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しおりを挟む「それだけですか?ならもうお暇しますね」
ヨコハマの試合の方が俺にとっては関心事だ。
これから帰っても充分楽しめるだろう。
このためだけにスーツに着替えたのが馬鹿馬鹿しくていけない、ため息を吐きつつ中腰体勢から立ち上がろうとしたその時。
「橘、もう1回……指導して、」
情けなく恥辱に塗れた面持ちで歩夢嬢は俺の手を掴んだ。
「歩夢さま」
「分からないの…また、比較したいの」
「…昨日お教えしたばかりでしょう」
やれやれ早速のおかわりか、光栄だが有り難みが無い。
そういうテンションじゃないんだ、昼間だしそこまでムラムラしてる訳でもない。
「橘が上手だから、高梁くんとが物足りなくなっちゃったのかもしれないし」
「なら、尚更しない方が良いのでは」
「確かめたいの…私の、自分の感覚を」
確かめたいって、俺を好きな訳でもなかろうに。
高梁くんへの気持ちがあるかどうかを調べるために俺に体を差し出すなんて馬鹿過ぎる。
「……はぁ、」
そうか、好きだけど気持ち良くない高梁くんと、好きでもないのに気持ち良い俺とのセックスを比較するのか。
掴まれた手から歩夢嬢の体温と緊張が伝わって来る。
探究心か、それとも欲求か…いずれにしても、俺は主人の希望に添うだけだ。
「歩夢さま、指示を頂ければ私はそのように致しますよ」
ゆらり立ち上がり、いまだ寝そべる彼女を見下ろす。
歩夢嬢の表情は僅かにだが晴れやかになり、しかしすぐにもじもじと目線は俺から逸らされた。
「…どうしました?」
「た、橘…わ、私を…抱きなさい…」
「承知致しました…歩夢さま、昨日のアレ、お持ちですか」
「アレって?」
「…避妊具、ですよ」
ニヒルに笑めば歩夢嬢は「あぁっ」と起き上がり、通学に使っているバッグに飛び付いて底を漁る。
「そんな所に?」
「部屋に置いておけないじゃない…はい、」
「恐れ入ります」
不用意に持ち出して高梁くんに見つかったらどうするのだろう。
明らかにサイズが違うのだから瞬時にバレるだろうに。
それとも送迎の空いた時間で俺とのハプニングに備えているのか。
まぁ無いだろうが部屋に隠す方が安全な気はする。
「歩夢さま、体勢はいかが致しましょう」
「…う、後ろからにして…」
そう言うと、歩夢嬢は再びベッドへ登って俺に背中を向け正座した。
「後背位ですね、承知しました…高梁さんと、こうしたのですか?」
「い、良いじゃない…何でも…」
そこまで比較したいなら希望に沿ってやろうじゃないか。
無防備な背中を蔑みの目で睨んでちぃっとスラックスのファスナーを下ろす。
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