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第一章
第三五話 緊急措置
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穂積は水タンク下部に張り付けになっていた。
硬い水タンクに突き刺さった衝撃でトビウオは死んでいた。それでもビチビチと痙攣を繰り返し、腹の穴を広げていく。
(あ。これはマズイな)
こんな状況にあって、それでも穂積は冷静だった。自分でも信じられないことに、頭は冴えわたり、心は水を打ったように静かなのだ。
身体はまったく動かないし、腹からはバシャバシャと血が流れ出ている。
血は海水と混ざり合い、屋上を赤くに染めていく。
艫から襲い来ていた津波は落ち着いたようだ。波に乗り、距離が空いたのだろう。トビウオの群れとクジラは遥か後方に見え、どんどん離れていく。海獣の脅威は去ったと考えていい。
(というか、これ以上来られても)
「い、いい、いやァァア……。ああああ……。ホヅ……ホヅミさ……ん……。嫌ぁあ――っ」
クリスが塩結晶を取り落とし、フラフラと穂積に向かってくる。甲板に転がった真白の結晶はジワジワと血を吸い込み、紅く染まっていく。
(紅い塩結晶もいいなぁ。クリスの瞳みたいだ)
クリスが穂積の間近に来た。腹に刺さりビクビクッと痙攣するトビウオを見て、真っ青になって呆然自失している。
(クリス。お前なら……やれるかもな。これはマズいんだ)
「――ぐりじゅ……グン」(あ。噛んだ)
「ホ、ホ……ん……ホジュミしゃん。ホヅミ……」
「聞ぎなざい」
「き、聞きましゅ。聞きますから、だから、死なない……で。ボ、ボク……わたし、どうしゅればぁ……。教えて、教えてぇ~」
「みじゅダング。あにゃ。まぼう。ふざげ」
「え……?」
穂積の腹からは血がジョロジョロと流れている。
「水ダンク。あな。ぜいぜい、まほう。――ふさげ」
「ど、どうしてぇー。なんで! そんなこと!!」
「おれだちは……ほずい、だんとう。づねに……じょぐむに……誠実たれ……」
「――――っ! う、ううう。うぐぅ、ひっひっ……っぐぅ!」
歯を食いしばって嗚咽を堪え、クリスの両手がタンクに触れる。全身を駆け巡っては消えていく真紅の聖痕が白い肌に浮かび上がる。
(ああ……やっぱり綺麗だ……)
薄れゆく視界が透明に移ろい、穂積は意識を手放した――。
クリスの手から光が迸り、黒いタンクが真紅の魔力光に包まれる。その光景を船楼から顔を出した多くのクルーが見つめていた。
トビウオが突き刺さった穴の断面が輝き、分子配列が組み替えられる。タンク部材が徐々にトビウオの首にめり込み侵食していった。
実に一万年ぶり。海水以外の物質を対象とした、精製魔法の顕現だった――。
やがて、タンクの穴が塞がると同時にトビウオの首が断ち切られ、タンク壁面をズルリとずり落ちた穂積は床に倒れ伏す。
「ヒッ! ハァー! ハァー! ヒュー! ……ホ、ホヅミ……さん。で、できました! わたし、穴……塞ぎましたよ……!」
「…………」
「ホヅミさん! ホヅミ……だ、だれか。誰かぁー! たすけて! だすげで――――!!」
『カンカンカンカーンカンカンカンカーンカンカンカンカーンカンカンカンカーンカンカンカン……』
その声を聞いた見張り台から救難信号が発せられ、怒号が響く。
「きゅう~め~いかた~!! きゅうめ~いかた~!!」
厨房裏口からグランマが出てきた。屋上から滴る血の流れに愕然として階段を駆け上がるや、「担架持ってこい!!」と司厨部に指示を飛ばす。
船尾楼からデリーとロブが飛び出す。後部甲板を駆け抜けて「ロブ! 先生を!!」「わかった!!」と二手に別れた。
艏からジョジョがすごい速度で駆けてくる。飛んでくる。食堂屋上から甲板に流れる血を見るや、「食堂屋上ッ――――!!」と全船に響き渡る大声を上げた。
ロブがゼクシィ、ビクトリアと共に居住区から飛び出し先導する。
その光景に、屋上に駆け付けた面々の血の気が引いた。
水タンク下部からべっとりと血が滴り、その下に穂積が倒れている。傍らではクリスが蒼白な顔に脂汗を吹き出しながら泣き叫び、担架を持った司厨部が呆然としていた。
木甲板は海水で薄まった血が一面に広がり、各々の靴を濡らす。
「「ホヅミ――――!!!」」
義姉妹の絶叫が響く。
ゼクシィは即座に処置モードに移行。
「動かすな! 私が診る!」
クリスを引き剥がしてグランマに託す。
「グ、グランマさん! ホヅミさん! ホヅミさんがぁ!」
「クリス!」
グランマがギュッとクリスを抱きしめる。
「くっ! 内臓がズタズタだ! 生体魔法しかない! ジョジョ! トビウオを引き抜け! 幸いエラから先が無いから尻尾を引っ張れば抜ける! 抜けた瞬間に魔法を使うからすぐ離れろ!」
「わかったぁ! よし! いつでもいいぞ!」
「フッー。……やれ」
ジョジョがトビウオを穂積の腹から引っこ抜く。同時に噴き出す鮮血。ゼクシィの生体魔法が発動し、碧色の聖痕が絶え間なく駆け巡る。
(大きい血管から先に癒す。その後、欠損した臓器の……復元……修復……)
絶望した。とてもではないが魔力が足りない。損傷箇所が多過ぎる。
(だが、やるしかない!)
