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13…こぼさず食べて
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しおりを挟む数分後。
二人分の牛丼を座卓に準備してソファーに裸で向かい合って座り、「では」と私は雅樹さんの上に跨った。
「うは」
「んッ…あ、あ、」
「おー…美羽ちゃんの下のお口が…ち◯ぽがっぷりだわ……よいしょ、はいどうぞ」
「は、い……いただきます…」
禊というかご褒美というか、彼の希望通り対面座位でグラつきつつ牛丼にスプーンを挿す。
正直味は分からない。
けれど雅樹さんはえらく興奮して汁気を吸った米を口へと掻き込む。
「…うっまぁ…美羽ちゃん食いながら牛丼とか…美味い、最高だわ」
「へんたいぃ……ん…」
「美羽ちゃん、美味い?」
「は、い…」
「上も、下も、いっぱいにしようね」
「へんたいー」
落ちないようにゆっくりと揺れて上下して、次第に慣れて気にならなくなる。
しかし忘れた頃にピクンと中で疼けばその存在感と今のシチュエーションに特大の羞恥が襲って来た。
何をさせられているんだろう、いや、したのは自分か。
油断すると口の端から米や肉汁が垂れて雅樹さんの唇が奪いに来る。
「こぼさず食べて、なぁ、ごっくんだ」
「それちが…ゔあッ…あ、ましゃきしゃ、集中、出来ないッ」
「食べるのに集中しな、俺はもう完食できそうよ」
「にゃんでぇ…」
「美羽ちゃんの顔か、お口に食欲増進作用があんのかなぁ」
そんな馬鹿なことを言いつつ本当に雅樹さんは丼一杯をぺろりと平らげた。
一緒に食事をしていてもここまでの量の米を食べられるのは珍しいことで、まぁ空腹もあろうし仲直りできて安心したということもあろうがそのスピードも過去イチくらいの速さだった。
私もゆさゆさされながらなんとか一杯食べきって、あとはぽっこりしたお腹を触られて舐められて…彼が芯から満腹になるまで付き合わされた。
「美羽ちゃん、お腹いっぱい?」
「えぇ、そりゃもう…げふ」
動きながら食べるものではない。
ソファーに腰を下ろせばゲップが込み上げたので控えめに喉を鳴らす。
やはり食べないと体力は低下しているのだろう、雅樹さんはいつもよりは早めに達してしまった。
「俺も、腹いっぱいだわ」
「…気持ち悪くありません?」
「無いね、俺さ、美羽ちゃんとの食事は吐いたこと無いんだよ…どんなに疲れてたり昼間辛いことがあってもね」
「ほー…本当に増進剤なのかな」
「なんちゃって」と笑う私を抱き締めて彼も笑って、食器を片付けたら寝室へ移動して今後のことを少し話した。
とりあえず宇陀川が戻る来シフトまでの吉日に入籍して私がここに引っ越して、仕事が落ち着いてから式の準備を始めることとなり双方納得できた。
仕事は辞めないし転勤希望も出さない。
もし雅樹さんが遠くに配属されれば付いては行くがなにぶん未定だしそれはその時考えれば良い。
「栄美羽になるんですね」
「うん…マーキングみたいで嬉しいなぁ…誰が見ても俺のものだって知らしめてる気分だ」
「世の中には同じ苗字の人はたくさんいますけど」
「ごちゃごちゃうるさいねぇ」
その後もう一戦、雅樹さんは「結婚しよう」と荒っぽいプロポーズを繰り返しては私を無茶に抱いて、「分かりましたって」と返したのが不服だったのかさらにもう一回おかわりした。
実に食欲も性欲も旺盛でよろしいこと…私に彼を元気にさせる力があるなら喜ばしいことだ。
くったりした私を見下ろして笑う雅樹さんはちょっぴり猟奇的で恐いこともあるけれど、愛故のということであれば許していけるだろう。
もりもり食べる私を彼が好きだと言ってくれるのと同じように…もりもり私を欲してくれる雅樹さんのことを私も好きなのだ。
つづく
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