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 3日勤務して地元で過ごす休日、日野は久々にかつて勤めた本店へと足を運んだ。

「おぉー、日野くんやん、どうしてん?応援かぁ、元気か?」

「ぼちぼちしてますよ、みんな変わらずですか?」

日野と同格のフロア長が気さくに声をかけてくれたのでお互いに近況報告を交わす。

 産休に入った者もいれば転勤した者もいる、辞めさえしなければ何処かで会える…ムラタ雇用ならばそうなのだが。


吹竹ふきたけさん、久しぶり」

 カフェコーナーにも顔を出せば、受付のアイカは少し固まったがすぐに取り繕って

「お久しぶりです、お元気でしたか?」

と笑顔を振りまいた。

 何か知っているのか、その反応に違和感を覚えた日野は直球で攻める。

「吹竹さん…、河合かわいさんがどこに行ったか、知ってるなら教えてくれないか」

「いや、プライバシーに関わる事ですし、仕事中ですし…」

「俺、今日は客として来てるから、何時間でも待つけど。いい?粘るよ」

日野はここ一番で底意地の悪さを見せて喰らい付き、アイカを困惑させる。

「えぇ…いや…」

「同じケータイの派遣かどうかだけでもいい、住んでる地域だけでもいい、何か……手がかりがほしい」

困り顔のアイカをみて嗜虐しぎゃく心が疼いたのもある、日野はコーヒー1杯で3時間も席へ居座った。


「フロア長、もういい加減…」

「教えてくれる?河合さんの場所」

「んー……」

呆れ顔のアイカは布巾でテーブルを拭きながら、あくまで仕事中の独り言として日野へヒントをこぼす。

「ミサちゃんは…市内に…居るんですよねぇ……うん……西店……とかかなぁ……さーて、仕事仕事…」

「吹竹さん、ありがとう。俺がここに来た事は黙ってていいから。バラしたことも言わない…助かったよ」

「ご武運を……はい」


 市内の西店、ここ本店からは国道を西へ30分ほどの距離にある中規模店舗である。

 近くて気付かなかった、よくよく考えれば転居を伴う配置換えなどはそうそう無いはずなのに。

 日野は車を飛ばして西店へと向かった。
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