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しおりを挟むそんなある日のこと。
仕事から帰ると、ミサが部屋の電気も点けずにソファーで三角座りをしていた。
「ただいま、どした?」
「…成昭さん、相談なんだけど」
「うん、晩飯の支度しながらで良いか?」
「うん」
ミサはキッチンまで歩き、冷蔵庫の横にもたれ掛かる。
「脚、気を付けろよ…んで、どした?仕事のことか?」
「ううん、あの…生理が遅れてて」
「え、あ、」
玉ねぎをシンクに落としてしまい、慌てて拾う。
もしかして妊娠したのか、そりゃ可能性があることをしてるんだから不思議は無い。
「まだ検査はしてないんだけど」
「何日遅れてんの?」
「1週間」
「…誤差…にしては長いか」
「うん、ピル飲んでるし」
元々が色白なのに、ミサは病人みたいに顔面蒼白になっていた。
俺たちは、子供を作る気が無い。
結婚はしても良いかもしれないが、その先は考えてない。
名前を繋いでいくとか老後がどうとかは今の俺たちには関係無くて、蓄えはするが次の代に世話になるなんてことを端から考えちゃいないのだ。
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