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1 飼い主と猫の姫始め
前編
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街を彩っていた華やかなイルミネーションも、もう跡形もない。その代わりにあちらこちらで門松や干支飾りが置かれ、謹賀新年の文字が踊る。
「ね、樹。……後悔してない?」
リビングの一部に畳を敷き、そこに置いた炬燵に入りながら、颯真は樹を見つめた。蜜柑を剥いている手を止めて首を傾げた拍子に、鈴がりんと鳴った。
「後悔?何をですか?」
首傾げる樹に苦笑を浮かべながら、颯真はチョーカーの鈴を弾く。
「俺の猫になったこと」
バスローブの間から颯真が付けたキスマークをなぞられ、耳たぶを擽られた樹は、小さく息を詰めた。
颯真は樹にチョーカーを渡してから、箍が外れたように会う度に抱き潰している自覚がある。樹を心身ともに縛り、後孔を穿って口内を犯し、貪るように樹を求めている。
颯真の目が熱を帯び、溶けていく。
「無理させてる自覚は、あるんだ。けど、止められない……ごめん」
指先は自然に樹の後頭部を撫で、颯真が顔を寄せてくる。切なげに揺れる瞳に、樹は微笑んで目を閉じた。
「後悔なんて、してませんよ」
唇が触れる瞬間に告げられた言葉に、颯真はふっと笑った。
触れるだけのキスが深くなるのに時間はかからない。水音が立ち、唾液を啜り、甘い息を交わして離れる。
「颯真さんは、後悔してませんか….…?」
「する訳ないよ。でも、樹が後悔してないなら良かった」
被せ気味に言われた樹は、ふはっと声を立てて笑う。
「良かった。ね、颯真さん、半分こしましょう」
樹は手元の蜜柑を半分に割り、颯真の掌に持たせる。颯真はお礼を告げ、一房唇で咥えた。そのまま樹の頭を引き寄せ、深くキスをした。
蜜柑を乗せた舌を樹の上顎に押し付けて破くと、甘酸っぱい味が広がる。そのまま味わうように舌を絡ませてから口を離すと、二人の唾液が繋がって切れた。
「ん、美味しいね。もっと要る?」
うっとりと目を閉じた樹が答える間もなく、何度も繰り返して蜜柑を食べさせあう。
「美味しいし、気持ちいい、です」
息も絶え絶えに樹が微笑むと、颯真も微笑んで額にキスを落とした。
何処からか、除夜の鐘が響いて来る。二人は顔を見合わせ、頷きあった。
「じゃ、支度しよっか」
二人は、バスローブを脱ぎ捨てて裸になると、颯真は箱の中からディルドと革紐を二本取り出した。
樹は臙脂色の革紐を受け取り口内で湿らせると、そのまま颯真の前に跪いて反り返るペニスを口に含む。
「っ、気持ちいいよ、樹……」
颯真の喘ぎ声に微笑んで、革紐を擦り付けるように先端を舐める。そのまま喉の奥までペニスを咥え、革紐だけを出した。
「っく、こら、樹」
吸い付いたり緩めたりして颯真のものに刺激を与えながら、根元に革紐を巻いていく。
縛る直前に激しくそれをしゃぶり、顔を上下に振って射精を促した。
「樹、出る、っ、く……っ」
颯真の白濁を喉の奥深くで受け止め、飲み込みながら、先端を吸い出して革紐を縛った。
樹が口を拭いながら颯真を見上げると、顔を真っ赤に染めた颯真が顔を逸らしていた。
「そーうーまーさーん。こっち、向いてください?」
愉しげな樹の声にじろりと睨む颯真の頬に、樹がにこにこ笑いながら樹がキスをする。
