Fragment-memory of secret garden-

黒乃

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雪解け(上) スグリ×ヤク前提ヴァダース→ヤク

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言葉責め/強姦/拘束/若干のNTR/シリアス
Fragment一部作目 第九十節閲覧後推奨























 アウスガールズに存在しているカーサのアジト。その中の一つにある仮眠室で、ヴァダース・ダクターはある人物の頬をするりと撫でる。自らの下に手首を拘束されているその人物の名は、ヤク・ノーチェ。カーサとは敵対関係にあるミズガルーズ国家防衛軍の軍人。優れた魔術の腕で、若いながらも部隊長として、前線で戦っている。
 そんなヤクに奇襲を仕掛けたことで、彼を手に入れることが出来た。ヴァダースはヤク個人に興味を惹かれていた。それは己と同じ匂いがしたからか、あるいは。とにかく一度、彼を自分の手中に収めてみたかったのだ。

 漸く手に入れることが出来たと、存在を確かめるように頬を撫でる。つい今しがた、彼に協力関係を持ちかけ、その了承も得た。本来ならそこで話が終わる、はずだった。
 ヴァダースの脳裏にちらついたのは、ヤクをここに運ぶ前の出来事。地下牢にて自分の愚かな部下たちが、彼を陵辱していた光景。自分がその場から彼を連れ出したあと、一応身体の汚れを拭き取った。中に吐き出されていた白い欲望も掻き出し、予備として持っていた黒い服を着せた。

 それでも、だ。自分のお気に入りを他人に汚されたままというのは、どうにも腹立たしい。このまま仕事を彼に言い渡すまで放置するなど、なんて勿体のないことだろう。それにだ。彼に自分という人物を、刻み込んでみたい。彼の心の中にいるであろう幼馴染から、彼を奪ってみたい。そんな仄暗い欲望が成長していくのを、ヴァダースは感じていた。
 自分はカーサ。狩る者。欲しいものは、例えそれが他人のものであろうとも、奪う。今までと同じように、彼を。このひとときだけでも、自分だけを見るように支配したい。

 頬を撫でていた手を顎まで下ろし、くい、と自分へと向けさせる。ヤクが言葉を紡ぐ前に、その淡い花弁を自らの唇で塞いだ。

「んんっ……!?ン、ぅ……」

 突然の接吻に頭の理解が追いつかないのか、ヤクは抵抗することもできず、ヴァダースにいいように咥内を蹂躙された。
 逃げ惑う舌をヴァダースは逃すはずもなく、追い詰め、いやらしく絡める。どこまでも執拗に、限りなく入念に。

「ぁ……ふ、ク……!」

 かぶりを振って逃げようとするヤク。しかしまだ堪能しきっていないヴァダースは、彼の後頭部に手を回し、固定する。まだ貪っていたい、と。角度を変え、さらに深く口付ける。酸素が足りなくなるギリギリまで、それを楽しもうとした。
 しかしそれは、ヤクの反撃によって終わることとなる。ガリ、と鋭い痛みが走る。舌を、噛まれたようだ。仕方ない、と彼から離れる。咥内に鉄錆の味が広がった。
 離れてから見下ろせば、殺気を隠しもしない碧玉の瞳がぶつかる。獣の唸り声のような低い声が、ヴァダースを突き刺そうとした。

「き、さま……!!」

 嗚呼、それでも。今彼から与えられるものは、何であれ甘美であると。舌を噛まれた痛みも、己を蔑む双眸も、発せられる罵倒も。全てが狂おしいほどに、愛おしい。しかしそれらを悟られないよう、笑顔ひとつで誤魔化して。

「何度も申し上げたでしょう?貴方に興味が湧いたと。それに、貴方の中に部下の感覚があるというのが、個人的に気に食わないのでね。だから──」

 ──塗り潰して差し上げます。

 耳元で囁いて、再び唇を塞ぐ。今度は少し乱暴に、荒々しく。何度も舌を絡め、吸い上げる。彼の混乱を余所に、シャツのボタンを外していく。阻止しようとしてきた彼の手を、空いていたもう片手で頭上に抑えつけた。いやいや、とかぶりを振ろうとするが、そんなことは許さない。
 力強く抑えつけ、散々に蹂躙する。窒息寸前まで貪れば、反抗する力がなくなったのか腕が力なくベッドに沈む。濃厚なそれを堪能したヴァダースは、再びヤクの顔を見た。

 氷原のように色白い肌に、うっすらと朱が差している頬。酸素を取り入れるために開かれた肉の色をした咥内が、そのコントラストを鮮やかに映している。潤んで艶かしい光沢を孕んだ瞳は、それでも屈服するものかと反抗的な目付きのまま。そんな表情をされては、嗜虐心が駆り立てられるというもの。寒気にも似た興奮が沸き立つ。

「ああ……いい顔になりましたね」
「こ、の……!」
「いいですよ、反抗なさっても。もっとも……できれば、ですけどね」

 自らも手袋を外し、はだけた胸元へするりと手を忍び込ませる。陶器のような滑らかな肌を、彼はじっくりと楽しんだ。脱がせていく中でも愛撫の手を休めることはない。唇は十分堪能したからと、首筋の薄い皮膚を強く吸い上げた。まずはここに、己のものだという刻印を。人間の急所である頸動脈の辺りにも、鬱血の痕を残す。
 そんな小さな刺激に、思いのほか彼の身体は素直に反応を示してくれている。ピクリピクリと小刻みに身体が跳ねていた。