逡巡の間も魔法は全力で行使している。徐々に出血は収まっているが、失血多量のショック状態で心停止した事によるものだ。
「心臓マッサージ! 人工呼吸!」
隣で待機していたビクトリアが即座に応じる。肋骨をひしゃげさせながら心臓を動かし、人工呼吸をひたすらに続けた。
それから、一時間――。
ゼクシィは生体魔法を使い続け、ビクトリアは救命措置を続けた。
そして――、ゼクシィの魔力が尽きた。
「がはっ。はぁーはぁー。く、くっそ!」
魔力欠乏の症状が出ている。
呼吸は荒く、脂汗を流して歯噛みした。
穂積の身体はまだまだ激しく損傷している。辛うじて生きているのはビクトリアが心臓を動かし、酸素を送り続けているからだ。
「ジェジェ」
「…………」
「魔力が尽きたか?」
「……ええっ」
「なら他の手を考えろ」
「……無い」
絶望的な状況。最早、時間の問題だと誰もが思っていた。
「考えろ。何かないか?」
ビクトリアは心臓マッサージと人工呼吸を淡々と続けながら言った。
「無い! もう手は無い! 本船で生体魔法を使えるのは私だけだ! ……外科手術の出番なんか、最初から無い」
「魔法も手術もダメなのはわかった。他には?」
「…………無いんだ」
「ダメだ。考えろ。ホヅミがこのまま死ぬことは許さん」
「……何様?」
ビクトリアはチラリと水タンクの血痕を見て、
「何でもいい。ホヅミは職務を全うした」
「何を言ってるの?」
「クリスを確と導いた。タンクの穴を塞げとな」
全員がハッと気付く。
タンクの血痕。頭の無いトビウオ。串刺しの穂積。タンクを包んだ真紅の光。
「先程の緊急回避で『一杯』を引いた。魔力カートリッジは空だ。真水をタンクのこんな低いレベルまで失っていたら……。クリスはあの状態だ。曳船の到着を待たず、全員、女神に召されていたかもしれん」
クリスも魔力欠乏に陥り、虫の息だった。タンクの穴を塞いだ奇跡は真水精製直後の身には耐えかねたのだ。
唇を合わせ息を吹き込んで、
「ホヅミは職務を全うした。ジェジェもそうしろ」
それでもビクトリアは揺るがない。
「……………………」
ゼクシィは考え続ける。穂積の損傷は激しい。特に臓器の欠損部分は魔法で無ければ再生できない。故に外科手術は無意味。
魔力が尽きた現状、他の治癒方法など――、あった。
一つだけある。呪われた方法が。
「――『レギオン』なら、あるいは」
「「「――――ッ」」」
その場の全員が息を飲んだ。あの特集記事は有名だ。クリスの事情は見れば分かる。
だから、誰もが知っていた。『レギオン』の恐ろしさを。そこに蔓延る悪意を。それを治療に使うなど正気の沙汰ではない。
それを思いつくゼクシィもまた、異端と言わざるを得ない。
しかし、ビクトリアは違う感慨を抱いていた。
穂積の覚悟と『レギオン』に纏わる悪意への怒り。
随分と風変わりな戦い方だが、闘うことを決意した男の姿があった。
そんな男が『レギオン』そのものと対峙したら――。
(こういう直感は、無視できん)
「可能なのか?」
「……それ自体は、クリスの血液を血中投与すれば可能。ただし、魔力が足りなければ死ぬ。クリスも危険。今の状態で活性化に耐えられるとは思えない」
決断するのは自分の役目だ。
「グランマ!」
「……はい。船長」
「クリスを連れてこい!」
「――ッ。それは!」
「……決めるのはクリス自身だ」
「…………わかりました」
グランマがクリスを抱えてビクトリアの隣へしゃがむ。クリスは真っ青な顔で、喘ぐように呼吸していた。魔力欠乏の末期症状が出ている。
「……ホヅ……ミ……さん……」
「クリス! 聞けぃ!」
「船長……」
「このままではホヅミは死ぬ!」
「――ッ。イヤァ……」
「最早、可能性はお前の『レギオン』しかない!」
「――――っ!」
「やれば、お前は死ぬかもしれん! ホヅミも死ぬかもしれん!」
「――――」
「だが、このままなら、ホヅミは絶対に死ぬ!」
真紅の瞳に焔を見た。ならば、クリスの答えは分かっている。
