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私は三次元に生きているので
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しおりを挟む「興味が湧かないんだよ、ヴァーチャルアイドルに」
「はぁ?きちんと見れば、良さが分かるって。ほら、これ、この…このライブ動画観てみろよ」
「観たよ。観たけど分かんないの…突然だけどさ、別れます。もう会わない」
「はあ⁉︎……なに、何でだよ」
分からないよね、真っ赤な顔をした彼は過去一番不細工に見えた。
「推し活とか、見てるのしんどいの」
「…オタク差別すんのかよ、これだから三次元の女は」
「勘違いしないで。私だってアニメも観るし技術とか文化に理解はあるつもりだよ。でも、それを押し付けてくる貴方の姿勢が嫌なの。私にとって二次元は二次元なの。趣味は強要されるものじゃない、好きな人が嗜むものでしょ」
「そんな、」
「最近は会ってもグッズ屋巡りと動画視聴ばっか。貴方は愚痴も増えて…二次元と私を比較して否定した。いい加減に疲れちゃった」
言いたいことはほぼ言えた、バッグを持って立ち上がる。
彼はぐぬぬと唇を震わせていて、言い返さない辺り自覚があったのだろうか。
「じゃあね」
追いかけては来ない、内心ドキドキしながら階段を降りる。
なりふり構わず刺されたりしたらどうしようと思ったが、そこまで馬鹿ではなかったようだ。
「ふー…一方的過ぎたかな」
話し合いや妥協点の探究はやれば出来たと思う。
でも指摘したら反発するあの表情、ああなると知っていたから言えなかった。
何をすればどうなるかを熟知するほどに慣れていたのに、擦り合わせすら出来なかったのが悲しい。
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