「ふふ、可愛い。大好きですよ、颯真さん」
ご機嫌で擦り寄ってくる樹に、出したばかりの颯真のペニスが硬くなっていく。
「ああ、俺も大好きだよ、樹」
にやにやしながら距離を詰めてきた颯真に、樹の肩が跳ねる。やり過ぎたと自覚して目を逸らす樹の顎を取り、視線を強引に合わされる。
「帰ってきたら……覚悟してね」
満面の笑みなのに据わった目が颯真の本気度合いを示しているようで、樹はびくっと震える。怯えたその様子に満足気に頬を緩め、颯真は樹の口元にディルドを差し出した。
樹は大人しくそれに手を添え、口内に迎える。
「本当にいい顔で咥えるね」
味わうように舌を這わせる樹の頬を撫でると、樹が上目遣いに颯真を見つめて微笑んだ。
「ね、少しだけ虐めてもいい?」
颯真が樹の耳に口を寄せて囁かれた樹は、息を詰めて頷いた。くす、と笑う吐息が樹の耳朶を擽る。そして、颯真が湿った音と共にそこをぬるりと舌で舐めると、樹はディルドで塞がれた喉を鳴らした。
するり。颯真の手が、ディルドを支える樹の手に触れ、押し込むように力を込める。そのままゆるゆると抜き差ししながら、空いた片手で樹のペニスを包んだ。
ずちゅ、くちゅ。颯真が両手の動きを合わせれば、樹が切なげに涙を浮かべた。樹の先走りを指に纏わせ、後孔をつついて埋め込む。樹が声にならない呻きを上げた。
颯真はくすくす笑いながら樹の手からディルドを取り上げ、代わりに舌を差し込んだ。焦点の合わないままじっと見つめるうちに、樹の頬が赤く色づく。反り立ったペニスを擦り付け、腰を揺らしながら樹の後孔にディルドを当てがうと、先端をずぶりと埋め込んだ。
「っあ、あぁ……」
樹の両手が颯真の肩にしがみつくように身体を預ける。颯真が目の前にきた耳をかぷりと甘噛みする。そのままディルドを揺らし奥まで差し込みながら、いくよ、と低く囁いた。
「っあ、ん、やぁ、あ……っ!」
勢いよくディルドを抜き差しし、先端で前立腺を執拗に擦る。仰け反った樹の首筋に噛みつき、舐める。空いた手は樹のペニスを包み込み、先走りの滑りを借りて容赦なく扱き上げた。
「も、無理、イっちゃいますっ、ダメ、颯真さ、んっ……」
樹は攻め立てる颯真にしがみつき、腰を揺らしてペニスを颯真の掌に擦り付ける。いつでも白濁を撒き散らせるくらい、樹のペニスが膨れ上がった。
「だーめ」
あと一突きという所で、颯真がペニスの根元をぎゅっと握りこんだ。
「あ、ぁ、ど、して……」
涙目で颯真を見る樹にキスを落とし、颯真は艶やかに笑った。
「だってほら。もう時間がね?」
戸惑う樹の後孔深くにディルドを突き刺した颯真は、紺色の革紐で雫を滴らせるペニスを縛る。強めに縛られたそれは、すぐそこまで来ている白濁を堰き止めてしまった。
「やぁ、颯真さん、イきたい、です……、お願い、イかせてください……っ」
まだペニスを包んでいる掌に擦り付けてねだると、颯真は意地悪な笑みを浮かべた。
「うん、行くよ?初詣」
狂いそうなくらいに熱が蟠る樹に、颯真は手早く下着を着せる。そこに浮き出るペニスの形をなぞり、後孔のディルドを押し込むと、樹が悲鳴のような喘ぎ声を上げた。
「いい声。帰ってきてからが楽しみだよ」
甘く溶けて震える樹に服を着せ、ゆったりしたコートを羽織らせた颯真は、一歩下がって全体を確認する。
「うん、大丈夫だね。これなら誰も、服の下のペニスがこんなにカチカチになってるとは思わないよ」