「どうする!?」
「ホヅミさんを助けて」
クリスは即答した。
「ジェジェ、――やれ。責任はオレが取る」
「……わかった」
ゼクシィは医療キットから採血用の太い注射器を取り出し、クリスの腕を取る。
血液を抜かれ、血中の『レギオン』濃度が下がれば、数を増やそうと活性化が始まるだろう。
グランマがクリスを掻き抱く。全員が固唾を飲んで見守った。
「クリス! 耐えなさい!」
腕の血管に注射針が刺さり、採血が開始される。シリンダの中に吸引されていく血液と『レギオン』。
数瞬後、クリスの身体がビクンッと跳ねた。
瞳が裏返り、涙と涎を垂れ流してガクガク痙攣し、目に見えて白髪が増えていく。
「クリス! クリス!! しっかりなさい!」
グランマが必死に小さな身体を抑えつけた。
採血が終わった。クリスは痙攣しながら、息をしようと、生きようと暴れ続ける。髪が白くなっていく。肌は塩結晶のように真っ白になり、血の通っている色をしていない。
その場に集まる全員が泣いていた。
「――ホヅミン。お願い。生きて!」
ゼクシィが穂積の腕の血管に『レギオン』を注入し一拍後――、穂積の胸部がドクンッと跳ね上がった。
心臓が勝手に爆縮と再生を繰り返し、全身に血液と『レギオン』が送られる。
体中から大量の血が噴き出し、失血と並行して増血される。
体内で『レギオン』が暴れ回り、宿主を強制的に治癒しようと蠢く。
死に向かう二人を、全員が固唾を飲んで見守っていた。
さらに二時間が経過した――。
穂積の肉体は変わらず、破壊と再生を繰り返すかの様に痙攣し、ズタボロの血塗れ。
クリスは髪がすべて真っ白になり、本来の薄水色は失われていた。身体の痙攣は無くなり、瞳から光が失せている。
しかし、二人とも、まだ生きていた。
「……どういうこと?」
二人のバイタルを確認していたゼクシィが不審を口にする。
「何かあるのか?」
ビクトリアがどうなのかと問うた。素人目にもおかしいと分かる。
「クリスの髪は完全に真っ白に色素が抜けてしまっている。すべての症例に共通して、こうなったら、もう助からない、ということが分かっていた……はず」
「……クリスは生きてるんだろ?」
危篤状態だが、クリスはまだ息がある。むしろバイタルは持ち直してきていた。
「このまま安定すれば、恐らく……助かる」
「た、助かるの!? クリスは助かるのね!?」
「グランマ、落ち着いて。まだ、わからない。それに、さらに分からないのが、ホヅミンの方」
「どういうことだ? ホヅミはどうなってる? ……治ってきてはいるようだが」
ビクトリアは穂積の酷い有り様を見て、心配そうに顔をしかめた。
「過去に、これだけ『レギオン』が活性化した事例は報告されていない。大概は魔力欠乏ですぐに死ぬ。今、生きている患者たちは皆、元々の魔力容量が大きくて、投与された時点では健康だった者ばかり」
「つまり、本来なら既に死んでいて当然なほどの魔力を吸われているということか?」
だからこそ、これは賭けだった。十中八九どころか、ほぼ確実に死ぬ類いの最悪の賭け。奇跡でも起こらない限りは。
「クリスの『レギオン』が特別なのか?」
「それはない。今までクリスを診てきたけど、一般的な『後天性魔力不全症候群』だった。『レギオン』の特性に個体差なんか無いはず」
穂積の状態を観察しながら、ゼクシィは安堵の表情を浮かべる。
「ホヅミンも持ち直してきた。クリス共々、予断は許さないけれど……今すぐ死ぬことはない」
「そうか……。ホヅミ。道半ばで死ぬことなど、許さんぞ……」
ビクトリアの手が冷え切った穂積の頬に触れる。その瞳には強い親愛が滲んでいた。
屋上で二人を見守りながら、夕方となった――。
両者に原因不明の現象が起きており、下手に動かすことは憚られたのだ。
乗組員はジョジョの指示で船の被害状況の確認に当たっている。特に、クジラが放った津波の直撃を受けた船尾区画の損傷が懸念された。