「ふふ、こうも素直に反応してくれるとは。嬉しい限りですよ」
「ちが……感じて、など──」
「これでも?」

 汗でしっとりと濡れた胸元をまさぐっていた手で、小さな突起を抓り上げた。途端にヤクの腰が少し浮いて、息を飲むような短い悲鳴が耳を楽しませる。指の腹で上下に擦り、そのあとじっくりと乳輪を指でなぞる。時折強く抓り上げ、ダイヤルを回すように摘んではこねくり回す。すると乳首は赤く腫れぼったく、ぷっくりと突き上がる。

「こんなにやらしく尖らせて……まるで生娘みたいですね。そんなに好きなんですか、ここ?」
「やめっ……ン……!んぅう……ッ」
「やめませんよ。貴方だって、こんな中途半端なままでは辛いでしょうに」

 ヤクは腰を揺らしてどうにか逃げようとする。何から逃げようというのか。己からか、それとも沸き上がってきているであろう、甘い疼きからか。まぁどちらからも、逃すつもりはないのだが。
 ぷっくり腫れた乳首を、ちゅっと吸い上げる。ヤクからは、段々と熱のある吐息が聞こえてきた。ああ、それにしても服が邪魔だ。ほぼ羽織るだけとなっていた彼のシャツを、無造作に床に放り投げる。そして露わとなった、彼の上半身。

 一般的な成人男性よりはしっかりとした身体つきだ。軍人だから当たり前なのだろうが、魔術師である彼はどちらかといえば、しなやかなラインをしていた。すらりと整ったバランスのいい筋肉が見えるが、その美しい身体に刻まれていたのは凄惨な傷痕だ。戦いで受けた傷、というよりは。実験動物として扱われていた時の名残だろう。今もまだ消えていないそれらに、優しく触れた。痛みはないのだろう。しかし痛々しい。それでも、そんな彼の身体に欲情しているのだから、やはり自分は男なのだと実感させられる。
 理解はする。だが同情はしない。ヴァダースは容赦なく、ヤクの身体に食いついた。自らも服を脱ぎ、身体中に鬱血の痕を残していく。

「や、ァ……!」

 彼のズボンを下着ごと引きずり下ろせば、首をもたげた陰茎がふるり、震えた。ひとたび現れた雄の象徴と、ともすれば女性的でもある彼の身体つきのアンバランスさに、思わず生唾を飲み込む。どうやら彼の身体は、自分の愛撫を悦んでいるらしい。ピクピクと、それが別の生き物のように動くものだから。

「んぁア……!!や……!」

 それを握って、その反応を楽しんだ。熱を孕んだそれは、しかしまだ濡れている様子ではない。ただ彼に痛みだけを与えるのは気が引けた。サイドテーブルに置いてあった、ローションが入った小瓶が視界に映ったので、それを使うことにする。
 蓋を開け、手に取る。濡れた指でそっと彼の竿を握った。やわやわと揉むように握ってから、ゆっくりと上下に摩擦する。

 声を我慢するのも限界なのか、ヤクの口から嬌声が漏れる。逃げ場のない快感を逃がそうと、腰が引けていた。逃しはしないと、ペニスを弄っている手とは反対の腕で自らへと引き寄せる。

「ぁ、やぁ、ら……ッ!」
「大丈夫ですよ、安心なさい。何も痛みを与えたいわけではないのですから」

 裏筋をすぅ、となぞってやれば、身体を大きく仰け反り悲鳴をあげる。先端から先走りが漏れ出て、ヴァダースの手を伝う。
 さて本当ならこのまま一度、快感を吐き出させればいいのだろうが。そこは加虐心が擽られるというもの。ぱっと手を離し、放置させることにした。

「あ、ぇ……?」

 どうして、と瞳が揺らいでいた。突然突き放され出口を見失った快感からか、腰が唸っている。ヤクの身体は求めていた。もっと、快感を。もっと強い、刺激を。欲望に忠実な彼の身体。満足させないわけにはいかなかった。

「ヒッ──……んぁア!!」

 ローションで濡れていた指を、きゅうきゅうと呼吸するように縮こまっていた秘所の中へと潜らせた。まずは中指を浅く出し入れし、入り口を解していく。中は灼熱のように熱く、肉の感触が直接指へと伝わる。頃合いを見て、次は人差し指を挿入した。バラバラに動かし、肉襞を押し上げたりする。きゅう、と入り口は窄まり、指をもっと奥へと案内させようとしていた。

「おやおや、私の指をこんなに必死に咥え込んで……貴方、思ったよりやらしい人ですねぇ」
「ぅるさ、ァ!ちが、うぅ……」
「何が違うものですか。ほら、こうやって奥でバラバラに動かされるの……好きなのでしょう?」
「やァああ……!」

 離してなるものか、と秘所が一層力強く窄まる。もっとちょうだい、と強請る身体。そこまで欲するのならと、二本の指で的確に、小さなしこりをぐいっと押す。一層大きく跳ねた身体をベッドに縫い付けるように抑え込み、執拗なまでにしこりをいじめる。ヤクの身体はもたらされる快楽に、秘所から涎を垂らして悦んでいる。
 だがヴァダースは、決して絶頂を許しはしなかった。限界まで追い詰め、非情にも達する直前で、指を引き抜いた。またしても開放の機会を失い、逃げ場のない快感が全身を駆け巡る。ヤクの表情にも懇願の色が見えた。
もう許して、やめて、と。

「いいです……その顔を、見たかったんですよ」

 己自身も張り詰めて、限界だったから。てらてらと濡れている菊門に、ぴと、といきり立った雄を押し当てるのだった。
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