私達は、若くて清い

茜琉ぴーたん

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 そんなこんなで私たちは高校へ入学、通学路は少し伸びたので自転車通学へと変わった。

 お互い部活動も考えてなかったので行きも帰りもなんとなく一緒にして、帰宅後は宿題の分からないところを教え合ったりと今までと同じような生活が送れている。


 そして中間考査が終わって文化祭があって、学業に勤しむ私はついに高校初の異性からの告白を受けることとなった。

 相手は3年の先輩で、移動教室で廊下を通る私を見て一目惚れしたらしい。

「考えてくれないかな?」

「んー、ごめんなさい。誰ともお付き合いするつもり無いんです」

「試しに1週間どうかな、駅まで一緒に帰ったりしようよ」

「はァ、」

 1週間で何が分かるというのか。

 その間にこの人が私の命を救ってくれたり愛が生まれるようなとびきりのイベントがあったりというのなら理解できんでもないのだが。

 第一私は電車組ではないので門を出れば即サヨウナラである。

「あの、もうすぐ期末考査の範囲が発表されるじゃないですか。成績落としたくないんで、ごめんなさい」

「…分からないところ、教えてあげられるけど」

「…!」

それは塾にも行かず独力と源ちゃんに頼っている私にとっては魅力的な言葉だった。

「過去問とかも教えてあげられる」

「それは本当の理解に繋がらないので遠慮しますが…ふむ」

「1週間の家庭教師だと思ってくれて良いんだけど…もちろん場所は図書館とか喫茶店とかね」

「……それなら」

 こうして深く考えもせず、私はこの先輩のお試し彼女になってしまう。





「ここはこう…代入して、……そう、ほらできた」

「ほー…じゃあ次の設問、」

「勉強熱心だね」

「…学生の本分ですから」

 告白をされた翌日である本日、私は試用期間の彼氏と学校の図書室で参考書を開いている。

 その日の宿題はあっという間に終わったので自主勉強をしているわけだが、先輩である彼は教え方が上手かった。


「(…まァ既に習ってる訳だからできて当然か…)」

「僕ね、教員目指してるんだ、教え方とかも研究してる」

「…なるほど、分かりやすいです」

「本当?嬉しいな」

「目標持ってて…偉いですね」

「そう?ももちゃんはなりたい職業とかないの?」

 図書室で許されるギリギリの音量で、私たちは静かに会話を交わす。

「無い…んですよね、とりあえず大学には行きたいです」

「とりあえずか、それもいいかもね」

 学費の面から言うと「とりあえず」で行くなど烏滸おこがましいのだろう。

 しかし有名どころを出ておけば潰しが効くかもしれないし…今現在は私はそのように考えていた。
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