私達は、若くて清い

茜琉ぴーたん

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「もういいわ、可愛いと思ったけど見た目だけだったわー、あーガッカリ、」

この人はこれで私をけなしたつもりなのだろうか。

 「あァこの人は私を解放してくれた、私から興味が削がれたようだ」と意識すれば体から頭から妙にポーンと跳ねそうなほどに軽くなる。


 ならば私の顔など見たくもあるまい、

「はい、じゃあ失礼しまーす」

と階段を降り始めると先輩は

「…おい、待てよ!」

と荒々しく呼び止めた。

「なんですか」

「反論しねぇのかよ」

「いや…特に何も無いです。元々…1週間でサヨナラのつもりだったので」

 最後っ屁で貶されたのでこちらもある意味反撃を。

 言わなくても良かったのだろうが上に立たれたままなのが少々癪で言い返し…ところがこれは力のある男性相手には悪手であった。


「…ッこのっ‼︎」

「っきゃあっ⁉︎」

 足元が不安定な階段の中腹で後ろ髪を掴まれて、私は足を滑らせ…視界がぐらと歪んでスローモーションになる。

 そしてどすんどすんと3段ほど固い階段の上を尻でホップして、次の踊り場へ尻もちで着地した。


 骨盤と尾骶骨びていこつと背骨の強打に足首もグネったと思う、

「いったァ…」

と力無く漏らすと次の瞬間下の階から源ちゃんの声が飛んでくる。

「モモちゃん‼︎」

「⁉︎」

「大丈夫?痛かったね、」

 スマートフォンを片手に構えた源ちゃんは先輩を見上げ、

「と、撮りました。真下だったのでバッチリです…どうしますか?」

強請ゆすりにかけた。

「あ、あ…」

 何故源ちゃんが?何故撮影していたの?何のために?言葉を失う先輩を尻目に、私は源ちゃんのシャープになったフェイスラインに見惚みとれる。

 一方故意では無いにしても最悪の場合傷害か。

 今年受験の先輩には頭に内申とか警察とか色んなことが巡ったのだろう、赤かった顔色は蒼白になって目が泳ぐ。

 そしてそこにぺたんと座り込んで

「ごめん…」

と極小の声で謝罪の言葉をり出した。


「ごめんで済んだら警察は要りませんよ、モモちゃん、立てる?病院行こう」

「え、うん、なんで源ちゃん、」

「その話は後ね…診断書貰おう、その後は交番ね。先輩、また連絡しますからよろしくお願いしますね。行こう」
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