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しおりを挟む「どう、何か変わった気がする?」
注文を終えて、真秋が眉尻を下げて尋ねる。
「…ヒリヒリするかな…オモチャとは、ちょっと違うな」
「そっか。痛みが続くなら薬塗ろうね」
心理的なことを聞いたんだろうが、俺は敢えて体のことを小声で答えた。
心臓はまだバクバクしているが、大人になったとか一皮剥けたとか大層な実感は無い。
「…アキは?何か変わった?」
「んー、ナツのことが、一層愛しくなったよ」
「………そう」
ならば良かった、俺は胸を撫で下ろす。
抱いてみてガッカリ、なんて嫌だし虚しい。
おれが照れ故にぶっきらぼうになるのは、真秋が離れないという期待があるからだ。
その期待を自信に変えたい、体が繋がったから信じて良いのだろうか。
「ナツ、どうしたの?来たよ、食べよ」
「うん……あのさ、アキ、」
「美味しー……うん?何?」
はふはふと麺を啜って、真秋が上目で俺を見る。
咥えられて目が合った時のあの目だ。
「…アキ、俺、アキのこと…もっと好きになった。それが…エッチして変わったとこ、かな……頂きます」
「……嬉しいよ」
俺たちはガツガツと、まこと男らしく食事を平らげた。
まるで腹ごしらえ、でも帰ったらたぶん寝ると思う。
それぞれの部屋で、別々のことをして、また夕食前にはダイニングに集まる。
夜は色っぽい展開になるだろうか、真秋は回復してないか。
また数日後にでも、精力が戻ったら…抱いてもらうのも良いかもしれない。
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