脇腹に擦り付ける。その熱さに、神崎の後孔が締まる。
「こんなに感じてくれるなんて……。ケンも、抱かれる素質があるのかな」
くす、と笑うレイの頬を神崎が撫でる。その手を取って口付けて、神崎の両太腿に手をかけた。
「ケン。私のものになって」
そのまま押し上げ、顕になった神崎の後孔。レイはひたりと、ペニスをそこに当てる。ローションをかけると、神崎が脚を開いてレイの腰に絡めた。
「ああ。レイ、お前も俺のものになれ」
神崎が脚に力を込め、レイのペニスを受け入れる。つぷ、と少しずつ入っていくそれに、神崎が甘く息を吐く。
――きつい。けど、気持ちいい……。
レイのペニスが初めて、口では無い場所に、神崎の体内に包まれる。熱く、ローションの滑りをかりたそこは、きつくレイを締め上げながらうねる。
――中に、居る……。
神崎もまた、未開の場所をこじ開けられる感触に震える。ず、と熱いペニスに拓かれていく身体。違和感は、ある。入れる場所じゃない場所に、ペニスが入っているのだから。
――でも、不快感はない……。
ゆっくりと、少しずつ挿れては抜き、止まる。もどかしいほど優しく、レイは神崎を拓く。
「優しく、できないんじゃなかったか」
くっと笑いながら、神崎がレイの頭を引き寄せて口付ける。強引さの欠けらも無く、ひたすら気遣われるセックス。レイが普段されているのとは全く逆の、穏やかさ。
――何でも受け入れる気でいたくせに、今更怖気付いてどうする。レイを泣かせてどうする。
その瞬間、神崎は腹を括った。レイの手を握り返し、ぐるぐると鳴る腹に触れさせる。
「ここでいい。あまり気持ちの良いものではないぞ?」
排泄を見られることに、抵抗しかない。それでも、それがレイの望みなら、恥くらい捨てる。ただ、きっかけが欲しかった。
「拘束してくれ。お前に、抵抗したくない」
潔く身体を差し出す神崎に、レイは戸惑った。神崎がその場に再び座り、枷の残る脚を擦り付ける。
「俺を、抱いてくれるんだろう?」
ほら、と促されたレイは、ぎこちなく頷いた。
かちゃり。
レイが脚を吊るす間にも、神崎はいよいよ限界を感じた。
「レイ、もう……」
退路は自ら断った。普段とは役割が逆なだけで、レイであることには違いない。
「うん。出していいよ。……手伝ってあげる」
レイが細い道具にローションを垂らす。そして、ひくひくと震える神崎の後孔にひたりと当てた。
「っう、ああ……」
つぷりと差し込まれたそれが、中の媚薬をかき混ぜる。そのままゆっくり引き抜かれ、神崎の後孔は耐えられずに媚薬を垂れ流した。
――こんな、姿……情けない。
神崎がちらりとレイを見ると、レイは嬉しそうに微笑んでいる。
「ん。綺麗になってるね。……まさか、貴方がここまでしてくれるなんて」
レイが神崎の拘束を解く。足先に口付け、足の甲に口付けて額を当てた。
――好きだよ。
告げられない言葉を乗せて、再び口付けた。
「飲んで。一緒におかしくなって」
身体を清めたあと、レイが水を差し出した。舞台に上がった今日は、飲み物全てが媚薬。神崎はそれを承知で飲み干すと、レイもグラスを傾けた。
「いいぜ、来いよ。俺をやる」
レイが神崎を誘う時のように、神崎はベッドに寝転び脚を開く。臀部を指先で開いて後孔を晒せば、レイが生唾を飲み込んだ。そして神崎の脚から枷を外し、上からのしかかって抱きしめる。
「ああ。貴方が言ったのは、こういうことなんだね」
初めて神崎に抱かれた時のことを思い出し、レイが愛しげに微笑む。
――好きだ。貴方が、好きだよ。