する、と撫でられた樹が、涙目で颯真を睨む。颯真は喉の奥で笑って、手近な服を手にした。
「すぐ着替えるから待っていて」
樹はへたり込むと、颯真の裸体を見つめる。
――筋肉が付いてていいなぁ。
下着を履くために持ち上げられた靱やかな脚も、綺麗に割れて影を作る腹筋も。そして、視線を動かせば目に入る、革紐で縛られて反り立つペニスも。
「っ、ふ……」
イかせて貰えなかった樹の身体が、ずくずくと疼く。そんな樹の視線に気付いた颯真は、ペニスを支えて樹に向き直って揺らす。
「コレに、犯されたくなった?」
掌で包み、ゆっくり扱いて見せると、樹が生唾を飲み込んだ。もの欲しげな視線にふっと笑って、わざとゆっくり下着を被せていく。
「まだ、だめだよ」
咄嗟に見上げた樹の口に、颯真が屈んでキスをする。優しく髪を撫でてから、さっと服を纏った。
普段なら神社までは歩いて数分だが、颯真はふらふらの樹に合わせてゆっくり歩く。樹の顔は発熱したように赤く、吐息は今にも喘ぎ声が混じりそうなほど色付いている。
――煽りすぎた、かな。
樹を煽った颯真自身も歩く度に下着が擦れていて、気を緩めると息が乱れそうだった。達する寸前まで追い詰められた樹には、辛過ぎるかもしれない。そう判断した颯真は、樹の顔を覗き込んだ。
「辛いようなら、抱き上げて行くよ?」
樹は一瞬心が揺らいだが、首を振って否定した。
「大丈夫、です。すみません」
「じゃあ、言い方を変えよう。……早く樹を無茶苦茶になるまで抱きたいから、連れて行かせて」
被せ気味に告げられた言葉に、樹が固まった。颯真はくすりと笑って、正面から抱きしめる。分厚い生地越しにペニスをすり合わせ、お尻をなぞる。
「樹は、コレ、欲しくない?」
耳元に囁かれ、樹は荒い息を吐く。教えて、と促され、俯いていた顔を上げた。
「欲しい、です。颯真さん……」
快楽に潤む目で見つめられ、颯真はごくりと唾を飲み込む。颯真のペニスが、早くこの身体を味わいたいと熱を持つ。
「お願い、します。俺を……連れて行って、ください」
実の所、樹は立っているのがやっとなくらいに追い詰められていた。このまま道端にへたり込んで動けなくなるくらいなら、と颯真に助けを求めて手を上げる。幼子が抱っこをせがむようなその仕草に、颯真は淡く微笑んだ。
「了解。落とすつもりはないけど、しっかり掴まっててね」
颯真が身を屈めて樹の腕を首に回させる。そのまま片手で抱き寄せ、片手は膝裏に滑らせた。
「ぅわっ!」
ふわりと横抱きに抱き上げられ、颯真の顔が急に近くなる。愉しげに眇られた颯真の瞳の中に混じる熱に、樹の後孔がディルドを締めた。樹の甘い息に微笑み、半開きの唇にキスをすると、颯真は抱く手に力を込めた。
「行きますよ、お姫様」
揶揄うように囁かれ、文句を言おうとした樹を見つめる瞳。それが苦笑の形を作ると颯真がふぅとため息を吐いた。
「本当はもう、家に帰って樹を抱きたい、けど……」
神社に向かう人波に乗りながら、颯真は腕の中の樹に愛しげに頬擦りする。早足で移動する颯真の身体の上下動に合わせて、樹の身体も揺れる。その度に鈴が鳴り、埋まるディルドが角度を変えて奥を刺激した。
「俺も、もう、欲しいです……」
樹が腕に力を込め、颯真の顔を引き寄せる。唇にちゅ、と吸い付くと、颯真の首筋に顔を埋めて擦り寄る。
