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しおりを挟む「ナツ?んッ…痛いかな?」
「大丈夫、」
「もう抜こうね」
「やだ、まだ、」
ほら、こんなに縋って女々しいったらない。
認めたくないけど、真秋の腕の中の俺は弱いメスだ。
「ナツ、無理したら後が酷いから。肛門科に行かなきゃいけなくなるよ?」
「薬でもなんでも塗るから、まだ、抜かないでッ…お願い、」
「うん、分かった」
深い所で真秋は動きを止めて、体を倒す。
そして体の据わりの良いポジションを探して、俺を抱き枕みたいに抱き締めた。
「しばらく、こうしてようね」
「…萎える?」
「いつかはね。でも抜いちゃ嫌なんでしょ?」
「うん…変なの、繋がったら…離れるのが怖くなっちまった」
別れる訳でもないのに、抜いたって同じ家で暮らすのに。
これまでのルームシェアとは違う、もっと甘いカップルライフが始まるはずなのに。
「素直だね」
「マジで、心身が疲れてんのかな」
「…本当にさ、お金のことは気にしないから退職して、しばらくフリーターしてみたら?気持ちが楽になるよ」
「この状況でそれを言ったら、一時の気の迷いで終わっちまいそう…」
沸騰した頭では、現実的なことが考えられない。
どんな突飛なアイデアだって、欲に押されれば「それでいいや」と許諾してしまう。
そして冷静になって後悔するんだ、そうでなくても「何も解決してねぇじゃん」とガッカリするんだろう。
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