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しおりを挟む年が明けて2月初旬。
歩夢嬢は志望校へ入試を受けに出掛けた。
その運転手は何故か俺で、ここのところ本職よりも彼女に関わる作業の方が増えつつある。
「橘ぁ、緊張する…」
「落ち着いて下さい…たかだか地方の短大じゃないですか」
「人の志望校を貶さないでよ!」
「失礼しました」
付き合いも3年目となれば俺の言葉選びもいつしか崩れてしまって、品の無さや意地の悪さなんかが隠せないほど表に出てしまうようになった。
初めは毒舌っぽく、次第に意地悪さを解放、歩夢嬢も意外とすんなり慣れてくれて口喧嘩くらいは許される仲となっている。
「そりゃ、橘の母校よりは格下だろうけど」
「当然です」
「感じ悪ーい」
「でも、E判定から合格圏内まで上がって来れたんですから…自信を持って臨んで下さい」
「うん…」
実際ここまで漕ぎ着けるのに苦労はあった。
毎回惚気話を聞いて何とも言えない気持ちになってからの勉強開始だったし俺のモチベーションはダダ下がりだった。
しかし本人にもいつしか家業を継ぐ意志や責任感が見えて来て、俺としても勤め先を失いたくないので張り切らせてもらった。
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