「……本当にこの猫は。攫って閉じ込めて、休みなく犯して、俺が仕事の時は縛り上げてディルド突っ込んで、ライブカメラでも取り付けて監視してやろうか……」
早口で物騒なことを言い始めた颯真に慌てていると、颯真がくすりと笑う。
「冗談……とはあまり言えないけど、今は諦めて初詣行こう」
「ね、樹。……後悔してない?」
リビングの一部に畳を敷き、そこに置いた炬燵に入りながら、颯真は樹を見つめた。蜜柑を剥いている手を止めて首を傾げた拍子に、鈴がりんと鳴った。
「後悔?何をですか?」
首傾げる樹に苦笑を浮かべながら、颯真はチョーカーの鈴を弾く。
「俺の猫になったこと」
バスローブの間から颯真が付けたキスマークをなぞられ、耳たぶを擽られた樹は、小さく息を詰めた。
颯真は樹にチョーカーを渡してから、箍が外れたように会う度に抱き潰している自覚がある。樹を心身ともに縛り、後孔を穿って口内を犯し、貪るように樹を求めている。
颯真の目が熱を帯び、溶けていく。
「無理させてる自覚は、あるんだ。けど、止められない……ごめん」
指先は自然に樹の後頭部を撫で、颯真が顔を寄せてくる。切なげに揺れる瞳に、樹は微笑んで目を閉じた。
「後悔なんて、してませんよ」
唇が触れる瞬間に告げられた言葉に、颯真はふっと笑った。
触れるだけのキスが深くなるのに時間はかからない。水音が立ち、唾液を啜り、甘い息を交わして離れる。
「颯真さんは、後悔してませんか….…?」
「する訳ないよ。でも、樹が後悔してないなら良かった」
被せ気味に言われた樹は、ふはっと声を立てて笑う。
「良かった。ね、颯真さん、半分こしましょう」
樹は手元の蜜柑を半分に割り、颯真の掌に持たせる。颯真はお礼を告げ、一房唇で咥えた。そのまま樹の頭を引き寄せ、深くキスをした。
蜜柑を乗せた舌を樹の上顎に押し付けて破くと、甘酸っぱい味が広がる。そのまま味わうように舌を絡ませてから口を離すと、二人の唾液が繋がって切れた。
「ん、美味しいね。もっと要る?」
うっとりと目を閉じた樹が答える間もなく、何度も繰り返して蜜柑を食べさせあう。
「美味しいし、気持ちいい、です」
息も絶え絶えに樹が微笑むと、颯真も微笑んで額にキスを落とした。
何処からか、除夜の鐘が響いて来る。二人は顔を見合わせ、頷きあった。
「じゃ、支度しよっか」
二人は、バスローブを脱ぎ捨てて裸になると、颯真は箱の中からディルドと革紐を二本取り出した。
樹は臙脂色の革紐を受け取り口内で湿らせると、そのまま颯真の前に跪いて反り返るペニスを口に含む。
「っ、気持ちいいよ、樹……」
颯真の喘ぎ声に微笑んで、革紐を擦り付けるように先端を舐める。そのまま喉の奥までペニスを咥え、革紐だけを出した。
「っく、こら、樹」
吸い付いたり緩めたりして颯真のものに刺激を与えながら、根元に革紐を巻いていく。
縛る直前に激しくそれをしゃぶり、顔を上下に振って射精を促した。
「樹、出る、っ、く……っ」
颯真の白濁を喉の奥深くで受け止め、飲み込みながら、先端を吸い出して革紐を縛った。
樹が口を拭いながら颯真を見上げると、顔を真っ赤に染めた颯真が顔を逸らしていた。
「そーうーまーさーん。こっち、向いてください?」
愉しげな樹の声にじろりと睨む颯真の頬に、樹がにこにこ笑いながら樹がキスをする。
「ふふ、可愛い。大好きですよ、颯真さん」
ご機嫌で擦り寄ってくる樹に、出したばかりの颯真のペニスが硬くなっていく。
「ああ、俺も大好きだよ、樹」