グランマたち司厨部は後ろ髪を引かれながらも、夕食の準備に向かった。何があろうと食事は欠かさないのがビクトリア号の掟である。
ビクトリアは船内の運動魔法適性者を集め、推進魔堰の魔力カートリッジ充填に当たらせた。例え微々たるものでも、最低限の推進力を確保しておきたかった。
「船長。二人のバイタルが安定した。これで一先ず……うっ」
「ジェジェ!」
倒れそうになったゼクシィをビクトリアが抱きとめ、そのまま横たわらせた。
「ジェジェ、よくやってくれた。指示をくれ。後のことは任せろ」
「……悔しいかしら。折角、ホヅミンと添い寝するチャンスなのに」
「任せろと言った。……添い寝してやればいいのか?」
処置モードを解除したゼクシィのいつもの軽口に安堵すると、ビクトリアは真面目な顔で穂積と同衾すればいいかと聞いてみる。
「ち、違うかしら。ダメだわよ。リア姉。抜け駆けは……」
「ふむ……ホヅミか。この難局を生き残ったのだしな……。アリ寄りの――アリだな」
「くっ! だ、ダメかしらぁ~!」
「言っただろ? 欲しければ自力で手に入れろ。ちなみに『ゼクシィ』を嫁にやるのはやめた。オレはな」
「くうっ! 応援どころか、敵に回るって言うかしら! 大体、リア姉には婚約者がいるじゃない!」
ビクトリアは馬鹿にしたように「カカっ」と一笑に付すと、くだらないと言わんばかりの表情を浮かべる。
「アレは家柄だけの男だ。婿に取ればいろいろと使い勝手がいいから、父上の意向に従っていただけ。他に良さそうな男が見つかれば是非もない。まぁ、ホヅミはまだ足らんがな」
「ホントに昔っから、そういうところが何様だって……あー、もう。とりあえず、二人を医務室に寝かせて、水分補給しながら様子見かしら」
「わかった。手配する」
ビクトリアは手隙きの人間を集めて二人の移送に当たらせた。
二人とも血塗れだ。その場で服を脱がせて身体を清めるところからだが、クリスを脱がそうとした事務部の若手がデリーとマリーに張り倒される一幕もあった。
「水タンク内に残ってると思うけど、トビウオの頭を回収。真水も成分分析が必要だから、それまでは煮沸消毒してから使うように」
「わかった。司厨部に徹底させる」
「それから、一番大事なこと。『レギオン』投与後にホズミンから流れた血液。空気に触れたらほとんど死滅するはずだけど、念のため消毒を」
「わかった。オレが直々に程良く焼いてやろう」
ゼクシィは医師として以後の指示を伝え終えると、ビクトリアに笑いかける。
「……リア姉のおかげで諦めずにいられた。ありがとう」
「カカっ! ホヅミを助けたのはジェジェとクリスだ。その馬鹿でかい胸を張れ!」
「うふふっ……リア姉。セクハラかしら?」
「なんだそれ? 知らん!」
瀕死の状態から持ち直した穂積とクリスは医務室に運ばれ、魔力を使い果たしたゼクシィは自室で休むことになった。
医務室にはクルーが交代で見張りに付き急変に備えていたが、二人は何事もなく昏々と翌朝まで眠り続けた。
硬い水タンクに突き刺さった衝撃でトビウオは死んでいた。それでもビチビチと痙攣を繰り返し、腹の穴を広げていく。
(あ。これはマズイな)
こんな状況にあって、それでも穂積は冷静だった。自分でも信じられないことに、頭は冴えわたり、心は水を打ったように静かなのだ。
身体はまったく動かないし、腹からはバシャバシャと血が流れ出ている。
血は海水と混ざり合い、屋上を赤くに染めていく。
艫から襲い来ていた津波は落ち着いたようだ。波に乗り、距離が空いたのだろう。トビウオの群れとクジラは遥か後方に見え、どんどん離れていく。海獣の脅威は去ったと考えていい。
(というか、これ以上来られても)
「い、いい、いやァァア……。ああああ……。ホヅ……ホヅミさ……ん……。嫌ぁあ――っ」
クリスが塩結晶を取り落とし、フラフラと穂積に向かってくる。甲板に転がった真白の結晶はジワジワと血を吸い込み、紅く染まっていく。
