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しおりを挟む夕方19時過ぎ。
コンコンと運転席の窓を叩く音がして、日野が顔を上げると仕事終わりのミサが立っていた。
「おつかれ…乗って、飯でも食おう」
「はーい」
警戒した様子は無い、ミサは観念したのか吹っ切れたように車内で饒舌になる。
「あの日は有給消化中だったの、フロア長が転勤するって聞いて…生理前のあの日まで待って突撃したの。だから、妊娠はしてないし、何も…責任を取ってもらうような事もない、ふふっ」
「本当か?」
「本当、んー…証拠は無いけど…生理予測アプリとか見るぅ?」
「いや……分かった。信じるわ」
車は以前二人で行った焼肉屋へ、奇しくも同じ席へ通された。
「思い出作りっていうか…本当、知ってる男の人を虐めるのってどんな感じかな、って。転勤しちゃうからちょうどいいし強請るネタが有りすぎて楽だったし…後腐れなく遊べるかなぁ、って。……体を心配してもらったのは…申し訳ないな、」
「なんで、セックスまでシた?」
「ちょっとぉ、こんな場所で…」
「今更だろうが。前だって下ネタばっかり話してたじゃねぇか」
日野は直接的な言葉で問い、納得のいく答えを要求する。
「気分が盛り上がったから…じゃダメ?私はSだけど…中出ししたくないって嫌がるフロア長を無理やり犯した、それが私にとって気持ちのいい虐め方だった、そういう感じで…」
「俺なぁ、SM目的で呼び出した女とはセックスしたこと無ぇんだよ。ヒィヒィ言わせるほど技術も無ぇしな、体も小せぇし。お前…待ったって言ってたけどよ、セックスするつもりで来たってことだよな」
「いや、念のため。フロア長のプレイ内容なんて知らないし…ガチで強姦されるかもしれないし…最低限の保身というか、当然じゃない、」
それは確かにそうなのだろうがミサは途端に歯切れが悪くなり、エスケープのつもりか店員呼び出しボタンへ指を置く。
「今日は?」
「え、」
日野はミサの手を掴んでボタンから遠ざけ、煙の上がる網の上へ顔をずいと出して凄んだ。
「今日は孕む日かどうかって訊いてんだよ、ミサぁ!」
「!」
「どうなんだ、……もっと大声出すか?」
「やめて、フロア長!やめて、……あの日と同じ…生理前の…妊娠しにくい日…」
日野の脅迫によってミサは自身のバイオリズムを小声で明かし、それはつまりこの後の行動を示唆していた。
「この前と同じ所でいいな?ミサ、」
「う、ん…」
「今日はひとりで帰るなよ、」
「はい…」
注文した分の肉を焼ききって腹に収め、「ホテルの割り勘分だ」と日野が全額支払い店を出る。
自分より背の高いミサの肩を抱き助手席へ乗らせ、車は見覚えのあるホテルへと入って行った。
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