にやにやしながら距離を詰めてきた颯真に、樹の肩が跳ねる。やり過ぎたと自覚して目を逸らす樹の顎を取り、視線を強引に合わされる。
「帰ってきたら……覚悟してね」
満面の笑みなのに据わった目が颯真の本気度合いを示しているようで、樹はびくっと震える。怯えたその様子に満足気に頬を緩め、颯真は樹の口元にディルドを差し出した。
樹は大人しくそれに手を添え、口内に迎える。
「本当にいい顔で咥えるね」
味わうように舌を這わせる樹の頬を撫でると、樹が上目遣いに颯真を見つめて微笑んだ。
「ね、少しだけ虐めてもいい?」
颯真が樹の耳に口を寄せて囁かれた樹は、息を詰めて頷いた。くす、と笑う吐息が樹の耳朶を擽る。そして、颯真が湿った音と共にそこをぬるりと舌で舐めると、樹はディルドで塞がれた喉を鳴らした。
するり。颯真の手が、ディルドを支える樹の手に触れ、押し込むように力を込める。そのままゆるゆると抜き差ししながら、空いた片手で樹のペニスを包んだ。
ずちゅ、くちゅ。颯真が両手の動きを合わせれば、樹が切なげに涙を浮かべた。樹の先走りを指に纏わせ、後孔をつついて埋め込む。樹が声にならない呻きを上げた。
颯真はくすくす笑いながら樹の手からディルドを取り上げ、代わりに舌を差し込んだ。焦点の合わないままじっと見つめるうちに、樹の頬が赤く色づく。反り立ったペニスを擦り付け、腰を揺らしながら樹の後孔にディルドを当てがうと、先端をずぶりと埋め込んだ。
「っあ、あぁ……」
樹の両手が颯真の肩にしがみつくように身体を預ける。颯真が目の前にきた耳をかぷりと甘噛みする。そのままディルドを揺らし奥まで差し込みながら、いくよ、と低く囁いた。
「っあ、ん、やぁ、あ……っ!」
勢いよくディルドを抜き差しし、先端で前立腺を執拗に擦る。仰け反った樹の首筋に噛みつき、舐める。空いた手は樹のペニスを包み込み、先走りの滑りを借りて容赦なく扱き上げた。
「も、無理、イっちゃいますっ、ダメ、颯真さ、んっ……」
樹は攻め立てる颯真にしがみつき、腰を揺らしてペニスを颯真の掌に擦り付ける。いつでも白濁を撒き散らせるくらい、樹のペニスが膨れ上がった。
「だーめ」
あと一突きという所で、颯真がペニスの根元をぎゅっと握りこんだ。
「あ、ぁ、ど、して……」
涙目で颯真を見る樹にキスを落とし、颯真は艶やかに笑った。
「だってほら。もう時間がね?」
戸惑う樹の後孔深くにディルドを突き刺した颯真は、紺色の革紐で雫を滴らせるペニスを縛る。強めに縛られたそれは、すぐそこまで来ている白濁を堰き止めてしまった。
「やぁ、颯真さん、イきたい、です……、お願い、イかせてください……っ」
まだペニスを包んでいる掌に擦り付けてねだると、颯真は意地悪な笑みを浮かべた。
「うん、行くよ?初詣」
狂いそうなくらいに熱が蟠る樹に、颯真は手早く下着を着せる。そこに浮き出るペニスの形をなぞり、後孔のディルドを押し込むと、樹が悲鳴のような喘ぎ声を上げた。
「いい声。帰ってきてからが楽しみだよ」
甘く溶けて震える樹に服を着せ、ゆったりしたコートを羽織らせた颯真は、一歩下がって全体を確認する。
「うん、大丈夫だね。これなら誰も、服の下のペニスがこんなにカチカチになってるとは思わないよ」
する、と撫でられた樹が、涙目で颯真を睨む。颯真は喉の奥で笑って、手近な服を手にした。
「すぐ着替えるから待っていて」
樹はへたり込むと、颯真の裸体を見つめる。
――筋肉が付いてていいなぁ。
下着を履くために持ち上げられた靱やかな脚も、綺麗に割れて影を作る腹筋も。そして、視線を動かせば目に入る、革紐で縛られて反り立つペニスも。
「っ、ふ……」
イかせて貰えなかった樹の身体が、ずくずくと疼く。そんな樹の視線に気付いた颯真は、ペニスを支えて樹に向き直って揺らす。
「コレに、犯されたくなった?」
掌で包み、ゆっくり扱いて見せると、樹が生唾を飲み込んだ。もの欲しげな視線にふっと笑って、わざとゆっくり下着を被せていく。
「まだ、だめだよ」
咄嗟に見上げた樹の口に、颯真が屈んでキスをする。優しく髪を撫でてから、さっと服を纏った。
普段なら神社までは歩いて数分だが、颯真はふらふらの樹に合わせてゆっくり歩く。樹の顔は発熱したように赤く、吐息は今にも喘ぎ声が混じりそうなほど色付いている。
――煽りすぎた、かな。
樹を煽った颯真自身も歩く度に下着が擦れていて、気を緩めると息が乱れそうだった。達する寸前まで追い詰められた樹には、辛過ぎるかもしれない。そう判断した颯真は、樹の顔を覗き込んだ。
「辛いようなら、抱き上げて行くよ?」
樹は一瞬心が揺らいだが、首を振って否定した。
「大丈夫、です。すみません」
「じゃあ、言い方を変えよう。……早く樹を無茶苦茶になるまで抱きたいから、連れて行かせて」
被せ気味に告げられた言葉に、樹が固まった。颯真はくすりと笑って、正面から抱きしめる。分厚い生地越しにペニスをすり合わせ、お尻をなぞる。
「樹は、コレ、欲しくない?」
耳元に囁かれ、樹は荒い息を吐く。教えて、と促され、俯いていた顔を上げた。
「欲しい、です。颯真さん……」
快楽に潤む目で見つめられ、颯真はごくりと唾を飲み込む。颯真のペニスが、早くこの身体を味わいたいと熱を持つ。
「お願い、します。俺を……連れて行って、ください」
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「了解。落とすつもりはないけど、しっかり掴まっててね」
颯真が身を屈めて樹の腕を首に回させる。そのまま片手で抱き寄せ、片手は膝裏に滑らせた。
「ぅわっ!」
ふわりと横抱きに抱き上げられ、颯真の顔が急に近くなる。愉しげに眇られた颯真の瞳の中に混じる熱に、樹の後孔がディルドを締めた。樹の甘い息に微笑み、半開きの唇にキスをすると、颯真は抱く手に力を込めた。
「行きますよ、お姫様」
揶揄うように囁かれ、文句を言おうとした樹を見つめる瞳。それが苦笑の形を作ると颯真がふぅとため息を吐いた。
「本当はもう、家に帰って樹を抱きたい、けど……」
神社に向かう人波に乗りながら、颯真は腕の中の樹に愛しげに頬擦りする。早足で移動する颯真の身体の上下動に合わせて、樹の身体も揺れる。その度に鈴が鳴り、埋まるディルドが角度を変えて奥を刺激した。
「俺も、もう、欲しいです……」
樹が腕に力を込め、颯真の顔を引き寄せる。唇にちゅ、と吸い付くと、颯真の首筋に顔を埋めて擦り寄る。
「……本当にこの猫は。攫って閉じ込めて、休みなく犯して、俺が仕事の時は縛り上げてディルド突っ込んで、ライブカメラでも取り付けて監視してやろうか……」
早口で物騒なことを言い始めた颯真に慌てていると、颯真がくすりと笑う。
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