(紅い塩結晶もいいなぁ。クリスの瞳みたいだ)
クリスが穂積の間近に来た。腹に刺さりビクビクッと痙攣するトビウオを見て、真っ青になって呆然自失している。
(クリス。お前なら……やれるかもな。これはマズいんだ)
「――ぐりじゅ……グン」(あ。噛んだ)
「ホ、ホ……ん……ホジュミしゃん。ホヅミ……」
「聞ぎなざい」
「き、聞きましゅ。聞きますから、だから、死なない……で。ボ、ボク……わたし、どうしゅればぁ……。教えて、教えてぇ~」
「みじゅダング。あにゃ。まぼう。ふざげ」
「え……?」
穂積の腹からは血がジョロジョロと流れている。
「水ダンク。あな。ぜいぜい、まほう。――ふさげ」
「ど、どうしてぇー。なんで! そんなこと!!」
「おれだちは……ほずい、だんとう。づねに……じょぐむに……誠実たれ……」
「――――っ! う、ううう。うぐぅ、ひっひっ……っぐぅ!」
歯を食いしばって嗚咽を堪え、クリスの両手がタンクに触れる。全身を駆け巡っては消えていく真紅の聖痕が白い肌に浮かび上がる。
(ああ……やっぱり綺麗だ……)
薄れゆく視界が透明に移ろい、穂積は意識を手放した――。
クリスの手から光が迸り、黒いタンクが真紅の魔力光に包まれる。その光景を船楼から顔を出した多くのクルーが見つめていた。
トビウオが突き刺さった穴の断面が輝き、分子配列が組み替えられる。タンク部材が徐々にトビウオの首にめり込み侵食していった。
実に一万年ぶり。海水以外の物質を対象とした、精製魔法の顕現だった――。
やがて、タンクの穴が塞がると同時にトビウオの首が断ち切られ、タンク壁面をズルリとずり落ちた穂積は床に倒れ伏す。
「ヒッ! ハァー! ハァー! ヒュー! ……ホ、ホヅミ……さん。で、できました! わたし、穴……塞ぎましたよ……!」
「…………」
「ホヅミさん! ホヅミ……だ、だれか。誰かぁー! たすけて! だすげで――――!!」
『カンカンカンカーンカンカンカンカーンカンカンカンカーンカンカンカンカーンカンカンカン……』
その声を聞いた見張り台から救難信号が発せられ、怒号が響く。
「きゅう~め~いかた~!! きゅうめ~いかた~!!」
厨房裏口からグランマが出てきた。屋上から滴る血の流れに愕然として階段を駆け上がるや、「担架持ってこい!!」と司厨部に指示を飛ばす。
船尾楼からデリーとロブが飛び出す。後部甲板を駆け抜けて「ロブ! 先生を!!」「わかった!!」と二手に別れた。
艏からジョジョがすごい速度で駆けてくる。飛んでくる。食堂屋上から甲板に流れる血を見るや、「食堂屋上ッ――――!!」と全船に響き渡る大声を上げた。
ロブがゼクシィ、ビクトリアと共に居住区から飛び出し先導する。
その光景に、屋上に駆け付けた面々の血の気が引いた。
水タンク下部からべっとりと血が滴り、その下に穂積が倒れている。傍らではクリスが蒼白な顔に脂汗を吹き出しながら泣き叫び、担架を持った司厨部が呆然としていた。
木甲板は海水で薄まった血が一面に広がり、各々の靴を濡らす。
「「ホヅミ――――!!!」」
義姉妹の絶叫が響く。
ゼクシィは即座に処置モードに移行。
「動かすな! 私が診る!」
クリスを引き剥がしてグランマに託す。
「グ、グランマさん! ホヅミさん! ホヅミさんがぁ!」
「クリス!」
グランマがギュッとクリスを抱きしめる。
「くっ! 内臓がズタズタだ! 生体魔法しかない! ジョジョ! トビウオを引き抜け! 幸いエラから先が無いから尻尾を引っ張れば抜ける! 抜けた瞬間に魔法を使うからすぐ離れろ!」
「わかったぁ! よし! いつでもいいぞ!」
「フッー。……やれ」
ジョジョがトビウオを穂積の腹から引っこ抜く。同時に噴き出す鮮血。ゼクシィの生体魔法が発動し、碧色の聖痕が絶え間なく駆け巡る。
(大きい血管から先に癒す。その後、欠損した臓器の……復元……修復……)
絶望した。とてもではないが魔力が足りない。損傷箇所が多過ぎる。
(だが、やるしかない!)
