112 / 117
エピローグ
108
しおりを挟む結婚後、初めての夜…俺がバスルームから戻ると、歩夢嬢・改め歩夢はベッドの上に正座で直っていた。
床にはきちんと揃えて脱がれたスリッパ、就寝前だというのに珍しいことだ。
「……?」
「しょ、初夜なんだもの…こうするものなんでしょう?ふ、不束な私ですが、よろしくお願いします!」
「違う気がするけど」
「あんたが教えたんじゃな……!」
洗い髪をガシガシとタオルで擦り乾かす俺が近付けば、歩夢は面食らったようにこちらをぽうっと眺めて口が開く。
いつもの執事スタイルを解いた俺に驚いたのだろう、もう完全に素を見せて良いのだから俺も気が楽だ。
「なに、歩夢?」
「あ、呼び捨て」
「うん。良いだろ?夫婦なんだから…人前では変わらず接してやるよ」
主人だと思うから丁寧に話して来たが、そもそもが7つも歳下の小娘なのである。
もう充分にレディになったとは感じているが、いざ自分のものになったと思うとやはり俺は上に立ちたくなってしまうのだ。
「敬語じゃないのは新鮮ね…ねぇ、瑛太って呼んで良い?」
「好きにしな、俺はもう『橘』じゃないし」
「そっか……瑛太…プライベートだと『俺』って言うのね」
「そう、上手く使い分け出来てただろ」
「うん…知らなかった」
俺は橘姓を捨てて二階堂家に婿入りした。
仕事では旧姓を名乗ることになるが、戸籍上は『二階堂瑛太』となっている。
それについてはどうということも無し、住む家が変わっただけで仕事内容も基本変わってはいない。
この先取締役になっても実権を握ることは無いだろうし出来ないだろうし、あくまで歩夢を補佐する役割での抜擢である。
家庭教師になって、歩夢の香りで抜くようになって、関係を持って結婚して…昔の俺には想像がつかないだろう飛躍の人生だ。
馬鹿なガキで勃つようになって彼女でしか勃たなくなって、まこと愛情とは何なのかが未だ俺には掴めない。
それなのにちょんと合わせたバスローブの膝にさえ性欲を刺激されてしまうのだ、その奥をしっかり見たくて仕方がない。
「歩夢…夫婦初セックスしようか」
「…照れる…」
「今さらだろ」
これまで何度も体は交えた。
鳴かせたしイかせたし、汚したし悦ばせた。
「…恥ずかしいわね」
「そう?」
なのにこれは初めてなんだ、俺は彼女の一糸纏わぬ姿というものを見たことが無い。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる