あなたでお腹いっぱいです…能面イケメンは私のコレがお好きみたい

５…好きなの食べな

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　その翌週も難なく調査をしてさらに翌日。

　定時で退勤できたので、私は性懲りも無く道路向かいのオーサキへと向かった。

　何故って栄さかえさんに会えたら嬉しいなという期待があるからで、もう私はそこは誤魔化さないことにした。

　とはいえ訪問する公の理由が無いので必死に考え出した結果、「調査した価格の個人的な再調査」という体ていを取ることにする。


「（居るかな…あ、対応中だ）」

　栄さんは調理コーナーにてご婦人を接客中、相変わらずの能面スマイルで目を細めていた。

　話がまとまったのか棚下の在庫を抱えてレジカウンターへとご案内、ここら辺のフローはどこも同じなのだなとひとり納得する。


　栄さん不在の売り場でコソコソ再調査をすること１分、革靴の音が近付いてくればゴクンと喉が鳴った。


「…美羽みわちゃん？」

「あ、こ、こんばんは」

「なに…昨日も来たのに…また調査？」

「はい、その…調べ漏れがありまして…」

自分の失敗を捏造ねつぞうしてまで貴方に会いに来た健気な私です、ぺこぺこ頭を下げては洗濯機のプライスをめくる。

「ふーん……この後は？まだ仕事？」

「いえ、確認だけなのでもう帰ります…ぱ、パンを買って…」

「…下で？」

「はい」

「…なら…俺も行って良い？もう上がるから」

　匂わせが露骨だったけど栄さんが乗ってくれた、我ながら白々しい独り言だったが上手く働いたようだ。

　聞かれてもない今後の予定を喋るなんて痛々しい女だ。

　栄さんくらいの男性なら「こいつ、誘ってやがる」くらい察したかもしれない。


　でも結果オーライ何でも良い…

「じゃあ、パン屋さんの前で…待ってます」

と頭を下げて出口へと向かった。