逡巡の間も魔法は全力で行使している。徐々に出血は収まっているが、失血多量のショック状態で心停止した事によるものだ。
「心臓マッサージ! 人工呼吸!」
隣で待機していたビクトリアが即座に応じる。肋骨をひしゃげさせながら心臓を動かし、人工呼吸をひたすらに続けた。
それから、一時間――。
ゼクシィは生体魔法を使い続け、ビクトリアは救命措置を続けた。
そして――、ゼクシィの魔力が尽きた。
「がはっ。はぁーはぁー。く、くっそ!」
魔力欠乏の症状が出ている。
呼吸は荒く、脂汗を流して歯噛みした。
穂積の身体はまだまだ激しく損傷している。辛うじて生きているのはビクトリアが心臓を動かし、酸素を送り続けているからだ。
「ジェジェ」
「…………」
「魔力が尽きたか?」
「……ええっ」
「なら他の手を考えろ」
「……無い」
絶望的な状況。最早、時間の問題だと誰もが思っていた。
「考えろ。何かないか?」
ビクトリアは心臓マッサージと人工呼吸を淡々と続けながら言った。
「無い! もう手は無い! 本船で生体魔法を使えるのは私だけだ! ……外科手術の出番なんか、最初から無い」
「魔法も手術もダメなのはわかった。他には?」
「…………無いんだ」
「ダメだ。考えろ。ホヅミがこのまま死ぬことは許さん」
「……何様?」
ビクトリアはチラリと水タンクの血痕を見て、
「何でもいい。ホヅミは職務を全うした」
「何を言ってるの?」
「クリスを確と導いた。タンクの穴を塞げとな」
全員がハッと気付く。
タンクの血痕。頭の無いトビウオ。串刺しの穂積。タンクを包んだ真紅の光。
「先程の緊急回避で『一杯』を引いた。魔力カートリッジは空だ。真水をタンクのこんな低いレベルまで失っていたら……。クリスはあの状態だ。曳船の到着を待たず、全員、女神に召されていたかもしれん」
クリスも魔力欠乏に陥り、虫の息だった。タンクの穴を塞いだ奇跡は真水精製直後の身には耐えかねたのだ。
唇を合わせ息を吹き込んで、
「ホヅミは職務を全うした。ジェジェもそうしろ」
それでもビクトリアは揺るがない。
「……………………」
ゼクシィは考え続ける。穂積の損傷は激しい。特に臓器の欠損部分は魔法で無ければ再生できない。故に外科手術は無意味。
魔力が尽きた現状、他の治癒方法など――、あった。
一つだけある。呪われた方法が。
「――『レギオン』なら、あるいは」
「「「――――ッ」」」
その場の全員が息を飲んだ。あの特集記事は有名だ。クリスの事情は見れば分かる。
だから、誰もが知っていた。『レギオン』の恐ろしさを。そこに蔓延る悪意を。それを治療に使うなど正気の沙汰ではない。
それを思いつくゼクシィもまた、異端と言わざるを得ない。
しかし、ビクトリアは違う感慨を抱いていた。
穂積の覚悟と『レギオン』に纏わる悪意への怒り。
随分と風変わりな戦い方だが、闘うことを決意した男の姿があった。
そんな男が『レギオン』そのものと対峙したら――。
(こういう直感は、無視できん)
「可能なのか?」
「……それ自体は、クリスの血液を血中投与すれば可能。ただし、魔力が足りなければ死ぬ。クリスも危険。今の状態で活性化に耐えられるとは思えない」
決断するのは自分の役目だ。
「グランマ!」
「……はい。船長」
「クリスを連れてこい!」
「――ッ。それは!」
「……決めるのはクリス自身だ」
「…………わかりました」
グランマがクリスを抱えてビクトリアの隣へしゃがむ。クリスは真っ青な顔で、喘ぐように呼吸していた。魔力欠乏の末期症状が出ている。
「……ホヅ……ミ……さん……」
「クリス! 聞けぃ!」
「船長……」
「このままではホヅミは死ぬ!」
