仰せのままに、歩夢さま…可愛い貴女に愛の指導を

茜琉ぴーたん

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「いつも、服を着たままだったから」

「歩夢の部屋だったからな…まぁ今夜はホテルだし、開放的になろうぜ」

「…うん…」


 今俺たちが居るのは、式を挙げたホテルの最上階のスイートルームである。

 明日は一旦二階堂邸に戻り荷造りをして、そこから1週間のハネムーンに出掛ける予定だ。

 今本宅の敷地内の端に俺たち用の平屋を建てて貰っているのだが、それが完成するまではもう数ヶ月掛かるらしい。

 なのでそれまでは元々歩夢が住んでいた2階の部屋に転がり込む形になるのだが…つまりは、新婚らしい営みを遠慮なく出来る環境ではないということだ。

 なので自由な今のうちにやる事はやっておこうと、俺たちは言葉にはしなかったが互いに察してチェックイン時からソワソワしていた。

「真っ裸だ、白いな」

「…ほ、他に言うこと無いのぉ」

「キレイだよ、可愛い」

「…正直過ぎる瑛太って、変な感じね…」

「ふん」

 丸い胸、柔らかそうな腹、弾力のある脚にしなやかに反る背中。

 断片的に見たことはあっても、それらが組み合わさると実に新鮮で艶かしくて良い。

「瑛太の裸、本当に初めて見るわ…こんな…体をしてたのね」

「下半身しか見せて来なかったからな…」

 日頃から鍛えてはいたんだ、歩夢をお姫さま抱っこ出来るくらいには力を付けて鼻を明かしてやろうとマッチョを目指した。

 執事の本分はそこじゃないと思い直して程々の筋肉で留めてはいるが、彼女に見せて恥ずかしくない体には仕上げているつもりだ。


「ねぇ、瑛太…お願いがあるの」

「お姫さま抱っこか?」

 よしきた任せろと剥き身で立とうとすれば、歩夢は首を横に振って

「ううん、申し訳ないんだけど…いつもの喋り方に直してくれない?」

と眉尻を下げた。

「……はぁ」

「ごめんね、素を出せないって面倒だと思うんだけど…私、いつもの執事な瑛太が好きなの」

「へぇ」

「丁寧に毒を吐くあの感じ、丁寧に私を虐めるあの感じが…好き、なの…」

 予想外な性癖を生み出してしまったらしい、俺は彼女の前でも本性を隠していかねばならないのか。

「…疲れるんだが」

「なら、エッチの間だけでも良い……、橘にあの口調で責められるの、好きなの…」

 ガキが一丁前なことを言うようになったものだ…名前よりも聞き慣れた旧姓を耳に入れた瞬間に腹の下がカアッと熱くなる。

 俺も確かに違和感が半端無かったんだ、口に馴染んだその呼び名を紡げないことが。

 ほぼプライベートなんか無くて、素の喋り方の方がぎこちなくてもどかしくて。


「……ふん」

 たわわを上下させつつ片方口に含み、

「………随分と…ワガママなおねだりじゃありませんか…歩夢

と睨めば先端がギュッと硬くなった。
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