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Expression of love
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しおりを挟む持久力の鬼な咲也さんはその後しばらく…はっきりは分からないが2時間くらいは休み休みしつつ腰を振って果てた。
「あー、気持ち良かった♡しかし疲れたよ…準備とかバタバタしててね」
「しなくていいサプライズを計画するから」
「でもラムさんの驚く顔がたくさん見られて良かった…ふふ」
「……」
彼は横になったまま私の頭の編み込みを解いて、ふぁさふぁさと地肌に空気が触れるとその爽快感に思わず「あー」と飾らない声が漏れる。
ウェーブよりもっと細かくチリチリに形が付いた髪を緩くまとめて、咲也さんは私の視界に戻って来た。
「ラムさん、君と出逢って多様性というか幅が広がった。新しいアイデアで商品が増えた。感謝してる、ありがとう」
「はぁ」
「もー、淡々としてるなぁ…そこが良いんだけどね…僕のこと、ちゃんと好き?」
「だってその感謝は仕事にでしょ?別に良いけど」
言わば職場恋愛だからきっかけとしては充分な賛辞、でもそこから恋人としての彼の評価へ派生させるには無理がある。
私は思ったことを口にしただけで深く考えた訳でもない、SNSの呟き程度しか頭を使っていない。
「僕の自信にもなった、この交流があったから違うステージが見えたんだ。ラムさん、ちゃんと聞かないままだったけど…僕ら…やっていけるかな、僕発信の好きだけで…どうかな」
気が合うから仕事外で会うようになった、デートを重ねた。
断る理由が無いから体も開いた、総合的に『合う』からここまでやって来たけれど…嫌いな理由ではなく好きな理由、咲也さんは今さら遅いと思うけどそれを私へ問うた。
「…私、咲也さんが私のこと好きに…なってくれたから好きになって…それは実際、そうなの。アタックされたから気になって、好意を貰ったから好きになったの」
「うん、」
「こんなに…なんて言うの、熱烈に…私を欲してくれる人、今までいなかったから……そこが決め手だったのかなって…走り過ぎだとも思うの、早過ぎるとも…でも、咲也さん以上に私のことを好いてくれる人っていないと思うの…妥協みたいに聞こえたらごめんなさい」
『あなたでいい理由』ではなく『あなたがいい理由』。
私のことを好きだという男を100人集めて選定するなら比較も容易だけど、咲也さんひとりについて私との相性を分析するのは少し無理がある。
だって世の中にはまだ出会ってないけど私のことをハイパー愛してくれる人がいるかもしれない、咲也さんよりハイスペックな人がいるかもしれない。
でも今の私をこんなに大切に可愛がってくれる人は彼だけ、その人に好かれたのだから好きで応えたい。
想いの大きさは違うかもしれないけれど彼が私を好いていてくれる限りきっと一緒に歩いていける。
「うん。それは妥協じゃないよ、僕がベストだ。僕以上にラムさんをここまで愛せる男は居ない」
「詭弁かな」
「いいや、後付けでも誤魔化しでもないよ。これから先にもっとふさわしい男が現れたとしても…僕のラムさんなんだからそっちには行けないだろ?同じことさ」
「淡々としてて…ごめんなさい、『好き!』って溢れ出る感情みたいのは表現出来なくて…こんな…愛されるの、初めてだから…」
「そうかな、デートは断らないしすぐに電話に出てくれるし……表現って言うか…お口でしてくれたり熱意は感じるけどね。あと気付いてないかもしれないけど、しっかりしがみ付いてくれてるしキスして欲しい時はうるうるした目で訴えて来てるし、『好き?』って聞けば答えてくれるし…それどころか意識が飛びそうな時とか『しゅきぃ♡』っていかにも甘えてくれてるよ?」
「……嘘だ」
記憶に無い、私がそんな舌足らずな媚び方をする筈がない。
でも彼が無意味な嘘をつくはずもないので真実なんだろうと思う。
だいたい意識が飛ぶというか眠気なのだ。
イキ過ぎて気絶も無くはないけどほとんどは睡魔に襲われたから…でもそれが本心で本音なんだろう、「だから深夜のロングプレイは嫌なんだ」と空々しい言い訳もできなかった。
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