「――ッ。イヤァ……」
「最早、可能性はお前の『レギオン』しかない!」
「――――っ!」
「やれば、お前は死ぬかもしれん! ホヅミも死ぬかもしれん!」
「――――」
「だが、このままなら、ホヅミは絶対に死ぬ!」
真紅の瞳に焔を見た。ならば、クリスの答えは分かっている。
「どうする!?」
「ホヅミさんを助けて」
クリスは即答した。
「ジェジェ、――やれ。責任はオレが取る」
「……わかった」
ゼクシィは医療キットから採血用の太い注射器を取り出し、クリスの腕を取る。
血液を抜かれ、血中の『レギオン』濃度が下がれば、数を増やそうと活性化が始まるだろう。
グランマがクリスを掻き抱く。全員が固唾を飲んで見守った。
「クリス! 耐えなさい!」
腕の血管に注射針が刺さり、採血が開始される。シリンダの中に吸引されていく血液と『レギオン』。
数瞬後、クリスの身体がビクンッと跳ねた。
瞳が裏返り、涙と涎を垂れ流してガクガク痙攣し、目に見えて白髪が増えていく。
「クリス! クリス!! しっかりなさい!」
グランマが必死に小さな身体を抑えつけた。
採血が終わった。クリスは痙攣しながら、息をしようと、生きようと暴れ続ける。髪が白くなっていく。肌は塩結晶のように真っ白になり、血の通っている色をしていない。
その場に集まる全員が泣いていた。
「――ホヅミン。お願い。生きて!」
ゼクシィが穂積の腕の血管に『レギオン』を注入し一拍後――、穂積の胸部がドクンッと跳ね上がった。
心臓が勝手に爆縮と再生を繰り返し、全身に血液と『レギオン』が送られる。
体中から大量の血が噴き出し、失血と並行して増血される。
体内で『レギオン』が暴れ回り、宿主を強制的に治癒しようと蠢く。
死に向かう二人を、全員が固唾を飲んで見守っていた。
さらに二時間が経過した――。
穂積の肉体は変わらず、破壊と再生を繰り返すかの様に痙攣し、ズタボロの血塗れ。
クリスは髪がすべて真っ白になり、本来の薄水色は失われていた。身体の痙攣は無くなり、瞳から光が失せている。
しかし、二人とも、まだ生きていた。
「……どういうこと?」
二人のバイタルを確認していたゼクシィが不審を口にする。
「何かあるのか?」
ビクトリアがどうなのかと問うた。素人目にもおかしいと分かる。
「クリスの髪は完全に真っ白に色素が抜けてしまっている。すべての症例に共通して、こうなったら、もう助からない、ということが分かっていた……はず」
「……クリスは生きてるんだろ?」
危篤状態だが、クリスはまだ息がある。むしろバイタルは持ち直してきていた。
「このまま安定すれば、恐らく……助かる」
「た、助かるの!? クリスは助かるのね!?」
「グランマ、落ち着いて。まだ、わからない。それに、さらに分からないのが、ホヅミンの方」
「どういうことだ? ホヅミはどうなってる? ……治ってきてはいるようだが」
ビクトリアは穂積の酷い有り様を見て、心配そうに顔をしかめた。
「過去に、これだけ『レギオン』が活性化した事例は報告されていない。大概は魔力欠乏ですぐに死ぬ。今、生きている患者たちは皆、元々の魔力容量が大きくて、投与された時点では健康だった者ばかり」
「つまり、本来なら既に死んでいて当然なほどの魔力を吸われているということか?」
だからこそ、これは賭けだった。十中八九どころか、ほぼ確実に死ぬ類いの最悪の賭け。奇跡でも起こらない限りは。
「クリスの『レギオン』が特別なのか?」
「それはない。今までクリスを診てきたけど、一般的な『後天性魔力不全症候群』だった。『レギオン』の特性に個体差なんか無いはず」
穂積の状態を観察しながら、ゼクシィは安堵の表情を浮かべる。