するりと神崎の頬を撫でると、神崎も微笑んでそれに顔を擦り寄せる。
「好きだ。レイ、お前が好きだよ」
レイが告げられない分、神崎が甘く囁く。甘い毒が身体を満たし、男娼としては失格の想いが満ちる。
「私をあげる、から……私も、貴方を貰うよ」
何度も唇を重ねながら、レイは神崎の後孔に指を這わせる。ローションでぬめらせたそこに、ゆっくりと指を差し込んだ。
「痛くない?」
熱くうねる、神崎の後孔。大丈夫だと頷いた神崎に口付けて、身体をずらしていく。
首に、鎖骨に、胸元に、臍に。口付けながら下りた先、雫を垂らす神崎のペニスに口付ける。
――好きだ。ケン、貴方が好きなんだ
かぷ、と咥え、一気に喉まで差し込む。と同時に指を深く突き刺し、神崎の前立腺を探る。
――一夜限りなんて、最初から無理だった。
レイの目に涙が溜まる。それを瞬きで散らしながら注意深く指を動かすと、感触の違う所があった。
「見つけた」
こり、とそこを擽ると、神崎のペニスが口内で跳ねる。指を増やして軽く挟むと、神崎が甘い声で啼いた。
「レイっ、そこは、だめだ……っ」
ぴくぴく震えるペニスが可愛くて、いつも余裕のある神崎の声が上擦るのが嬉しくて。
「だめ、じゃないでしょ」
咥えたまま喋ると、神崎が髪に指を差し入れる。
「お前、の、ここも、こんな感じなのか……?」
レイが乱れるのが楽しくて触っていた場所。神崎はレイを撫でながら、中にあるレイの指の形を感じる。
「ああ。貴方に弄られると、狂いそうになるほど気持ちいい。わかる?」
レイは口を離し、指を増やして三本でそこを執拗に擦りあげる。そうしながら、喘ぐ神崎の顔を覗き込んだ。
――あぁ……なんて、いい顔だ。
いつもぐずぐずに蕩けさせられるレイが、なかなか見られない顔。
「わか、った、から……っあぁ……」
中を拡げながら前立腺を引っ掻く。精悍な顔が快楽に歪む。その顔をさせているのが自分だと思うと、レイのペニスがぐっと硬くなる。
「早く入れたい。ここに私の精液を塗りつけて……貴方を、私だけのものにしたい……」
レイが腰を神崎の脇腹に擦り付ける。その熱さに、神崎の後孔が締まる。
「こんなに感じてくれるなんて……。ケンも、抱かれる素質があるのかな」
くす、と笑うレイの頬を神崎が撫でる。その手を取って口付けて、神崎の両太腿に手をかけた。
「ケン。私のものになって」
そのまま押し上げ、顕になった神崎の後孔。レイはひたりと、ペニスをそこに当てる。ローションをかけると、神崎が脚を開いてレイの腰に絡めた。
「ああ。レイ、お前も俺のものになれ」
神崎が脚に力を込め、レイのペニスを受け入れる。つぷ、と少しずつ入っていくそれに、神崎が甘く息を吐く。
――きつい。けど、気持ちいい……。
レイのペニスが初めて、口では無い場所に、神崎の体内に包まれる。熱く、ローションの滑りをかりたそこは、きつくレイを締め上げながらうねる。
――中に、居る……。
神崎もまた、未開の場所をこじ開けられる感触に震える。ず、と熱いペニスに拓かれていく身体。違和感は、ある。入れる場所じゃない場所に、ペニスが入っているのだから。
――でも、不快感はない……。
ゆっくりと、少しずつ挿れては抜き、止まる。もどかしいほど優しく、レイは神崎を拓く。
「優しく、できないんじゃなかったか」
くっと笑いながら、神崎がレイの頭を引き寄せて口付ける。強引さの欠けらも無く、ひたすら気遣われるセックス。レイが普段されているのとは全く逆の、穏やかさ。
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