上 下
62 / 71
13…こぼさず食べて

62

しおりを挟む

 数分後。

 二人分の牛丼を座卓に準備してソファーに裸で向かい合って座り、「では」と私は雅樹さんの上にまたがった。

「うは」

「んッ…あ、あ、」

「おー…美羽ちゃんの下のお口が…ち◯ぽがっぷりだわ……よいしょ、はいどうぞ」

「は、い……いただきます…」

 みそぎというかご褒美というか、彼の希望通り対面座位でグラつきつつ牛丼にスプーンを挿す。

 正直味は分からない。

 けれど雅樹さんはえらく興奮して汁気を吸った米を口へと掻き込む。

「…うっまぁ…美羽ちゃん食いながら牛丼とか…美味い、最高だわ」

「へんたいぃ……ん…」

「美羽ちゃん、美味い?」

「は、い…」

「上も、下も、いっぱいにしようね」

「へんたいー」

 落ちないようにゆっくりと揺れて上下して、次第に慣れて気にならなくなる。

 しかし忘れた頃にピクンと中でうずけばその存在感と今のシチュエーションに特大の羞恥が襲って来た。

 何をさせられているんだろう、いや、したのは自分か。

 油断すると口の端から米や肉汁が垂れて雅樹さんの唇が奪いに来る。

「こぼさず食べて、なぁ、ごっくんだ」

「それちが…ゔあッ…あ、ましゃきしゃ、集中、出来ないッ」

「食べるのに集中しな、俺はもう完食できそうよ」

「にゃんでぇ…」

「美羽ちゃんの顔か、お口に食欲増進作用があんのかなぁ」

そんな馬鹿なことを言いつつ本当に雅樹さんは丼一杯をぺろりと平らげた。

 一緒に食事をしていてもここまでの量の米を食べられるのは珍しいことで、まぁ空腹もあろうし仲直りできて安心したということもあろうがそのスピードも過去イチくらいの速さだった。

 私もゆさゆさされながらなんとか一杯食べきって、あとはぽっこりしたお腹を触られて舐められて…彼が芯から満腹になるまで付き合わされた。



「美羽ちゃん、お腹いっぱい?」

「えぇ、そりゃもう…げふ」

動きながら食べるものではない。

 ソファーに腰を下ろせばゲップが込み上げたので控えめに喉を鳴らす。

 やはり食べないと体力は低下しているのだろう、雅樹さんはいつもよりは早めに達してしまった。

「俺も、腹いっぱいだわ」

「…気持ち悪くありません?」

「無いね、俺さ、美羽ちゃんとの食事は吐いたこと無いんだよ…どんなに疲れてたり昼間辛いことがあってもね」

「ほー…本当に増進剤なのかな」

 「なんちゃって」と笑う私を抱き締めて彼も笑って、食器を片付けたら寝室へ移動して今後のことを少し話した。


 とりあえず宇陀川が戻る来シフトまでの吉日に入籍して私がここに引っ越して、仕事が落ち着いてから式の準備を始めることとなり双方納得できた。

 仕事は辞めないし転勤希望も出さない。

 もし雅樹さんが遠くに配属されれば付いては行くがなにぶん未定だしそれはその時考えれば良い。


さかえ美羽になるんですね」

「うん…マーキングみたいで嬉しいなぁ…誰が見ても俺のものだって知らしめてる気分だ」

「世の中には同じ苗字の人はたくさんいますけど」

「ごちゃごちゃうるさいねぇ」


 その後もう一戦、雅樹さんは「結婚しよう」と荒っぽいプロポーズを繰り返しては私を無茶に抱いて、「分かりましたって」と返したのが不服だったのかさらにもう一回おかわりした。


 実に食欲も性欲も旺盛おうせいでよろしいこと…私に彼を元気にさせる力があるなら喜ばしいことだ。

 くったりした私を見下ろして笑う雅樹さんはちょっぴり猟奇的で恐いこともあるけれど、愛ゆえのということであれば許していけるだろう。

 もりもり食べる私を彼が好きだと言ってくれるのと同じように…もりもり私を欲してくれる雅樹さんのことを私も好きなのだ。



つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

フラれた女

詩織
恋愛
別の部のしかもモテまくりの男に告白を… 勿論相手にされず…

【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました

utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。 がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

【R18】野獣おじさんは枯れていなかった

Nuit Blanche
恋愛
独身最後の砦の取手部長と呼ばれるイケオジ上司が昔は野獣だったと聞いた奥野優里奈は酒の勢いで挑発し……

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...