「ホヅミンも持ち直してきた。クリス共々、予断は許さないけれど……今すぐ死ぬことはない」
「そうか……。ホヅミ。道半ばで死ぬことなど、許さんぞ……」
ビクトリアの手が冷え切った穂積の頬に触れる。その瞳には強い親愛が滲んでいた。
屋上で二人を見守りながら、夕方となった――。
両者に原因不明の現象が起きており、下手に動かすことは憚られたのだ。
乗組員はジョジョの指示で船の被害状況の確認に当たっている。特に、クジラが放った津波の直撃を受けた船尾区画の損傷が懸念された。
グランマたち司厨部は後ろ髪を引かれながらも、夕食の準備に向かった。何があろうと食事は欠かさないのがビクトリア号の掟である。
ビクトリアは船内の運動魔法適性者を集め、推進魔堰の魔力カートリッジ充填に当たらせた。例え微々たるものでも、最低限の推進力を確保しておきたかった。
「船長。二人のバイタルが安定した。これで一先ず……うっ」
「ジェジェ!」
倒れそうになったゼクシィをビクトリアが抱きとめ、そのまま横たわらせた。
「ジェジェ、よくやってくれた。指示をくれ。後のことは任せろ」
「……悔しいかしら。折角、ホヅミンと添い寝するチャンスなのに」
「任せろと言った。……添い寝してやればいいのか?」
処置モードを解除したゼクシィのいつもの軽口に安堵すると、ビクトリアは真面目な顔で穂積と同衾すればいいかと聞いてみる。
「ち、違うかしら。ダメだわよ。リア姉。抜け駆けは……」
「ふむ……ホヅミか。この難局を生き残ったのだしな……。アリ寄りの――アリだな」
「くっ! だ、ダメかしらぁ~!」
「言っただろ? 欲しければ自力で手に入れろ。ちなみに『ゼクシィ』を嫁にやるのはやめた。オレはな」
「くうっ! 応援どころか、敵に回るって言うかしら! 大体、リア姉には婚約者がいるじゃない!」
ビクトリアは馬鹿にしたように「カカっ」と一笑に付すと、くだらないと言わんばかりの表情を浮かべる。
「アレは家柄だけの男だ。婿に取ればいろいろと使い勝手がいいから、父上の意向に従っていただけ。他に良さそうな男が見つかれば是非もない。まぁ、ホヅミはまだ足らんがな」
「ホントに昔っから、そういうところが何様だって……あー、もう。とりあえず、二人を医務室に寝かせて、水分補給しながら様子見かしら」
「わかった。手配する」
ビクトリアは手隙きの人間を集めて二人の移送に当たらせた。
二人とも血塗れだ。その場で服を脱がせて身体を清めるところからだが、クリスを脱がそうとした事務部の若手がデリーとマリーに張り倒される一幕もあった。
「水タンク内に残ってると思うけど、トビウオの頭を回収。真水も成分分析が必要だから、それまでは煮沸消毒してから使うように」
「わかった。司厨部に徹底させる」
「それから、一番大事なこと。『レギオン』投与後にホズミンから流れた血液。空気に触れたらほとんど死滅するはずだけど、念のため消毒を」
「わかった。オレが直々に程良く焼いてやろう」
ゼクシィは医師として以後の指示を伝え終えると、ビクトリアに笑いかける。
「……リア姉のおかげで諦めずにいられた。ありがとう」
「カカっ! ホヅミを助けたのはジェジェとクリスだ。その馬鹿でかい胸を張れ!」
「うふふっ……リア姉。セクハラかしら?」
「なんだそれ? 知らん!」
瀕死の状態から持ち直した穂積とクリスは医務室に運ばれ、魔力を使い果たしたゼクシィは自室で休むことになった。
医務室にはクルーが交代で見張りに付き急変に備えていたが、二人は何事もなく昏々と翌朝まで眠り続けた。
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